新型コロナウイルスの感染拡大で、在宅勤務が急速に広まりましたが、自宅にはオフィスのような収納スペースや引き出しがなく、机の上に文房具が散乱している人も少なくないのでは。使い慣れたペンや付箋がすぐに見つからず、仕事が滞ってしまうという悩みを抱える人もいるようです。このほど「文房具の整理術」(玄光社)を出版した文具プランナーの福島槙子さんに、文房具をスッキリと片付けるコツを聞きました。
「好き」「それ以外」で仕分けする

「デスクが散らかって業務がはかどらない」「物が多すぎて、どこにしまったか分からない」「家族がはさみを使った後、元の場所に戻さなかったので、なくしてしまった」。文房具を巡ってイライラすることは、意外に多いかもしれません。
文房具は、比較的安価なものが多く、手軽に買えることから、数が増えてしまいがちです。引き出しを開けてみたら、ペンがあふれるほど入っているのに、使いたかったお気に入りの一本が行方不明ということも珍しくありません。
福島さんは、整理・収納の前段階として、すべての文房具を「仕分け」することを提案しています。「好き」「それ以外」、「使う」「使わない」、「飾る」「プレゼント」「捨てる」などと振り分けて整理します。「好きかそうじゃないか、好みを優先することが文房具と上手につきあうコツ」と福島さんは指摘します。どこに振り分けたらいいか迷ったら、「とりあえずボックス」を作って入れておくといいそうです。
あまり出番がないけれど、「もったいないから捨てられない」と、なんとなく置きっぱなしになっている文房具もあるはずです。それらも「とりあえずボックス」へ。捨てるのではなく、バザーに出したり、人にプレゼントしたりすることを検討しましょう。洋服だと、人それぞれに好みがあったり、誰かが着た服を着るのに抵抗を感じる人がいたりしますが、文房具なら「ちょっと使ってみて」と気軽にプレゼントできます。福島さんは「捨てる文房具はほとんどありません」と話します。
三つの収納法
仕分けによって、日常的に使う文房具の数を絞ったら、次は収納です。「必要な時に必要な文房具が手に取れなければ、文房具の意味がない」と指摘する福島さんは、文房具を収納するボックスやトレーなど「収納文房具」に今、注目が集まっているといいます。この収納文房具についても、「好き」という気持ちが重要になります。
収納ボックスを選ぶときは、シンプルな白色や真四角の形は統一感があってすてきですが、福島さんは「整理・収納を長続きさせる秘けつは、色や形を自分の好みで楽しむこと」とアドバイスします。すぐにできる便利な三つの収納法を紹介します。
<1>ラベリング
「はさみ」「ホチキス」「テープ」など、収納したものを書いたラベルをボックスに貼ります。どこにあるか分かりやすく表示しておけば、使うときに探す手間が省け、使用後もその場所に自然と戻したくなります。お気に入りの付箋やマスキングテープを使って、ラベリングを楽しみましょう。

<2>ボックス
お菓子や靴の空き箱を活用するのも良いアイデア。気に入ったデザインの箱を使うことがポイントです。好みのボックスなら、文房具を取り出したくなり、また、しまいたくもなるものです。ボックスへの収納も、好きな色や柄にこだわれば、整理整頓が長続きするはず。「ご祝儀袋ボックス」「梱包ボックス」「お絵かきボックス」というように、利用目的に応じたボックスを用意するのも収納のテクニックです。常備薬や体温計などを収める救急箱のようなイメージで、用途別の文房具箱を作りましょう。

<3>トレー
使用頻度の高いボールペンやホチキスなどは、トレーを活用して机の上で整理しましょう。机回りがスッキリとした印象に様変わりします。基本的にはふたがないので、ワンアクションで取り出すことができ、元に戻すのも面倒ではありません。傷をつけたくない文房具の場合は、トレーの内側の素材に注意を払って選ぶ必要があります。

福島さんは「文房具は、人それぞれに使い慣れたものや、愛着のあるものがあります。使っていないからといってすぐに捨てる必要はありません。きちんと整理・収納をすると、文房具のある生活はとても効率よく、快適になります」と話しています。
(読売新聞メディア局 渡辺友理)