<1日分の野菜が摂れる>棒棒鶏と具沢山中華スープ
IT大手「ヤフー」の運営するネットオークション・フリマアプリ「ヤフオク!」が今年、サービス開始20周年を迎えます。欲しかったアイテムが自宅にいながらお手頃価格で手に入る便利さにひかれ、利用している人も多いのではないでしょうか。同社でヤフオク!のデザイン開発などを担当している津田恵子さん(35)に、進化するヤフオク!の秘密や、充実した社内レストランについて聞きました。
ヤフオク!デザインへのこだわり
ヤフオク!には常時、約6000万点もの商品が出品されています。津田さんは、ヤフオク!統括本部の開発部門で、入札者や落札者向けの画面のレイアウト変更や機能改善に取り組んでいます。

利用者が希望の商品を早く見つけられるよう、検索結果画面に表示される関連キーワードをより多く表示できるようにしたり、お気に入り登録している商品をトップ画面に表示したり。もっと快適に買い物を楽しんでもらうために改善した方が良いと感じた課題があれば、その都度、新しい画面デザインを考えます。最終的に決まるまでには、デザイン案を何パターンも作成するなど、試行錯誤を繰り返します。
津田さんが、デザインを考える時に大切にしているのが「利用者の視点」。利用者テストを実施したり、利用パターンなどをいくつも想定して全て検証してみたりと、ニーズを正確につかもうと日々、分析を尽くします。
それでも、予想していた効果が表れないこともあるそうです。ヤフオク!のデザイン担当も5年を超え、現在は6人のチームメンバーを率いる立場になりましたが、「サービス改善のためのアイデアはたくさんありますが、利用者のニーズを満たせなければ『改善』とは言えません」と厳しい眼差しを向けます。「だからこそ、『これは本当に利用者のためになるのか』という感覚とビジネスのバランスを常に意識するようにしています」
行列ができるほどの社内レストラン
チーム会議や作業でパソコンと向き合う時間が長く、ずっと社内で仕事をしている日がほとんど。その分、ランチタイムには外に出て、大好きな肉料理を食べるのが、津田さんのリフレッシュ法です。
「最近、お肉ばかりで野菜が不足しているな……」。そんな時には社内レストランを利用します。
ヤフーの社内レストランは、まるで商業施設のフードコートのよう。入り口の頭上に設置されたモニターには、麺類や定食などのメニューが表示されており、津田さんは、その中で一番野菜たっぷりなメニューを選ぶそうです。
同じフロアには、「野菜ソムリエ」が厳選したサラダや、肉、魚料理など約20~30種類が並ぶビュッフェや焼きたてのパンを提供するカフェもある充実ぶり。日によって様々なランチを楽しむことができるため、毎日行列ができるほどの人気だといいます。
始まりは友人と作ったHP
情報デザイン系の大学でウェブ制作を学んだ後、2009年にヤフーに入社した津田さん。きっかけは、中学生の頃、独学でホームページ(HP)を作ったことでした。
当時は、チャットルームなどパソコンを使ったやりとりが流行っていた頃。津田さんは、友人に手伝ってもらい、クリスマスまでの日数をカウントダウン表示するアドベントカレンダーのHPを作りました。とても簡単なHPでしたが、「クリックしたら、自分の思った通りにサイトが動くのが面白かった。ホームページに訪れた人から反応をもらえるのもうれしかったです」と振り返ります。
その後、より多くの人の目に留まり、使ってもらえる場所でデザインに携わりたいと考え、IT大手の同社を志望しました。
選べる職場
そんな津田さんが働く場所は、日によって変わります。なぜなら、同社は社員の固定席を廃止し、席を自由に選べる「フリーアドレス制」を導入しているから。チームのメンバーも、社内の違う場所で働いているため、会議を開く際にはパソコン上でやりとりして、調整を済ませます。
月に最多で5日、時間や場所にとらわれず働ける制度「どこでもオフィス」も活用し、月に2、3日、自宅で仕事をしています。「『今日は集中して作業を終わらせたい!』という日に使います。通勤時間もいらないので、効率的ですよね」
趣味にもヤフオク!
平日はパソコンに向き合う時間が長くなりますが、休日は電動ドライバーや紙ヤスリを手に、DIY(日曜大工)を楽しんでいます。お気に入りは、手持ちのアイテムが収納できるように設計したコート掛け。昨年、神奈川県内で中古マンションを購入し、リフォームしました。デザイン関係で働く夫に設計してもらって一緒に家具を作ったり、自宅の壁を塗り替えたりして、少しずつ二人の理想の家に近づけるのが、休日の楽しみだそうです。

最近は、自宅のインテリアに合うアンティークの食器棚を探すため、通勤時間などの空いた時間を見つけては、ヤフオク!を毎日チェックしているそう。
ヤフオク!を進化させ続ける
1999年に始まったヤフオク!は、9月でサービス開始20周年を迎えます。フリマアプリの登場で市場が激化する中、「改善するところは、まだ山ほどあります」と津田さん。
「自分の経験・知識や女性の視点を生かして、より利用者が使いやすいサービスに進化させていきたい」。そう決意を語ってくれました。
(取材・文/メディア局編集部 安藤光里、写真/金井尭子)
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