企業研究3つのポイント…その会社で自分の能力生かせますか?

キャリア小町その16

転職活動に欠かせない準備として、前回は「自己分析」について説明しました。自己分析を繰り返し、自分自身のことについて深く理解できたところで安心してはいけません。分析の結果が企業に求められている要素・条件に合致していなければ、いかにうまく自己PRができるようになったとしても、独りよがりになってしまいます。自己分析と同様に「企業研究」もとても重要な準備です。

どの企業に応募すればいいのか?

今年3月に大手飲食チェーンを退職した優子さん(28)は、なんとか年内には転職先を決めたいと、自己分析を何度も繰り返しました。分析を終えて、ほっとしたのもつかの間、「職務経歴書や履歴書は準備が整ったけれど、どんな企業に応募したらいいのか……」。自分の強みを知ったはずの優子さんは、伏し目がちにぼそっとつぶやきました。

こんにちは、転職迷子になっている人の悩みを聞く「キャリア小町」オーナーの土屋です。これまでの職歴や経験を振り返り、自分の強みや特性を認識しても、「どの企業で、どの職種で、どのポジションなら、自分の特性を生かせるのか分からない」と悩む人は少なくありません。自分のことがきちんと理解できたら、次は、相手をしっかりと知ることです。そこで、企業研究の3つのポイントを説明しましょう。

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企業研究に必要な3つのポイント

【1】気になる企業の求人票をチェック

自分自身の強みを、どの企業で、どんな職種で生かせるのかが分からない場合、求人票をたくさん見ることから始めてみましょう。

求人票を見るポイントは、何はさておき「仕事の内容」欄です。「やってみたいかも」「気になる」などと自分の気持ちが動いたら、その部分に下線を引くなど、チェックを入れていきます。たくさんの仕事内容からキーワードを抜き出していくと、興味のある仕事について、ぼんやりでもイメージがふくらんでくるはずです。

心動かされる言葉をヒントに、企業を検索したり、仕事を選んでみたりするのもいいでしょう。知らなかった名前の会社でも、意外な“掘り出し物”の求人が見つかるかもしれません。

転職活動は、同僚や友人、家族に相談せず、一人で悩んでいる人が多くいます。会社選びの段階では、「いい雰囲気の会社」「ブラック企業」などとイメージが先行しがちになります。一人でもんもんと悩むのではなく、エージェントやプロのキャリアコンサルタントに相談しながら進めていくのもおすすめです。気がつかなかった自分の適性や可能性を見つけ、ふさわしい業種を紹介してくれるはずです。

【2】商品名や社長名を検索してみるのも○

応募したい企業や職種が決まったら、面接前にはその企業についてしっかりと調べ、企業研究をすることが大切です。ただ、企業研究といっても、「どの程度調べれば十分なのか」と不安になる人も多くいます。

まずは、手軽に企業のホームページで調べられることは、必ずおさえておきましょう。ホームページには、「歴史・沿革」「会社概要」「企業理念」に加え、採用関連のページには「求める人材」や「先輩社員の仕事ぶり」を紹介している企業も少なくありません。特に新卒採用のページは、会社や業務にあまり詳しくない学生に向けた内容なので、企業の雰囲気や具体的な仕事内容が分かりやすく、大変参考になります。

気になる企業のホームページをくまなく調べたら、次に商品名や社長名を検索してみてください。似たような商品やサービス、競合他社の情報などが照会できるはずです。競合の会社も応募先候補として検討していいでしょう。社長の名前を調べてみれば、これまでの功績、関心事、社風、将来展望などを垣間見ることができます。

企業研究においてもエージェントを活用するメリットがあります。ホームページには掲載されていない情報を持っている可能性があります。企業は、自社サイトにはネガティブな情報を掲載しませんから、会社の評判、働き方の実態、業界の将来性などについて、アップデートされたリアルな情報を収集することができるはずです。

【3】面接も企業研究の一環ととらえる

企業研究は「調べるだけ、調べ尽くした」と思っても、なんだか自信が持てないことがあります。それは、その企業で働いたことがないのですから当然です。どんなに入念に下調べをしても、実際に働いている人よりも詳しくなることはできません。

だからこそ、書類選考を通過し、面接に呼ばれた際には企業研究をさらに深めるチャンスだと思ってください。面接に呼ばれたということは、その企業で働いている面接官と直接対話ができる機会を得られたということなのです。

このチャンスを最大限に生かすには、その企業や仕事について「恐らくこういうことだろう」くらいの「仮説」を持っておくことが大切です。面接は、その「仮説」を「検証」する場と考えてください。企業研究の一環と考えるならば、面接は単に自己PRにとどまらず、自分の能力を生かせる場として適切かどうかを探るのです。

「御社の強みは何ですか?」と丸投げで聞かずに、「ホームページや求人票を読み込んだところ、御社の強みは、商品開発力とグローバル展開と考えたのですが、その認識でよろしいでしょうか。そのほかにもありますでしょうか?」

「御社の社員の方がインタビューに答えている記事を読み、商品企画の仕事内容に魅力を感じました。私自身もそのようなポジションで仕事に携わるイメージでよろしいでしょうか?」といったように、応募企業のことをきちんと研究した姿勢とともに、働きたいという意欲を見せることが大切です。

採用側は、面接の最後には必ずと言っていいほど、応募者からの質問を受け付けます。ここで、「特にありません」と返しては、働きたいという意欲が伝わらないどころか、興味がないと思われかねません。面接の質問タイムは、内定獲得に向けたラストチャンスと心得ましょう。

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面接は自分自身を売り込む「商談」の場

企業研究の一環として面接に臨むなら、何を調べて、何を確認したいか、きちんと整理されたメモをまとめることです。たとえ緊張していても、仮説検証をするという姿勢で面接に向かうことです。しっかりとした下調べには、働きたいという意欲がにじみ出るはずです。

「面接でメモを取ってはいけないのでは」という質問を受けることがありますが、必ずしもそうではありません。私自身も面接をすることはありますが、メモを取らない人は「せっかく会社概要や業務内容を説明しているのに、ちゃんと把握できているのかしら……」と不安になります。

面接はある意味、自分自身を売り込む「商談」のような場です。面接官だけが応募者を判断するわけではなく、応募者も貴重な時間を費やし、これから働き続けるかもしれない会社や仲間について、自分に合っているかを確認する機会なのです。

キャリア小町では、みなさんからのキャリアや転職にまつわるご相談を受け付けています。疑問や悩みがあったら、気軽にお寄せください。

※「キャリア小町」は架空のサロンですが、実際の相談をもとに事例を紹介しています。

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土屋美乃
土屋 美乃(つちや・よしの)
国家資格キャリアコンサルタント、エスキャリア代表取締役

1983年東京・八王子市生まれ。慶応義塾大学商学部卒業後、リクルートエージェント(現リクルートキャリア)入社。営業や自社の新卒採用担当として、転職や就職という人の人生の転機に関わる。リーマンショックを機に、転職のみをゴールとせず『自分らしく生きる』ことをテーマとするキャリアコンサルタントとして独立。2011年東日本大震災後に自らの天職を形にすべく、エスキャリアを設立。主にライフイベント期の女性のキャリア支援を行う。

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