ソフト面のチェックとは
*どんな人たちが住んでいるのか
*今までトラブルはあったか
*管理(管理組合の運営状況)の確認
ハード面だけではなく、家(マンション)のソフト面までアドバイスしてくれるという、家のプロ、ホームインスペクター。しかし、家のソフト面とはいったい何を指すのか。
辻「まず、部屋以外にもマンションの共有部分を確認するのがオススメです。きちんと整備されているか、ゴミ捨て場はきれいか。掲示板の注意事項などもチェック。トラブルが起きている様子がないかなど、住民や管理組合の様子も知ることができます」
エレベーター内の確認も大事。共用部分ってどんな人が住んでいるかが、わりとそのまま出るからだ。それから、所有者と賃貸の割合がどうなっているのかも重要ポイントだ。

辻「これらを知る手っ取り早い方法が、管理組合理事会の総会議事録、管理規約、使用細則を見せてもらうことです」
議事録や管理規約を読むことで、どんなことがわかるのか?
辻「たとえば、深夜の騒音、警察沙汰、ゴミ出しなどの規則の変更履歴など、このマンションでいままでこんな出来事があった、ということがおおまかにわかります。特に、修繕積立金の滞納状況はいちばん気になるところですよね」
高「それだ。そこ大事。滞納が多いところだと、相手を訴えたり代理人に回収をお願いしたりすることもある。経費はぜんぶ管理費から出すから、つまりは住人の出費」
長嶋「マンションによっては、諸事情により借入金があったりするところもあります。こういうところは、あとで追加金の回収や修繕積立金がぐんと上がったりします。大規模修繕がきちんと行われているかどうかは、特に重要なポイントです」
長嶋さんいわく、長期修繕計画、つまり大規模修繕は12年おきに実地するのが基本。実際は15~18年くらいをめどに行われているそうだ。そのときまでにどれくらい積立金がたまっているかがとにかく重要なんだとか。
マンションは、年を経るごとに修繕積立金はがかさみやすくなるものなので、これを安易に考え積立金が安いからと喜んでいると、2回目以降の修繕費用が賄えず破綻する。借入金があったりするのはそのせいもあるそうだ。
高「修繕積立金はどれくらいたまっていたらよし、と考えたらいいんでしょうか?」
長「大規模マンション(80戸~)なら、平米あたり200円くらいです。70平米で1万4000円くらいですかね。×戸数×築年。小規模マンションの方が世帯数が少ない分、大規模マンションより割高になります」
ここで覚えておきたいのが、管理費と修繕積立金の違い。実はこの二つを混同している人も多いらしい。
将来的に修繕積立金は上がる、管理費は必ずしも上がらないと覚えておくといい。40平米のマンションで修繕積立金8000円、管理費は1万円くらいを目安にするとよいそうな。
M村「この前、実家のマンションの管理費が上がったんですが、これはどうしてなんでしょう?」
長「物価上昇分は仕方がないとしても、いろいろな理由が考えられます。管理組合が不慣れなのをいいことに管理会社が適当にやっているのかもしれないし、節電などの努力が足らないかもしれない。所有者側にも、管理会社を変えたりして、管理するにも努力が必要になります」
人間も40歳を過ぎると、いろいろ体にガタが出てくるように、モノも使い続けるためには継続したメンテナンスが必要になってくる、ということだろう。
ここで、辻さん、本日何度目かの金言。
辻「中古マンションを買うのは“転職”と同じだと考えてください」
高&M「転職!?」
さて、そのココロは?!
監修:風呂内亜矢/協力:さくら事務所 長嶋修、辻優子
【オススメの関連記事】
中古マンションを選ぶならプロに聞け! ホームインスペクターって何だ?!
不動産屋は教えてくれない、ハザードマップの秘密
東京の安全地帯を探せ! 安心して住めるのはどこだ?
予算3000万円、東京の新築……どんな物件が買える?
東京都心の家賃って、どのくらいお高いんですか?
35歳、働き女子よ城を持て!<まとめ>