マツモトキヨシ PB商品パッケージに込めた斜め19度の思い

働く女のランチ図鑑vol.40

商品開発課 松下香月(28)

プライベートブランド「matsukiyo」の商品パッケージに、斜めの線が入っているのを知っていますか? 斜線を隔ててパッケージの色合いが異なっていたり、「マツモトキヨシ」のロゴの一部が斜めに欠けていたり。その斜線を「マツキヨスラッシュ」と呼びます。傾斜角度は、ロゴの文字の傾斜と同じ19度。商品ラインアップごとにデザインは違うけれど、必ず「マツキヨスラッシュ」は描かれています。

小さなパッケージに詰まったたくさんのこだわり

2015年にスタートした「matsukiyo」商品は、医薬品や化粧品、食品など約1700種類に及びます。開発担当者やデザイナーと協力し、健康食品や化粧品のパッケージを作るのが、主な仕事です。

今年3月に発売した「フェイシャルマスク」シリーズは、初めてゼロから関わった新しいラインアップ。「大気汚染物質などで敏感になったお肌をケアする」という特長をイメージさせるために、パッケージの色には、マットなシルバーを採用しました。社内アンケートなどを行って、効果をイメージさせる色を調査。マツキヨスラッシュの色に、「高保湿タイプ」には鮮やかなピンクを、「ハリ・弾力タイプ」には黄色をあてました。

お客様に押し出したい商品の持ち味は何か。どんなフレーズが使えて、ぱっと目を引くことができるか。店頭に並べた時、他社商品に見劣りしないか――。法律や社内規則といった制限の中で、どんなパッケージであれば商品の魅力を伝えることができるかを考えて、小さなパッケージに全て落とし込んでいきます。

ただ、こちらのイメージを言葉で正確に、デザイナーに伝えるのは難しいところです。デザイナーが厚意で施してくれたデザインが、社内の規則などから外れていることが直前に分かり、商品パッケージを刷り直したことも。以来、自分たちが常識だと思っていることを当たり前と思わずに、言葉を尽くして詳細にすり合わせるようになりました。

病院勤務からマツキヨに進路を変えたワケ

看護師の母を持ち、物心ついた頃から「私も病院で働くものだ」と当たり前のように思っていました。管理栄養士を志し、医療系の大学に進学。ところが、病院実習で患者に栄養指導をしたり、食事の相談を受けたりするうちに、「病気になってからではなく、病気になってしまう前に対策ができないか」と、進路に迷うようになりました。

大学の企業説明会でマツモトキヨシに出会ったのは、ちょうどその頃です。当時、体の内側と外側の両面から整える「内外美容」に特化した店舗があり、管理栄養士の社員が働いていることを知りました。様々な商品を扱っているドラッグストアでは、メーカーの枠に縛られずに、それぞれの人に合った商品をオススメできます。採用試験では、「いずれは管理栄養士の資格を生かして、PB商品の開発をしたい」と訴え、2015年に入社しました。

夢のきっかけになった「PBアイデア創出コミッティ」

その年の冬、新しいPBとして「matsukiyo」が誕生しました。品質へのこだわりやおしゃれなデザインに、「いいタイミングで、私のやりたかったことが現実になっている!」とすごくうれしくて。入社して4年ほどは店舗を回り、店員として化粧品やサプリメントの売り場で経験を積みました。

夢に近づくきっかけとなったのは、18年に「PBアイデア創出コミッティ」に参加したことでした。商品企画に関わりたい従業員を全社から公募し、PB商品を生み出すという取り組みです。思い切って応募した結果、メンバーの1人として、1年かけて「首もとパックシート」を開発しました。

商品作りに加わって、店舗での経験が生かせることに気づきました。店員は、消費者の気持ちを一番身近に感じることができるからです。「首元の肌のケアに特化したアイテムが少なくて、顔用のクリームを代用している女性がいた」「この保湿成分が含まれている商品は珍しいので、買い求める人が多かった」などと、リアルな意見をメンバーに伝えるようにしました。

19年10月、念願の商品開発課に異動。この1年で50以上のアイテムに関わってきましたが、店舗で聞いてきたお客様の声は今でも大切にしています。

「お久しぶりです」のパスタランチ

今の部署は30~40歳代が多く、私は一番後輩です。ランチタイムは、皆とコミュニケーションをとる大切な時間。コロナ禍の前は、よく声をかけ合って会社近くの飲食店に向かい、家族のことや、はまっているドラマなど、たわいもない話で盛り上がっていました。

定番のお店は、千葉県松戸市にある本社から歩いて10分ほどの場所にある「欧風バルBON」。日替わりメニューのパスタは、何を食べても外れなし! 1000円(税込み)で、スープとバゲット、サラダ、ドリンクがついて満足感もあり、週に1度は通っていました。

この日は、ケッパーとズッキーニ、鶏肉の入ったオイルパスタ。ケッパーの酸味がアクセントになり、おいしかったそうです

新型コロナの感染拡大を受けて、お店は一時閉店になり、私たちもテレワークで出社する日が減りました。数か月ぶりに顔を出した時には、店主が「お久しぶりです」と声をかけてくれて。以前とは違い、少人数でカウンター席に並び、ササッとランチを済ませるようになりましたが、日常が戻ってきたようで、「当たり前」のありがたさをかみしめました。

PB戦略の中心としての使命感

「マツキヨスラッシュ」には、右肩上がりに力強く進みつづけたいというマツモトキヨシの願いが込められています。会社は今後、美と健康分野のPB商品開発の強化を掲げています。それは、まさに私の担当する分野。プレッシャーがある一方、商品の魅力を最大限に表現し、お客様に手にとってもらえるパッケージ作りにやりがいを感じています。

コロナ禍で、「自分の健康は自分で守る」の意識が高まっています。「管理栄養士監修」の健康食品作りのため、商品開発部門の担当者にアドバイスをする機会も増えました。自分の知識を生かした商品やラインアップをどんどん展開し、多くの人の健康をサポートしていきたいです。

(取材/読売新聞メディア局 安藤光里、撮影・稲垣純也)

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生き生きと働く女性をクローズアップする「働く女のランチ図鑑」。職場での仕事ぶりや気になるランチの様子をお届けします。

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稲垣純也
稲垣 純也(いながき・じゅんや)
カメラマン

1970年愛知県生まれ東京在住。篠山紀信氏に師事。2002年独立。雑誌やWebを中心に主に人物撮影。得意分野は女性ポートレイト。

Junya Inagaki