旭化成ホームズ 数学の知識生かし無から解を出す

働く女のランチ図鑑vol.41

東京西支店設計課 2級建築士 藤田真奈美(26)

「玄関のすぐそばに手洗い場を備え付けたい」「小さくてもちょっとした書斎や仕事スペースがほしい」。新型コロナウイルスの影響で、帰宅後のスムーズな行動を考えた「ただいま動線」や、テレワークを意識した間取りの要望が増えています。

なぜ、その設備を求めているのか、どのような用途を考えているのか……。お客様のライフスタイルに思いを巡らせます。「夫婦共働きですか」「どのくらいのペースで在宅勤務がありますか」「だれがキッチンに立つ頻度が多いですか」。生活のスタイルや趣味に至るまで、少々立ち入った質問をすることもあります。雑談が大好きなので、楽しいおしゃべりの中から、お客様の本音を引き出そうと思っています。

たとえ、お客様の希望があっても、設計のプロとして「こちらのほうが、使い勝手がいいと思いますが」と提案することもあります。

形のない商品を作る難しさ

会社では、主に戸建て住宅「へーベルハウス」の設計を担当しています。扱う物件は、土地の形・大きさ、予算がそれぞれ異なります。「モノ」ではなく、家を建てる意味や理由を理解した上で、より良い提案ができるように心がけています。

設計の仕事は、間取りを考えるところから、実際の建設工事を想定した高精度な図面を作るところまで子細に及びます。

今は、契約前のプランニングをしている段階が3件。そのほか、着工を控えた状態の物件を12件ほど受け持っています。正直、業務量が多く、様々な段階のお客様を抱えているため、スケジュール管理に頭を抱えることがあります。

住宅は完成するまで形のない商品なので、お客様がイメージしていたものと違うといったことがないように、3Dを使ったり、壁の素材を見てもらったりして、入念な打ち合わせが欠かせません。設計段階のお客様と実際の住宅展示場でも打ち合わせます。25センチ四方のサンプルで気に入った壁の色なのに、広いリビングの壁一面で見たらイメージと違ったということもあります。しっかりと、繰り返し説明を尽くすことが必要です。

設計の仕事は、間取りや骨組みを描けば終わりというわけではありません。インテリア担当が出してきた内装イメージを見て、エアコンやコンセントの位置がインテリアの邪魔になっていないか、実際の生活を思い浮かべながらの細かなチェックも欠かせません。

引き渡しの時にお客様のうれしそうな顔を見ると、やりがいを感じます。時間がたってから、改めてお客様のもとを訪問し、「長く住んでも本当にいい家だね」と言ってもらえると、自分の仕事を誇らしく感じます。

帰りたくなる実家が私のホーム

3歳の頃に父を亡くし、幼少期は母と兄の3人で暮らしていました。小学3年の頃、2世帯住宅を建てた祖母と同居を始めました。吹き抜けがあり、玄関がとても広く、光がふりそそぐ明るい家でした。訪ねてきた友達に、2階から「いらっしゃい! 早く2階に上がってきてよ!」と言える家は、大好きなマイホームの思い出です。

生まれ育った秋田では、ヘーベルハウスの物件を見ることはありませんでした。高校2年の時に進路を考えるまで、「建築」という言葉も頭にはありませんでした。でも、数学が好きで理系に進路を決め、数学の知識と趣味のハンドメイドの融合を考えたら、建築の道へ歩みを進めていました。ヘーベルハウスのブランド力と、社員の方の仕事に誇りをもっているところや考え方にすごく共感し、旭化成ホームズに決めました。

入社2年目の時、高台からの眺望と、周りに広がる緑が美しい土地の物件を担当しました。お客様は、大きな吹き抜けのあるリビングやスケルトン階段などを配置し、開放感のある間取りを求めていました。

しかし、私は一般的な吹き抜けを採用するよりも、あえて目線を低くし、地面に近づけたダウンフロアを提案しました。家屋の上に空間を持たせるよりも、眼前に広がる眺望や豊かな緑を借景にするアイデアを提案したのです。お客様の理解を得て完成したその住宅は、私の理想とする仕上がりになりました。

おなかいっぱいになるランチで夜まで元気

国営昭和記念公園(東京都立川市)の近くにある事務所の下の道では、昼食時に様々な種類のお店がワゴンを出しています。価格も350円からあり、それでおなかいっぱいになります。食べることが好きなので、仕事で遅くなる日は迷わずに大盛りを注文し、パワーチャージをします。

パソコンに向かって図面に集中しているときは、ふっと作業を中断してしまうと、作業の再スタートへ切り替えるのが困難です。ランチは仕事の進み具合で、タイミングを見計らって行きます。お目当てのローストビーフ丼は人気メニューで、正午を過ぎると売り切れてしまいます。運良くありつけたときは、午後もハッピーな気分で仕事に励めます。

真っ白な色からピンクやゴールドに

設計の仕事というと、個人のセンスやデザインを求められると思われますが、住宅メーカーの一員として、自分の個性よりも、土地の特長を最大限に引き出すとともに、お客様に紐づく事柄をしっかり理解したいと考えています。

お客様が抱いているふわっとしたイメージを整理整頓し、夢を形にしていくのが私の仕事です。どの家も、住む家族、建てる土地、好きな色、それぞれ違います。ピンクでもゴールドでもお客様の色に染まるために、私は真っ白でいたい。フラットな状態でお客様と出会い、素直に話を聞いて、素直に解を出す。家づくりは、詰め込んだらどこまでもできる可能性を秘めています。

(取材・メディア局編集部 渡辺友理、撮影・稲垣純也)

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生き生きと働く女性をクローズアップする「働く女のランチ図鑑」。職場での仕事ぶりや気になるランチの様子をお届けします。

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稲垣純也
稲垣 純也(いながき・じゅんや)
カメラマン

1970年愛知県生まれ東京在住。篠山紀信氏に師事。2002年独立。雑誌やWebを中心に主に人物撮影。得意分野は女性ポートレイト。

Junya Inagaki