あなたは「会社を辞めたい!」と思ったことがありますか?
私は何度もあります。実際に転職したことも……。35歳の頃、仕事内容に不満を抱えていた私は、転職を試み、同業他社の面接を受けに行きました。人事担当者の質問に答えながら、自分のリーダーとしての経験不足、英語力・専門分野の知識の低さが露わになり、とても転職できるレベルではないことを痛感したのです。
会社や仕事が問題ではなかった。私の力不足に問題があった。目が覚める思いでした。ぬるま湯に浸かるように過ごしていた職場を一歩出たことで、自分の市場価値をリアルに思い知ったのです。転職活動はうまくいきませんでしたが、その後の働き方や目指す方向がクリアになりました。
「逃げる」か「攻める」か あなたはどちら?
「仕事がつまらない」「人間関係がうまくいかない」「給料が安い」「社風が合わない」――辞めたい理由は様々だと思います。
でも、突き詰めると、仕事を辞めたい人は二通りだと思います。人間関係や仕事に嫌気がさして逃げ出したい人。仕事の守備範囲を広げて、キャリアアップ(収入アップ)したい人。「逃げの姿勢」と「攻めの姿勢」です。
「逃げの姿勢」だけでは、新しい職場で同じような厄介事に遭ったら、また逃げ出したくなります。「前の職場の方がよかった……」なんてことにもなりかねません。きっかけが「逃げの姿勢」であっても、異動や転職を実現させるには「攻めの姿勢」が必要。そして、相手に「この人と一緒に働いてみたい」と思わせなければ、新たな居場所は見つけられません。
転職には準備が必要です。心の準備とスキルの見極めが大切です。まずは、自分を見つめ直してみましょう。
逃げたい「理由」を別の視点で見てみる
「転職したい」と思ったら、その「理由」をよく考えてみましょう。例えば、「仕事がつまらない」と思っている人は、仕事のどこがつまらないのか、どうしたら「楽しい」と思えるのか。「給与が安い」と思った人は、自分の働きがその給与に見合っているのかどうか。「人間関係が嫌」な人は、理想的な人間関係について考えてみましょう。それらは、会社や他人のせいだけですか? あなたにも問題があるのではないですか?
私はかつて人事部の配属になったとき、最初から「つまらない仕事」と思っていました。前の部署に比べて、仕事のやり方やスピード感に物足りなさを感じていたのです。毎日、「つまらない」と愚痴っていたら、友人に言われたのです。
「あなたはこれまで何をやったの? 何もしてないのに、何がわかるの?」
新しい仕事に正面から向き合うこともせず、不満ばかり言っていた私には「キツイ」一撃でした。客観的に見ると、恵まれた環境に私は甘えていたのだと気づいたのです。「毎年同じような新人研修プログラムを変えてみよう」と前向きな気持ちになりました。自分で動き始めたら、つまらなかった仕事が途端にキラキラ輝いて見えました。
私は外資系銀行で20年働き、その間、三つの部署を渡り歩きました。自分で希望して異動した部署から逃げだそうとしたり、転職活動に失敗してみたり。試行錯誤の連続でしたが、それらの経験で学んだのは、「自分で歩かなければ、景色は変わらない」ということでした。迷ったら、自分で動くことで「景色を変えて」いきました。
転職するにしても、今の職場でスキルアップするにしても、まずは自分で動くことです。
自分で歩かなければ、景色は変わらない。