2018年から新たにスタートした制度に「つみたてNISA」があります。これまでのNISAと何が違うのか、どういう特徴がある制度なのか考えていきます。
NISAはどんな制度だったっけ?
つみたてNISAについて知る前に、14年から始まったNISAについて、おさらいしてみましょう。
NISA(少額投資非課税制度)は、年間120万円までの投資額なら、株式や投資信託などの運用を非課税で行える、個人投資家向けの税制優遇制度です。
通常、投資で利益が出ると約20%の税金がかかります。10万円で買った株式を15万円で売却した場合、利益は5万円ですが、その約20%にあたる約1万円の所得税・住民税を支払います。自分の手元に残る売買後の現金は約14万円ということになりますね。
同じ取引をNISA口座で行った場合(NISAには、専用の口座の開設が必要です)、約1万円の納税はなく、15万円がすべて自分のふところに入ります。非課税で運用できることは、投資で効率的に運用するために心強い仕組みといえます。自分が買いたいタイミングで、いろいろな商品から選択して購入することもできます。
年間40万円まで非課税、厳選した商品で始められる
一方、つみたてNISAは、文字通り、お金を積み立てて、少しずつ長い期間をかけて投資するというのが前提です。「毎月」とか「年2回」とかに分けて、あらかじめ決まった額のお金を積み立てて投資に回し、継続的に商品を買い付ける必要があります。
また、購入できる商品は投資信託が中心で、対象となっている商品は144本です(2月2日現在)。手数料が少ないなど、ある程度、長期的に運用できると考えられる商品に限定されています。日本には約6000本の投資信託があるため、一部であることがわかりますね。株式の購入はできません。
つみたてNISAの場合、非課税で運用できる金額は年間40万円まで。NISAに比べて年間の投資額は小さいのですが、NISAの非課税期間は原則5年なのに対し、つみたてNISAは最長20年です。投資を継続した場合、ある年の累積投資額は600万円(120万円×5年)と800万円(40万円×20年)となり、つみたてNISAの方がたくさんの金額を一度に非課税で運用できることになります。
つみたてNISAは、NISAに比べて、あらかじめ商品が厳選されていること、積み立てで購入することが特徴で、初めて投資を行う人にとっては親切な制度設計になっています。
次週以降では、運用する際の注意点や、そのほかの投資における減税制度とどう使い分けるかについて考えていきます。
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