みなさん、こんにちは。ファイナンシャルプランナーの高山一恵です。39県で緊急事態宣言が解除され、全国的に新規感染者数が減ってきたとはいえ、自分もいつ感染してもおかしくないと、不安になっている働き女子の方も少なくないのではないでしょうか。万が一、感染して仕事を休むことになった場合、心配なのがお金のこと。今回は、業務外の病気やケガで休業した場合に支給される「傷病手当金」についてお話しします。
働き女子なら活用したい「傷病手当金」
平時でも病気やケガなどで会社を休む場合、生活していけるのか、お金のことが心配になりますよね。そこで、働き女子ならぜひ活用してほしいのが、「傷病手当金」です。
会社員や公務員は、健康保険に加入していると思いますが、傷病手当金は、健康保険の加入者が業務外の病気やケガで連続する3日間を含む4日以上、仕事に就けなかった場合に、健康保険の組合・協会に申請すると支給されます。この待機期間をきちんと3日間とっていないと支給されません。待機期間をクリアすれば、同じ病気でその後、飛び石で休んでも支給されます。この支給されない3日間は、年次有給休暇があれば、利用するとよいでしょう。支給期間は最大で1年6か月です。会社によっては、独自の給付を設けているところもあり、さらに支給される可能性もあるので確認してみましょう。
また、お給料が支給されていても傷病手当金より少ない金額の場合は、お給料と傷病手当金との差額を受け取ることができます。ただし、お給料が支給されている場合は、傷病手当金は支給されませんので注意が必要です。
傷病手当金の1日当たりの金額は、
「支給開始日以前12か月間の各標準報酬月額を平均した額÷30日×2/3」
ざっくり言うと、毎月のお給料の総額の2/3がもらえることになります。
申請は、加入している健康保険の組合・協会に対して行います。ウェブサイトなどで申請書を入手して記入し、会社と医師の証明を受けたうえ、会社経由で申請します。
「コロナうつ」になっても支給対象に
新型コロナに感染して休業した場合も、他の病気やケガで休業する場合と同様に傷病手当金が支給されます。
また、自覚症状はなかったものの、検査の結果、「新型コロナウイルス陽性」と判定され、療養のため休業する場合にも傷病手当金が支給されます。さらに、自覚症状があり、自宅療養をしていた場合にも、支給されることになっています。
今のように先行き不透明なときには、いろいろと不安なことが多いもの。普段メンタルが強い人でも、不測の事態を前にして、心が病んでしまうというケースもあるでしょう。仮に、心のバランスを崩し、うつ病になってしまい、会社を休んだ場合でも、傷病手当金は支給されます。

なお、申請には医師の意見を記載した証明書が必要です。自覚はあったけれど、医師の診察を受けずに自宅待機をしてしまったなど、やむを得ず医師の証明を受けられない場合には、支給申請書にその旨を記載し、会社からその期間に休業していたことを証明する書類をもらって申請すれば、傷病手当金を支給してもらえます。
一方、傷病手当金が支給されないケースもあります。傷病手当金が支給される前提は、「就労ができない状態であること」。例えば、本人に自覚症状はないけれど、家族が新型コロナに感染して濃厚接触者になったなどの理由で休暇を取得した場合です。家族が感染したとしても就労できる状態であれば、傷病手当金は支給されません。
フリーランスの人は対象になる!?
さて、傷病手当金は、基本的に健康保険に加入している人が受けられる制度です。しかし、今回の非常事態を受けて、国民健康保険に加入している人が新型コロナに感染した、もしくは発熱などの症状があり、感染が疑われる場合には、国民健康保険から傷病手当金の支給を検討するよう、厚生労働省から各自治体に通達を出しています。
いくつかの自治体では、支給することが決定しています。以下が基本の枠組みです。
・支給期間
労務に服することができなくなった日から起算して3日を経過した日から労務に服することができなかった期間
・支給金額
直近の継続した3か月間の給与収入の合計額÷就労日数×2/3×日数
・適用期間
2020年1月1日から9月30日の間で、療養のため労務に服することができない期間。ただし、入院が継続する場合には、健康保険と同様、最長1年6か月まで支給
ただし、自治体によっては、フリーランスは支給の対象外になっていたり、支給要件が異なったりしている場合もあるので、お住まいの自治体に必ず確認しましょう。
新型コロナによるパンデミックで世界中が想定外の危機にさらされている今、政府も国民を救うべく、異例の救済措置を取っています。この機会に万が一に備えて、様々な救済措置について情報収集してみるとよいでしょう。
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