こんなはずじゃなかった…いつの間にか40代、独身、バリキャリ

キャリア小町その12

長い梅雨に続き、猛烈な暑さとなったこの夏。なんとなく体がだるく、頭が働かず、仕事に身が入らないという声を聞きます。テレワークや在宅勤務にもすっかり慣れた頃で、だらけ気味になっている人もいるかもしれませんね。

今回、相談に訪れたのは、41歳になったばかりの夏子さん。都内の大手損害保険会社に勤務しています。北陸出身の夏子さんは、お盆の時期に実家へ帰ることにしていますが、今年は控えました。オンラインで高校時代の友人家族と語り合ったりしているうちに、ふと、えも言われぬ不安に襲われたそうです。

独身アラフォー女性に多い悩み

「私、バリバリのキャリアを目指していたわけではありません。周囲からは仕事一筋と思われているみたいですが、チャンスがあれば結婚したいと思っています。このまま働き続けて、退職後に何が残るのでしょう」。器用で要領がいい夏子さんは、テレワークにも慣れ、仕事がおろそかになったり、生活がマンネリ化したりしていることにも不満を感じています。

こんにちは、「キャリア小町」オーナーの土屋です。「キャリアに対する不安」と「恋愛や結婚に対する迷い」はアラフォー女性に多い悩みです。体力の衰え、妊娠・出産、親の介護など、様々な不安を抱えがちな年代です。

夏子さんも、現在は未婚であっても「一生独身でいる」と決めているわけではなく、いい出会いがあれば結婚することも視野に入れています。正社員営業職としてキャリアを積み、マネジメント職としても評価を得ています。つまり、キャリアへの不安というより、このまま仕事を続けながら「一生独身で生き抜くことへの不安」が大きくなっています。

写真はイメージです

【アドバイス1】自分が持っているものを見る

どんなに強い気持ちを抱いて、何度となく「私らしく生きていこう」と思ってもなお、決心は揺らぐものです。自分が持っているものや積み重ねてきたことも十分にあるのですが、周囲と比べてしまい、つい自分が持っていないものに目が向いてしまいます。

人間の目は外側を向いていますから、どうしても自分の内側より、周囲の情報に気持ちや感情は影響されやすいのです。「隣の芝生は青く見える」という心情は誰にでもあることです。だからこそ、意識的に「自分が持っているもの」や「感謝できるもの」を書き出してみるなど、自分の内側に目を向ける工夫をしてください。

夜、寝る前に「できなかったこと」ではなく、「できたこと」を振り返り、手帳などに書き込むことを習慣にすると、質の良い睡眠にもつながるでしょう。ポジティブに生きているように見えたり、感情の切り替えが上手だったりする人ほど、こうした工夫をしています。

【アドバイス2】「インナーダイバーシティー」を認める

いつも同じような価値観や境遇の友人やパートナーを探そうとしないことです。趣味、旅行、仕事など、それぞれのシーンで様々な仲間を持つと、心の充実感が増します。

多様な生き方や働き方が尊重される「ダイバーシティー」の時代です。「インナーダイバーシティー」という言葉をご存じでしょうか。自分の中にも多様な価値観や要素があることを認めるという概念です。

心理学者のパトリシア・リンビルによって構築された考え方に「自己複雑性の理論」があります。それによると、「自分を多面的に捉えず、単純に捉えている人は挫折に弱いが、自分を多面的に捉えている人は挫折に強い」そうです。

「仕事ができる」「失敗なんてしない」と決めつけていれば、「仕事に身が入らない」「思い通りにならない」というときに、「自分らしくない」と責めてしまいがちです。「たまにはそういうこともあるよね」と考えられる人は、メンタル面で強いのです。時に「ブレる自分」を許せる強さも持ち合わせていたいですね。

自分の中の多様性に気づき、受け入れることができれば、うまくいかなかったことがあっても自分を許し、他人の多様性も認めることができるのではないでしょうか。結婚という既存のパートナーシップ制度だけにとらわれず、その時々の自分に合った知人友人と充実した時間を過ごすこともとても大切です。

【アドバイス3】心をやわらかくする

健康的な心身の管理は、人生を充実させていくために大切なものです。上手にストレスや体のケアをしていきましょう。まずは、自分をゆるめ、ほぐす、そして、人との出会いの中で可能性を広げていく活動を心がけてみてください。

具体的には、適度な運動、ヨガやダンス、整体などを続けていると、体がほぐれていきますね。凝り固まった体がやわらかくゆるみます。その結果、心もやわらかくなり、物事を柔軟に考えられるようになります。

体と心が良い状態になったら、関心が赴くままに活動領域を広げ、自分の役割や肩書を限定せずに、面白そうと感じたところに参加しながら、人間関係も広げていくことをおすすめします。

キャリアの8割は偶然の出会いやきっかけにより引き起こされるという「ブランドハプンスタンス理論」の考え方が支持されています。つまり、人との縁により、自分の可能性も広がるということです。いくつになっても、思いがけずパートナーが見つかることもあります。

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40代独身だからこその魅力

充実した人生が送れるかどうかは、パートナーがいるかいないかではありません。自分の心のあり方ひとつで、人生の捉え方は変わります。

40代独身だからこその魅力も大いにあるはずです。「40代だから、こうあるべき」と決めつけずに、心にゆとりをもちましょう。価値観、境遇、ライフスタイルは一人ひとり異なります。お互いが持つ個性を生かし、新しい気づきを得ていく時代です。

そして、40代には40代だからこそ、独身には独身だからこそ、できることや理解できること、感じられること、気づけることがあるはずです。「自分が持っていないもの」ではなく、「自分の持ち物」をポジティブに把握しながら、自分の可能性を信じ、人との出会いを広げていきましょう。

※「キャリア小町」は架空のサロンですが、実際の相談をもとに事例を紹介しています。

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土屋美乃
土屋 美乃(つちや・よしの)
国家資格キャリアコンサルタント、エスキャリア代表取締役

1983年東京・八王子市生まれ。慶応義塾大学商学部卒業後、リクルートエージェント(現リクルートキャリア)入社。営業や自社の新卒採用担当として、転職や就職という人の人生の転機に関わる。リーマンショックを機に、転職のみをゴールとせず『自分らしく生きる』ことをテーマとするキャリアコンサルタントとして独立。2011年東日本大震災後に自らの天職を形にすべく、エスキャリアを設立。主にライフイベント期の女性のキャリア支援を行う。

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