【フェムテック起業家に聞く】婦人科ラボ 西史織さん

妊娠、出産、生理をはじめとする女性特有の悩みをITやデジタルを活用して改善を目指すフェムテック。これまでにはなかった新たな商品やサービスで女性のライフスタイルや生き方に前向きな変化を与えています。

今日は妊活サービス「婦人科ラボ」を展開するステルラ(本社・東京都千代田区)の代表取締役の西史織さんに事業への思いなどを語っていただきました。

ステルラ 代表取締役 西史織さん

フェムテックについて、その意義を教えてください

フェムテックは、フィーメル(女性)とテクノロジーを合わせた言葉です。「女性のからだの悩みや課題をテクノロジーでアップデートしていくもの」ととらえられています。サービスの進化はもちろん、こうした考え方が広がることで、女性がもっと生きやすい社会になると思っています。

「女性は男性と生物学的に違う」という理解が進んで、例えば、今までなかなかオープンに話しづらかった生理やPMS(月経前症候群)についても、もっと話しやすくなりますよね。企業内制度として生理休暇が設けられていても、実際には、上司に伝えにくいなどの理由で消化率が低いのが現状ですから。

「婦人科ラボ」は、どんなサービスがありますか?

「婦人科ラボ」は、不妊治療クリニックの検索サイトです。こだわりや条件を細かく絞っていくことで、自分に合ったサービスを受けることができるクリニックが見つかるようにしています。また、妊活・不妊治療・卵子凍結を検討している方々に向けた情報をお届けしています。コラムは、不妊カウンセラー、臨床心理士など専門家が執筆し、医師の監修を入れています。

 “かかりつけ医”という概念そのものも、ライフステージによって、産科、婦人科とその担い手を変えていく必要があります。妊娠の前後や、個人の状態に合わせて医療を選べるように、不妊治療以外の医療機関との提携も広げていきたいです。将来的には、このプラットフォームにきたら今の自分の症状に合ったクリニックが見つけることができる「かかりつけの婦人科」の受付窓口のようなポジションを目指しています。オンライン診療といったテクノロジーを上手に活用する仕組みをつくることで、医療の地域格差といった課題にも取り組めていけたらと考えています。

事業を始めたきっかけを教えてください。

友人が不妊治療をしていて、話を聞くうちに、「子どもを授かるのはそんな簡単じゃない」ということを実感し、妊活に興味を持ちました。20代半ばを過ぎた時でした。「子どもを産みたい人が産めない社会にしてはいけないのではないか」と疑問に思うようになり、この領域で事業を始めようと決めました。

その友人から、「先に卵子凍結をしておいた方がいいよ」と勧められ、卵子凍結ができるクリニックについて調べました。私自身も友人から話を聞くまで、年齢とともに卵子が老化することや妊娠への影響などについて詳しく知りませんでした。調べていく中で、日本語での卵子凍結に関する情報があまりにも少ないことを実感しました。その経験から、自分でサービスを作りたいと思うようになりました。逆に、不妊治療についての情報は溢れていて正確な情報に出会うことの難しさを痛感したことで、きちんとした情報発信が必要だと思いました。

出産や不妊については性教育などを通じて、できれば中学、高校生くらいから知っておいてほしいと思い、20213月の「国際女性デー」に合わせて、女性のヘルスケアにかかわるオンラインイベントを開催し、大学生と性教育について考える機会を作りました。

最近はツイッターなどでも、卵子凍結・保存についての話題も上がるようになってきています。

仕事を続けるうえで、女性の場合、キャリアを形成する時期と出産時期が重なってしまうことが少なくありません。卵子凍結・保存といったサービスを利用すれば、出産のタイミングを少し先に延ばすことができます。もちろんデメリットやリスクもありますが、働くうえでもメリットが大きいと思います。

私自身、27歳の時に卵子凍結・保存をしました。将来、「自分が子どもを産もうと思った時のもう一つの選択肢、選べるプランBがあったらいいなあ」と感じたからです。本気で仕事に専念するか婚活するかを悩んでいた時期でした。卵子凍結・保存を行い、「仕事と結婚、出産のタイミングをどうするか」という悩みを吹っ切ることができました。だれもがどこかの年齢でぶつかる壁だと思います。

最後に、同じ時代を生きる女性たちに伝えたいことは何ですか?

妊活と一口に言ってもいろんな選択肢を知って自分に合った最適なものを見つけてもらいたいな、と思います。卵子凍結・保存についても、「こんな方法があるよ」ということをまず知ってほしいと思っています。必ずしもそれを選んでほしいというわけではありません。「卵子凍結をする、しない」という選択の中身に関係なく、こういう選択肢があることを知り、選択できる環境にいることが大切です。選択する・しないを自分で決断できれば、その後の人生に納得感が持てますよね。

私自身は、働き方や生き方を「あの人のようになりたい」というロールモデルのように誰か特定の方を目指すのではなく、周囲をはじめ、いろいろな方々の働き方や生き方をさまざまな選択肢のサンプルという形で取り入れて選んでいきたいです。そうすることで自分が納得感を持って生きていけると思っています。

「婦人科ラボ」https://www.fujinka-lab.com/

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