師走恒例の年末ジャンボ宝くじが発売中です。よく当たると評判の東京・銀座の宝くじ売り場の前には、長い行列ができていました。今年はコロナ不況もあり、一獲千金を夢見て、くじを買う人が多いかもしれません。確かに、1等・前後賞を合わせて10億円が当たったら、何不自由ない人生を送れそうです。一方で、宝くじに当たった人は不幸になるという噂(うわさ)も耳にします。今回は、宝くじの“落とし穴”についてお話しします。
夢の高額当選! 払い戻しに来た人に銀行が配る冊子がある
今年は新型コロナの影響で、収入が下がったり、退職を余儀なくされてしまったりした人が少なくなかったのではないでしょうか。ともなれば、「宝くじで大金を手に入れたい!」と思ってしまう気持ちもわかります。ただ、あるデータによると、高額な宝くじに当たった人は、不幸になっている確率が高いようです。
高額な宝くじが当たり、当選金が払い戻される際、銀行から「その日から読む本」という冊子が渡されます。冊子には、高額当選した場合の具体的なアドバイスが書かれています。例えば、当選金の使い道について、「ローンや借金の返済を優先すること」「当選について知らせる人をリストアップすること」「仕事は辞めないようにすること」「冷静になって落ち着くこと」などが書かれています。こういう冊子が配られること自体、大金が当たって舞い上がってしまい、身を滅ぼすケースが少なからずある証拠と言えるでしょう。
実は以前、私の知り合いで、宝くじで数億円当たったという人がいました。その人は、30代の会社員の女性。毎月のお給料をやりくりし、堅実に暮らしていました。
ところが、まさかの高額当選で、それまでは手に届かなかったような高級ブランドのバッグや靴を買いまくり、高級レストランでの食事ざんまい。旅行に出かけて泊まるホテルは、セレブ御用達のホテル……。生活が一変しました。
今まで欲しい物を我慢する生活を送ってきたので、その反動もあったと思いますが、堅実に暮らしていた生活はどこへやら、あっという間に浪費生活に変わってしまったのです。あんなにあった大金は、みるみる減り、仕事も辞めてしまったようです。彼女とは連絡が取れなくなってしまったので、今どうしているのか心配です……。
年末ジャンボ1等の当選確率は2000万分の1以下
上記の知人の例はさておき、そもそも宝くじを買っても、高額金はなかなか当たりませんよね。年末ジャンボ1等の当選確率は、2000万分の1以下だそうです。宝くじがなかなか当たらないのは、スバリ、宝くじの「控除率」がとても高いからです。控除率とは、宝くじや競馬、パチンコなどの主催者(胴元)の取り分のことです。この取り分が、宝くじは何と約55%もあるのです。
つまり、宝くじの主催者である都道府県や政令指定都市に半分以上、持っていかれているということです。ちなみに、この控除率は、競馬だと25%くらい、パチンコ・スロットだと10%くらいです。ギャンブルを推奨するわけではありませんが、控除率だけ見れば、宝くじよりも、競馬やパチンコの方がまだ当たりやすいと言えるかもしれません。
それに、競馬やパチンコは、傾向を分析したり、経験を積んだりすることで、勝てる確率は上がっていきますが、宝くじには基本的に攻略法はありません。銀座の宝くじ売り場の例のように、少しでも当選しやすい売り場で買いたいと思う人も多いですが、これも気休めと言えるでしょう。
「宝くじは運試し!」と割り切って買うならOK
つまり、宝くじは、絶対にもうからないと最初からわかっている商品を買うのと同じことです。それに、冒頭でもお伝えした通り、せっかく大金を手にしても、不幸になってしまうのであれば、そもそも買う意味があるのか……と考えてしまいますね。
宝くじを買う場合には、「運試し!」と割り切って、年末のお楽しみで買う分にはよいかもしれません(笑)。今年は特にコロナで閉塞(へいそく)感があるので、ちょっとした楽しみとして活用するのもありでしょう。
万が一、当選した場合には、不幸にならないように、日頃よりお金の知識を身につけておいたり、大金を扱っても道を間違えない、器の大きい人間になるように努力したりすることが大切と言えるでしょう。
高山一恵さんと株式会社Money&You代表取締役でマネーコンサルタント頼藤太希さんの共著「はじめてのNISA&iDECO」(成美堂)が出版されました。マンガと図解を駆使して、これから資産運用を始める人にわかりやすく解説しています。