オンライン面接の落とし穴…採用の決め手「見た目」が5割?

キャリア小町その11

新型コロナウイルスの影響で、今年の夏休みは海外旅行も我慢し、どこにも出かける予定がないという声を聞きます。その一方で、自分自身のキャリアに向き合う時間ができたことで、まとまった休暇を利用して本格的に転職活動を始めたいという相談も増えています。また、採用活動や面接もオンラインで、という企業が目立つようになりました。

初めてのウェブ就活

都内の食品関係の専門商社に勤務する里香さん(30)は、多くの企業が時差通勤やテレワークなどのコロナ対策を進めているにもかかわらず、相変わらず出社勤務を続けさせる会社の方針に不満を抱いています。「こういう非常事態でも柔軟に対応できない会社で、この先ずっと働いていくなんて考えられません」。管理職に女性は一人もおらず、育休を取得する社員もほとんどいないそうです。そこで、転職を決意したのですが、悩んでいることがあります。

「転職活動も初めてだし、受けようと思っている企業は、説明会も選考もオンラインで行います。ウェブによる就活なんてやったことがありません。どんなことに気をつけたらいいでしょうか」

写真はイメージです

こんにちは、「キャリア小町」オーナーの土屋です。コロナ禍で働き方に大きな変化がありましたが、採用活動もオンライン化が進んでいます。今回は、ウェブで行われる選考、とくにオンライン面接のポイントを説明します。

オンライン面接三つのポイント

【1】「見た目」が55%

オンラインで行われるコミュニケーション全般に言えることですが、リアルな意思疎通に比べて非言語情報が伝わりにくい特徴があります。非言語情報とは、表情、視線、身ぶり手ぶりなどの見た目に加え、声のトーンや話すスピードなども含まれます。

コミュニケーションスキルについては、「メラビアンの法則」という考え方があります。この法則によると、話し手の印象を決めるのは視覚情報が55%、聴覚情報が38%、そして、何を話したかという言語情報はわずか7%とされています。実際に採用の面接官に聞くと、「第一印象でおおむね結果が分かる」と断言する人もいます。視覚情報、つまり「見た目」が採否に大きく影響しているということです。

ところが、オンライン面接となると、ウェブの画面ではリアルな雰囲気が伝わりにくいものです。画面が暗いと表情も沈んで見えます。周囲がごちゃごちゃしていると、そちらが気になってしまいかねません。パソコンの画面に自分がどう映っているのか、事前に確認しておくことが大切です。

【2】対面よりもハキハキと話す

視覚情報に次いで、印象を左右するのが聴覚情報です。相手に自分の声がしっかり聞こえているかどうか、あらかじめ確認しましょう。オンライン面接においては、事前にこうした確認をお互いにとることが重要です。

リアルなコミュニケーションよりも、会話が聞き取りづらい可能性があります。早口にならずに、落ち着いた調子でハキハキと話すことを意識してください。面接官の声が聞き取りにくいと、ちぐはぐなやりとりになりかねません。質問を何度も聞き返すような状況では、印象が悪くなります。イヤホンやマイクなど、必要なオンライン環境を整えておくことも不可欠です。

複数人が参加する会議タイプのオンライン面談では、思った以上にネットワーク容量の負荷がかかることがあります。有線のネットワークでつなぐと安定します。自宅のネットワーク環境についても、事前に確認しておくといいでしょう。

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【3】相手の知りたいことを伝える

「面接で伝える内容」は、「メラビアンの法則」では割合の低いとされる言語情報ですが、非言語情報が伝わりにくいオンライン面談では、むしろ重要な要素とも言えます。ただ、オンライン、オフラインのいずれのコミュニケーションでも言えることですが、数十分~1時間程度の面接時間で、初対面の相手に自らのキャリアをすべて伝えるのは不可能です。

自分自身が時間をかけて注力してきたことを、ついアピールしたくなるでしょう。でも、それは果たして面接官が興味を持って聞きたいことでしょうか。家電量販店へ買い物に行ったことを例に考えてみましょう。お手頃な価格重視でパソコンを探していたところに、店員さんから高機能で高価なパソコンを売り込まれても、耳に入らないどころか、時間の無駄にさえ思えてしまうはずです。

面接の現場においても、同様のことが言えます。面接官は、採用したいポジションをイメージしながら、そのポジションに見合うスキルや経験があるかを確認したいのにもかかわらず、自分のPRしたいことばかりに話が終始してしまう人がいます。これでは、せっかくの熱弁も面接官の心には全く刺さっていないことになります。どのようなポジションに、どのようなスキルが求められているのか、具体的な仕事をイメージした上で、経験やスキルなどのエピソードを準備することが大切です。

オンライン面談が増える中で、伝わりにくい情報があるというウェブの落とし穴を知り、意識的に伝える準備を入念に行うのが重要です。そして、オンラインでもオフラインでも、志望企業が貴重な時間を割いてくれていることに変わりありません。せっかくのチャンスを無駄にしないように万全の準備で臨みましょう。

土屋美乃
土屋 美乃(つちや・よしの)
国家資格キャリアコンサルタント、エスキャリア代表取締役

1983年東京・八王子市生まれ。慶応義塾大学商学部卒業後、リクルートエージェント(現リクルートキャリア)入社。営業や自社の新卒採用担当として、転職や就職という人の人生の転機に関わる。リーマンショックを機に、転職のみをゴールとせず『自分らしく生きる』ことをテーマとするキャリアコンサルタントとして独立。2011年東日本大震災後に自らの天職を形にすべく、エスキャリアを設立。主にライフイベント期の女性のキャリア支援を行う。

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