使っていない銀行口座の放置はNG、気をつけたい3つの落とし穴

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ATMを使う女性
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マネー相談を受けていると、意外に多いのが、使っていない銀行口座をそのまま放置しているケースです。「学生時代にアルバイトの給与振込のために作った」「お得なキャンペーンにつられて作った」などで、現在利用していない銀行口座がないか、すぐにチェックしましょう。使っていない口座だからと放置していると、落とし穴にハマってしまう可能性があります。

落とし穴1 不正利用される可能性

不正利用といえば昨年、「ドコモ口座」から現金が不正に引き出される問題が起きました。ドコモ口座は、NTTドコモの電子決済サービスのこと。銀行口座からお金をチャージしておけば、コンビニエンスストアやスーパー、ドラッグストアなどで簡単に支払いができます。

この仕組みを悪用して、何者かが銀行の預金者になりすまし、ドコモ口座を通じて、銀行口座からお金を不正に引き落としていたケースが相次いで発覚しました。被害は、ドコモ口座と連携する35行のうち、ゆうちょ銀行、みずほ銀行、七十七銀行など11行で確認され、ドコモの発表によると、昨年9月22日の時点で、被害件数は172件、被害総額は2776万円に上ったそうです。

今回の犯行手口としては、(1)犯人がフィッシング詐欺など何らかの不正な手段で、被害者の氏名、生年月日、銀行口座番号、キャッシュカードの暗証番号などの情報を入手する(2)犯人が被害者名義でドコモ口座を開設する(3)犯人が不正に入手した情報を悪用し、銀行口座とドコモ口座を連携登録する(4)犯人が銀行口座からドコモ口座に預金を移動して支払いに利用する――つまり、ドコモ口座を持っていなくても、ドコモの提携先である35行のうち、どこかに口座を持っている人なら誰でも被害に遭う可能性があったわけです。

被害に遭ったかどうかを確認するためには、自ら銀行の通帳に記帳する、スマホで残高を確認するといったことを行う必要があります。使っていない口座に預金残高があれば、知らぬ間に預金が使われていることもあるかもしれません。

落とし穴2 口座を持っているだけで手数料がかかる可能性も

通帳の落とし穴
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現在、銀行口座を開設しても手数料はゼロ。その後も基本的に手数料がかかることはありません。もちろん、通帳も無料で発行してもらえます。ただし、今後はお金がかかるようになるかもしれません。

実際、みずほ銀行では今月18日から、新規で口座を開設し、紙の通帳を発行する場合には、手数料がかかるようになりました。対象は年齢が70歳未満で、通帳1冊につき1100円(税込み)を徴収するとのこと。また、新規の口座開設時だけでなく、その後も通帳を繰り越して追加で発行する場合にも、同額の手数料が徴収されるようです。

最近では、横浜銀行が今年2月16日以降に新規で口座を開設し、紙の通帳を発行する場合には、1冊につき1100円(同)を徴収することを発表。対象はやはり70歳未満です。

さらに、三井住友銀行は今年4月1日以降、新規で口座を開設し、2年以上入出金がなく、残高が1万円未満の口座に対し、年間1100円(同)の口座維持手数料を徴収すると発表しました(ネットバンキング使用なら550円。18歳未満と75歳以上は無料)。

現在は、新規に口座を開設する場合に手数料を徴収するという方向ですが、金融機関が通帳発行手数料や口座管理手数料などを導入する流れが進んでいます。今後は、既存口座にも手数料がかかる可能性がないとは言えませんので、注意しましょう。

落とし穴3 残高不足になると自動で借金する可能性も

普通預金に加えて積立定期預金や定期預金などが1冊の通帳にセットになっている口座を「総合口座」と呼びます。銀行の総合口座には「自動融資」(当座貸り越し)というサービスがあります。もし、普通預金の残高が不足していた場合、その不足額を総合口座の定期預金の残高から自動的に立て替えてくれるサービスです。

自動融資は、自らそのサービスに申し込んで付帯されるほかに、自動的に付帯されていることもあります。

例えば、公共料金やクレジットカード利用代金などが普通預金口座から引き落としされる時に残高不足だったとしても、定期預金を担保にして自動で融資が行われます。自動融資が行われると、普通預金の通帳には借入金額がマイナスで表示されます。これは、銀行から借金をしていることになるので、当然利息がかかります。借入利率は、「定期預金金利+0.5%」。現在、大手都市銀行の定期預金の金利は、0.002%ですから、0.502%の利息がかかってしまうわけです。万が一、放置した通帳で自動融資があった場合、長期間にわたり利息がかかることになってしまいます。

今回お話ししたように、使っていない銀行口座を放置していると、不正利用されたり、手数料が引かれたり、借金したりする落とし穴にハマる可能性があります。使っていない通帳がないかチェックして、今後使う可能性がない通帳は解約しましょう。

高山一恵さん
高山一恵(たかやま・かずえ)
ファイナンシャルプランナー

 慶應義塾大学卒業。2005年に女性による女性のためのファイナンシャルプランニングオフィス、株式会社エフピーウーマンの設立に参画。2015年から株式会社Money&Youの取締役。結婚、出産、夫の転勤など人生に多くの転機が訪れる女性にこそお金の知識が必要と考え、講演、個人マネー相談のほか、雑誌の記事執筆やテレビ番組出演など精力的に活動している。著書に「やってみたらこんなにおトク! 税制優遇のおいしいいただき方」(きんざい)、「ゼロから始めて2時間で一生困らないマネープランができる本」(彩図社)など。

高山一恵さんと株式会社Money&You代表取締役でマネーコンサルタント頼藤太希さんの共著はじめてのNISA&iDECO」(成美堂)が出版されました。マンガと図解を駆使して、これから資産運用を始める人にわかりやすく解説しています。