職場のモラハラ上司の特徴と対策は?タイプ別の言動例と意外な弱点

キャリア小町その23

職場モラハラ上司が「使えない女」と暴言を吐く様子

自分らしい働き方や生き方について考える「キャリア小町」。キャリアコンサルタントの土屋美乃さんが、仕事や転職などの不安や悩みを抱える働く女性にアドバイスします。

働く女性から寄せられる転職のきっかけや仕事の悩みの一つに、「職場の人間関係」があります。新年度を迎える時期は、異動や配置転換などの人事を行う企業も多く、新たな人間関係の構築が求められます。そこで今回から、「職場の困った人間関係」をシリーズで紹介していきたいと思います。初回は「モラハラ上司への対処法」です。

「モラハラ(モラル・ハラスメント)」とは、一般的に「精神的な嫌がらせ・いじめ、相手の尊厳を傷つける発言や行動」です。厚生労働省の「職場におけるハラスメント関係指針」(2019年)によると、次のような行為を精神的攻撃としています。

・人格を否定するような言動
・性的指向・性自認に関する侮辱的な言動
・必要以上に長時間にわたる厳しい叱責
・他の労働者の面前における大声での威圧的な叱責
・集団で無視をし、孤立させる
・嫌がらせで仕事を与えない

実際に、職場の人間関係に悩んでいる女性の相談には、「上司の侮辱的な言動や嫌がらせに苦しんでいる」というモラハラ上司の存在が少なくありません。新しく赴任してきた上司が女性を見下した発言を繰り返す、異動した先の上司が威圧的な態度で怖い、転職した職場で上司が無視する……。働いていれば、いつか、どこかで出会うかもしれないモラハラ上司。どう対応すればいいのでしょうか?

モラハラの上司の特徴を知る

もし、あなたが上司からの執拗な叱責や暴言に苦しんでいるなら、何よりも大切なのは、それらが仕事上の注意や指導ではなく、「モラハラかもしれない」と認識することです。

そして、なぜそのような状況に陥ったのか原因を探る必要があります。モラハラ上司の言動を大きく分けて3つのタイプで考えてみましょう。

モラハラ上司に暴言を吐かれたら?どう対処すればいいでしょうか
写真はイメージです

〈1〉精神攻撃型

自分が優位な立場である(優れている)ということを主張するタイプ。部下のささいな言い間違いやちょっとしたミスなどにつけ込み、執拗に責め立てます。

注意や指摘だった言葉が徐々にエスカレートし、「だからお前は無能なんだ」「使えない女だな」などと人格を否定する暴言になっていきます。ミスを繰り返せば、「お前のことだから失敗すると思っていた」「こんな簡単なことができないのかクズ」と追い打ちをかけ、部下を精神的に苦しめていきます。

〈2〉自己正当化型

モラハラ上司に多く見られるのは、「部下を正しく導いている」と思い込んでいるタイプです。「お前のためを思って厳しく注意している」「若いうちは苦労したほうがいい」などを信念とし、業務と関係のない雑用をやらせたり、能力に見合わない無理難題を押しつけたりします。

自分の言動がモラハラという認識がないばかりか、むしろ、「正しいことをしている」と自らを正当化します。部下を苦しめている自覚がないため、状況を改善するのが難しいやっかいな上司です。

〈3〉俺様型

自分は特別であると思ったり、他人より優れていると考えたりする上司もモラハラの言動が目立ちます。上司が男性の場合、男尊女卑の考えを持っているタイプです。

実際は劣等感や自己不信感が強いため、自分を大きく見せようとしたり、権力や成功に執着したりします。「自己愛性パーソナリティー障害」の傾向も見られ、他人への嫉妬、自慢話、恩着せがましい言動も特徴として挙げられます。

こうしたタイプの上司は、悪びれることなく「女性が男性に従うのは当然」「俺の指示通りやらないから失敗するんだ」などと口にします。

モラハラ上司への対処法

上司の言動がモラハラではないかと感じたら、どのように対処すればいいでしょうか。

なんとかして相手の思考や行動を変えようなどと思い、時間や労力をかけるのは不毛です。その努力は徒労に終わり、自分が消耗するだけです。モラハラ上司の対処法について、(1)自らの内面を整理する(2)上司との接し方を変える――の2つを紹介します。

上司のモラハラで気力も体力も消耗している場合、「私がダメだから」「このくらい我慢するのは当たり前」などと自らを責めてしまうケースもあります。あらがうのにも疲弊し、「言う通りにやり過ごそう」と諦める思考になっていたら状況は深刻です。

〈1〉冷静に自分の内面を整理する

まず、冷静に自らの内面を整理するために、自らの「感情」と「ストレス」について、言葉で表現し、書き出します。ため込んでいた感情やストレスをアウトプットすることで、自分の置かれている状況をきちんと把握し、感情を整理することができます。

「何が」「どのように」「どう感じたか」などを具体的に記していくと、感情の動きやストレスの原因がはっきりと見えるようになります。

「上司のどの言動に落ち込むのか」「自分にとって何がつらいのか」「どうすればストレスを回避できるのか」などの分析ができ、「反論すると逆上する」「持ち上げれば機嫌がいい」「自慢話は無視しても気にしない」というふうに、上司のタイプに応じた接し方を工夫することができます。

そして、記録した感情のメモは、誰かに相談する場合に、モラハラの深刻な状況を伝える材料として活用できます。

〈2〉上司との接し方を変える

上司との接し方を変える上で何より大切なスタンスが、「相手の期待に応えない」という姿勢です。

職場モラハラの被害者の中には、「人の期待に応えなければ、自分には価値がない」と思い込んでいる人がいます。「上司の言う通りにしなければいけない」「口答えなんてしてはいけない」「見捨てられたら仕事にならない」という気持ちが強く、職場の人間関係に腐心し、上司の機嫌をうかがってばかりで気疲れが絶えません。

たしかに、職場モラハラは、その後の仕事やキャリアに大きく影響を及ぼしかねず、対処行動が取りにくい面もあります。とはいえ、モラハラは心も体もじわじわとむしばんでいき、ビクビクとおびえるだけの生活になってしまいます。

誰かの期待に応え続けてきた自分の心のあり方を変えることで、上司との関係にバリアを作ることができます。相手の性格や態度を変えることは難しいですが、自らの行動を見直し、態度を改めてみると、上司との接し方に変化が生じるはずです。

モラハラ上司の存在は、つらく、苦しいものではありますが、周囲を気にしすぎるあまり自分らしさを失っていたことに気づくきっかけになったかもしれません。

職場の人間関係が常に良好であれば、働く環境としては申し分ありません。しかし、異動や転勤などで、付き合いにくい上司と遭遇してしまうことは必ずあります。そのとき、自分が働きやすい環境を作るために、必要な心構えを知っておきたいですね。

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土屋美乃
土屋 美乃(つちや・よしの)
国家資格キャリアコンサルタント、エスキャリア代表取締役

1983年東京・八王子市生まれ。慶応義塾大学商学部卒業後、リクルートエージェント(現リクルートキャリア)入社。営業や自社の新卒採用担当として、転職や就職という人の人生の転機に関わる。リーマンショックを機に、転職のみをゴールとせず『自分らしく生きる』ことをテーマとするキャリアコンサルタントとして独立。2011年東日本大震災後に自らの天職を形にすべく、エスキャリアを設立。主にライフイベント期の女性のキャリア支援を行う。

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