【SDGsの基礎】ビニール袋だらけの買い物でエコバッグ?

働く女性とSDGs〈9〉

SDGsの観点から、日頃の買い物について考えます。有料化になったレジ袋。エコバッグを持つようになったけれど、総菜や魚のパックを一つひとつビニール袋に入れたり、紙袋を二重にしたり、環境に配慮した買い物とは何なんでしょうか?

SDGsは、これからの暮らし方や働き方の指針となる世界の共通目標です。でも、自分がどうやって関わればいいのか分からないという人も多いのでは? 働く女性がこれだけは知っておきたいSDGsについて、日本総合研究所の村上芽さんが解説します。連載9回目のテーマは「女性と環境」です。

【質問】
40代の公務員男性。環境問題に関心を持つようになった妻は、エコバッグやマイカップを常に携帯し、洋服や化粧品を選ぶときも、メーカーの環境への取り組みを調べるほどです。その一方で、紙袋を二重にしてもらったり、総菜や魚のパックを一つひとつビニールで包んだりします。環境に配慮した買い物って何なのだろうかと疑問に思います。

2020年7月から、スーパーやコンビニエンスストアなどでレジ袋が有料になり、エコバッグを使う人が増えました。有料化前の20年3月と有料化後の11月に、環境省が実施したアンケート調査によると、直近1週間で買い物をした店舗からレジ袋をもらわなかった人は、8か月間で約3割から7割以上に増えたそうです。

質問者の男性は、レジ袋の削減についてはよいとしても、エコバッグの中に入れるものを一つひとつビニール袋で包んでいてよいのか――という疑問を感じているのですね。

レジ袋をもらわなかった人の割合を示すグラフ
レジ袋をもらわなかった人の割合(環境省「みんなで減らそう レジ袋チャレンジ」広報事務局資料に基づき作成)

レジ袋有料化の背景には、1度使った限りで捨ててしまう「使い捨て」「ワンウェイ」のプラスチックを減らすという目的があります。なぜ、「使い捨て」はいけないのでしょうか?

プラスチック製品は、世界的な利用増加でこれまでに83億トン以上作られてきました。そのうち、埋め立て地や海などに廃棄されたのが79%、焼却されたのが12%、リサイクルされたのはわずか9%に過ぎず、うまく循環しているとはとても言えません。

使い捨てられるプラスチックは、きちんと処分されないことも多く、世界でみると年間800万トンものプラスチックごみが海に流入しているという推計もあります。

持続可能なライフスタイルを学ぶ

さて、ここまでの話だと、「やっぱりビニールの小袋もやめよう」とだけ思ってしまうかもしれません。やめることも一案ですが、ここではSDGsの力を借りて、さらに視点を広げていきましょう。

SDGsでは、14番目のゴールが「海の豊かさを守ろう」で、「2025年までに、海洋ごみや富栄養化を含む、特に陸上活動による汚染など、あらゆる種類の海洋汚染を防止し、大幅に削減する」と書かれており、これが海に捨てられるプラスチックを減らそうという話と直結しています。

また、12番目のゴールは「つくる責任つかう責任」です。ここでは、ごみを減らして資源を有効に活用すること全般に加え、食品ロスを減らすことや持続可能なライフスタイルについて知る・学ぶことなど、私たちに身近な内容が書かれています。質問者の妻の「メーカーの取り組みを調べる」という行動は、この12番に近いですね。

このほかにも、11番目のゴール「住み続けられるまちづくりを」には、特に都市におけるごみがきちんと収集され、処分されているかといった内容があります。

SDGs全体を通じて、ごみの削減や適正な処理、資源の有効活用に関する内容が散りばめられていると言えるでしょう。

消費者が意識を変える時期

こうして、SDGsをあちこち見てみると、「海洋プラスチックごみを減らしたい」という目標と「食品ロスを減らしたい」という目標の両方があることが分かります。

どういうことかというと、お菓子の個包装を想像してみてください。個包装や小分けは、食べ残しを減らしたり、賞味期限を長くしたりする効果があり、食品ロスの削減につながりそうです。けれども、それによって小袋などの包装材は増えます。それらは、プラスチック素材であることが多いでしょう。

では、相反する二つの目標を達成するために、どうしたらよいかというと、プラスチックの利点(軽さ、耐久性など)を生かしつつ、そのもとになる素材を自然に返りやすいものにするなど、使う量を減らさないやり方がありそうです。

どこでもリサイクルしやすいように、ごみ処理の仕組みや方法を見直すことも必要かもしれません。また、どこまできれいに、しっかり包装しないとダメなのか、消費者が意識を変える時期にあるのかもしれません。

「環境に配慮した買い物」は、エコバッグなどをきっかけに、「買いたい商品が何からできているのか」「包装は何のために必要なのか」「使い終わった後にうまく処分できるのか」など、消費者が関心を広げていくことで達成できると期待したいです。

SDGsが掲げる17のゴール
SDGsが掲げる17のゴール

SDGsSustainable Development Goals、持続可能な開発目標)とは、2015年の国連サミットで採択された、30年までに持続可能でよりよい世界を目指す国際目標です。「飢餓をゼロに」「平和と公正をすべての人に」など17のゴールと169のターゲットで構成され、経済、教育、環境、人権などについて、政府、企業、市民がともに取り組む課題が示されています。

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村上芽
村上 芽(むらかみ・めぐむ)
日本総合研究所 創発戦略センター シニアマネジャー

京都大学法学部卒。日本興業銀行(現みずほ銀行)を経て、2003年に日本総合研究所入社。ESG(環境、社会、ガバナンス)投資の支援、気候変動リスクと金融などが専門。著書に「図解SDGs入門」(日経BP)。