2021年の「人生の選択」、今年のうちに私の本当のやりたいことを知る方法

キャリア小町その18

2020年も残すところ、ひと月余りとなりました。キャリアにおいて、来年の抱負を思い描く際に考えてほしいことがあります。みなさんは「キャリア」という言葉にどのようなイメージを持っていますか? 

時代はワーク・ライフ・インテグレーション

キャリアと聞けば、「職業」や「仕事」と連想する人が多いと思います。しかし、これからの時代には、「『人生全般』において、どのような選択をするか」をキャリアと捉え、より自分らしく生きていくことが大切になってきています。

こんにちは。キャリア小町オーナーの土屋です。前回、相談を寄せた大手アパレルショップ勤務の洋子さん(35)は、キャリアカウンセリングで何を伝えればいいのか迷っていました。そこで、「キャリアカウンセリングではどんなことを話すの?」という疑問に答えるべく、具体的なやりとりの一例を紹介しましょう。

「キャリアカウンセリング」または「キャリアコンサルティング」とは、主に仕事の選択、それに伴う能力開発などに関する相談にアドバイスを行うものとされています。

キャリアカウンセリングを受けることで、自身の適性や志向性、能力、関心などに気づき、自己理解を深めるとともに、社会や企業、仕事について理解することで、自分自身に合った職業を選択しやすくなります。ただ、私はこれからの時代において、「キャリア」は「仕事」や「職業」と単純に言い切れるものではなく、「仕事」を含む「人生全般の選択」を指すものと捉えて考えたいと思います。

「ワーク・ライフ・バランス(仕事と生活の調和)」から、「ワーク・ライフ・インテグレーション(仕事と生活の統合)」という考え方へ変化をしつつあります。「仕事か生活か」のバランスを調整するのではなく、仕事とプライベートの境目が曖昧になり、人生で大切な「仕事も生活も」の選択をしようという機運が高まってきています。だから、キャリアカウンセリングでは、「本当の自分の願いや希望、自分らしさを人生において表現していくこと」が最大の目的となります。

写真はイメージです

心の奥深くに埋もれた自分を掘り起こす

それでは、さっそくキャリアカウンセリングを実践していきましょう。一般的な流れとしては、まず自己理解や仕事理解を促し、その後どのようなアクションをとっていくか、意思決定と実行をサポートします。

キャリア形成の第一歩は「自己理解」です。これまでの選択や行動を振り返り、自分の持ち味や強み、価値観や志向性を自分自身で理解するものですが、ここでつまずいたり、とまどったりする人が多く見受けられます。

というのも、親や会社といった周囲の期待や、与えられた役割にばかり意識が向いてしまい、「自分がどう感じているのか。本当は何をやりたいと思っているのか」という気持ちや感情に目を向ける機会が少なくなっているからです。

カウンセリングを通して、そのような状況を理解し、心の奥深くに埋もれてしまっている自分の気持ちを探し出していきます。

「12~13歳のころ、どんなことに時間やエネルギーを使っていましたか?」

これは、周囲からの期待に埋もれてしまう以前に、その人が持っていた本質を探るための質問の一つです。みなさんも、ぜひ「あのころ」を思い起こしてみてください。

個人差はありますが、小学校低学年は、親や教師の指示や意向に沿って行動する傾向が強く、小学校高学年や中学生あたりになると、自我が芽生え、自分の意思で行動するようになります。周囲との利害関係やしがらみもなく、ストレートに自分を表現できる希少な時期でもあります。

人生で最も大切なことは何ですか?

次に、これまでに経験した「出来事」だけではなく、「感情」に注目していきます。人生の選択において、根底にある真の「価値観」を探るためです。

「あなたの人生で、最も大切なことは何ですか?」

この質問に、言葉を詰まらせてしまう人も少なくありません。そのため、質問を変えて様々な切り口で対話を繰り返し、答えを見つけていきます。

・これまでの人生で(仕事も含め)、うれしかったこと、楽しかったことは?
・つい没頭してしまうことは?
・周りからほめられることは?
・驚き、ワクワクを感じたことは?
・安心で満ちていたことは?
・「憧れ」の感情を抱いた人は?

これらの質問の答えに対し、「なぜそうなのか」と理由を深めることで、その人の「価値観」や「想い」が明確になっていきます。

写真はイメージです

仕事は能力や興味、価値観を表現するもの

最後に、価値観を明確にしていく代表的な理論を紹介しましょう。米国の教育学者であるドナルド・E・スーパーは「仕事とは、自分の能力や興味、価値観を表現するものである。そうでなければ、仕事は退屈で無意味なものになってしまう」と提唱しており、仕事に対する価値観を14項目で定義しています。

〈1〉能力の活用…自分の能力や個性を発揮できること
〈2〉達成…仕事の成果がわかりやすく、良い結果が生まれたという実感
〈3〉美的追求…美しいものを創りだせること、囲まれること
〈4〉愛他性…人の役に立てること、困っている人を助けること
〈5〉自律性…時間と場所に束縛がないこと、一人で仕事ができること
〈6〉創造性…既存の枠にはまらず、新しいものや考え方を創りだせること
〈7〉経済的価値…たくさんのお金を稼ぎ、高水準の生活を送れること
〈8〉ライフスタイル…プライベートを大切にし、家族や趣味に使う時間があること
〈9〉身体的活動…体を動かす機会が持てること、健康であること
〈10〉社会的評価…社会に仕事の成果を認めてもらえること
〈11〉危険性、冒険性…わくわくするような体験ができること
〈12〉社会的交流性…いろいろな人と接点を持ちながら仕事ができること
〈13〉多様性…多様な活動ができること、様々な職種を担当できること
〈14〉環境…仕事環境が心地良いこと

この中の一つ、あるいはいくつかの価値観が組み合わさって、仕事に対する価値観が生まれていると、スーパーは説明しています。私がキャリアカウンセリングで取り組んでもらうセッションの一つに、この「価値観ワーク」があります。

まず、自分自身が大切にしたい価値観を上記の14項目の中からいくつか選択し、その価値観がどのくらい満たされているか、1~10の得点をつけます。これをするだけで、自らの価値観を整理し、言語化するサポートになります。

さらに、得点を上げるには、どのような工夫ができるか、とるべき行動を考えていきます。自らの価値観を明確にした上で、さらに価値観の一つひとつをより充実させていくことで、仕事を含め人生全般の満足度を高めることにつながるはずです。

このとき、最も満足度の低かった項目か、あるいは、満足度の順位が高い項目を選び、行動を考えて実行に移すと、効果を得られやすいのでおすすめです。最初からハードルを高くせず、着実にできそうなことを選んで行動することが大切です。

現在の仕事に不満を感じている人や、転職を考えている人、将来に漠然とした不安がある人も、まずは「私の人生で大切なことってなんだろう」という原点に戻ってみると、この先の自分らしい選択へとつながっていくと思います。ぜひ、2021年の抱負を考えるヒントにしてください。

※「キャリア小町」は架空のサロンですが、実際の相談をもとに事例を紹介しています。

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土屋美乃
土屋 美乃(つちや・よしの)
国家資格キャリアコンサルタント、エスキャリア代表取締役

1983年東京・八王子市生まれ。慶応義塾大学商学部卒業後、リクルートエージェント(現リクルートキャリア)入社。営業や自社の新卒採用担当として、転職や就職という人の人生の転機に関わる。リーマンショックを機に、転職のみをゴールとせず『自分らしく生きる』ことをテーマとするキャリアコンサルタントとして独立。2011年東日本大震災後に自らの天職を形にすべく、エスキャリアを設立。主にライフイベント期の女性のキャリア支援を行う。

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