仕事のお供
2010年同期入社のみんなで作ったカードケース。もう使っていない人もいるんですけど、私は愛着があるんですよね。
「ヒルナンデス!」など複数のレギュラー番組を抱える人気アナウンサーの水卜麻美さん。「明治安田生命保険」が今年の新入社員に対して行ったアンケートで、理想の女性上司1位に選ばれました。今月で30歳になる彼女に、視聴者だけでなく、周囲にも愛される仕事ぶりを聞きました。
後輩とのグループトークで知った「理想の上司」
――――理想の上司と聞いてどう思いました?
後輩たちと通話アプリのグループトークを作っていて、「選ばれていますよ(笑)」と記事の写真が送られてきたんです。後輩たちが笑って教えてくれたのが、すごくうれしくて。同時に、新入社員からみると私はそういう年なのかー、と。4月で30歳になるので、選んでいただいたおかげで、理想の上司にならなくちゃって鼓舞された気がしました。
自分がイメージする理想の上司は、もっと威厳があって、背中でみせる、厳しいけれど頼れる感じ。正直、自分はまだ頼りないと思うし、後輩に「私はどうしたら理想の上司になれるかな。ご飯おごればいいかな」って返信したら、「そうですね。ご飯おごってくれたらいい先輩です」って(笑)。割としゃべる方なので、後輩からみると多少、接しやすいということはあるのかな。自分がそう思っているだけだと嫌ですけれど(笑)。
――――入社して8年目、仕事で成長したと思う場面はありますか?
成長って自分ではわからないです。いつまでも若手のつもりで「まだ下っ端です」と言っていたのに、中堅世代だと実感してきたぐらいですかね。いつのまにか上になっていて、もう「初めてだから」と許される立場じゃない。ただ、自分の中で忙しい、きついと感じるレベルがあがってきたのかなとは思いますね。
新人のころは「ヒルナンデス!」だけで休日は疲れて、ぱたっと倒れていたのに、少し余裕が出てレギュラーが増え、きついと感じていたのが、次の年になるとまだまだできる、と。私は仕事の時はぎゅうぎゅうに予定が詰まって、忙しくしている方がうれしいんです。新人だったら今のスケジュールはとても無理ですが、今ならもっとやりたい、まだできると思う。休日にずっと寝ていなくても今はたまった家事を片付けて、余裕がある。休むのもうまくなったのかもしれないです。
ほかの人の食リポをチェック、家ではずっとテレビを見てます
――――水卜アナというと、食べるのが大好き、というイメージがありますが、普段の食生活は?
意外と普通なんです。確かに食べようと思えばいくらでも食べられるんですけれど(笑)。前は焼き肉、焼き肉、焼き肉、とにかく焼き肉って感じで、ご飯に誘われると尋ねるまでもなく相手は焼き肉とわかっているっていう感じだったのですが、今は和食の良さなどを知ってきた。大人になったんだなと。
――――食べる量も?
人よりは多いらしいです(笑)。早く食べちゃうんですよね。「テレビ局あるある」なんですけれど、アナウンサー同士でご飯に行くと仕事柄飲むようにご飯を食べて、一瞬で終わる。今は、食生活にも気をつけていて、大好きなロケ弁も油ものや茶色系が多いので、できるだけ家で作っています。
――――自炊ですか?
今はなるべく、全部自分で作るようにしています。ダイエットを気にしている分、嫌いなものでカロリーとりたくない、適当に買ってきたもので済ます、というのが絶対嫌で、どうせ食べるなら、本当においしいものや体にいいものを食べたい。玄米をネットで取り寄せて、雑穀入れて炊いて、野菜も八百屋さんで買って1日のバランスを考えて。これを言うとみんなにうるさい、って言われるんですけれど……。お昼用におにぎりも作ります。ジャーサラダがはやった時にアナウンス部で食べていたら、すごくみんなに笑われました。「これ見よがしに野菜食べるのやめてくれる」って(笑)。
――――食べものをリポートする時には、事前の準備や練習をしますか?
食べものは難しくて、そしゃくしながら、次に何を言おうかと頭の中をわーっと動かしています。夜に家に帰ると、ずーっとテレビを見てるんです。ギャル曽根さんのきれいな食べ方や、石塚(英彦)さんのコメントとか、アナウンサーだけでなく、食リポがすごい方たちの仕事を見て、ステキだな、食べ方がきれいだなと思って。
――――自分が出演する番組もチェックします?
自分のも後輩のも見ます。見ると、もうちょっとこうすれば良かったなと落ち込んじゃうんですけれど。結構、気にしちゃうんですよね。失敗を引きずらないようにしているんですけれど、基本的にはこれで良かったかなーと常に不安なんで。こうコメント返したら良かったかな、とか。箱根駅伝の中継を担当した時に、もう少しここの部分のコメントを聞いていればあとの展開に生きたなとか。
――――そんな時はどう気持ちを立て直すんですか?
仕事の借りは仕事でしか返せないんですよね。同じことやってうまくいった時に初めて気持ちが直る。より一層がんばって仕事するしかないですね。箱根駅伝は1年後なんで、その借りを背負ったまま来年と思うしかない。失敗は忘れないようにしているんですけれど、引きずったままのマインドで仕事場にいくと引いちゃうので、いったん置いておく感じですかね。その切り替えはなかなか難しいですけれど。
つらいとは言わない、忙しくても「キャリアウーマン設定」で
――――職場では前向きになるよう気をつけている、ということですか?
基本、前向きだとは思うんですよね。好きな仕事なので、つらいと思っていないこともあるんですけれど、口に出して愚痴を言わない、仕事に関しては楽しいとしか言わないようにはしているかな。「言ってるじゃん」って、つっこみもありそうですが(笑)。自分を鼓舞するためでもあるんですけれど、つらいと言うとつらくなってくる気がしていて。後輩に「すごく忙しそうですよね」と言われても、「けっこう暇なんだよね」と返したり、「疲れてませんか?」と言われても、「いや、すごい元気だね」とか。
以前は後輩に「あー、しんどい」って言っちゃっていた時もあったんです。ぱっと仕事が増えて、実力も追いついてなくてきつかった時期に、仲のいい後輩にしんどいって言っていた時期があって。そしたら後になって「あの時のみとさんは、らしくなく、大変そうだったから、みんな心配していた」と言われて。そっか、すごい心配かけちゃったし、もうやめようそれは、と。言わないようにしたら、自分も元気になった。
あえて、そうやってポジティブに言うようにしていますね。忙しい時は、「なんか私すごくキャリアウーマン感でてる」って思ったり(笑)。廊下を急いで歩いている時に、忙しい忙しいじゃなくて、「すごく働いている、私。かっこよくない?」とバリバリ働いているキャリアウーマン設定みたいなマインドでいると、けっこう元気がでます。
(聞き手:大森亜紀、写真:鈴木竜三)
【水卜麻美さんインタビューの続きはこちら】
「30代は悩み世代、ポジティブに選択肢があると思うようにしています」
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