新型コロナにかかっても民間の医療保険の給付対象になるの?

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新型コロナウイルスが猛威を振るってからというもの、感染リスクに備えて、医療保険への問い合わせが急増しているそうです。以前に比べると状況は落ち着いてきたとはいえ、第2波、第3波が来る可能性を考えると、医療保険で備えておこうと思う人は少なくないのではないでしょうか。今回は、新型コロナにかかった時の医療費や、民間の医療保険から支給される給付金についてお話しします。

PCR検査費、治療費はいくらかかる?

新型コロナに感染しても8割程度の人は軽症と言われています。しかし万が一、重症化すると、人工心肺装置の装着などが必要になり、回復するまでに月単位を要するケースもあります。そうなってくると、気になるのが医療費です。新型コロナに感染してしまったら、どれくらいの医療費がかかるのでしょうか?

実は、新型コロナウイルス感染症は、国の指定感染症と定められているため、PCR検査を含め、必要な医療費は公費で負担されます。つまり、医療費は原則かかりません。ちなみに、PCR検査を受けた結果、陰性となった場合でも検査費用は公費で負担されます。

ただし、住んでいる地域によっては、一部負担が生じるケースもあります。例えば、東京都の場合、住民税の一部である「市町村民税所得割額」が56万4000円を超えると、月2万円の負担になります。その金額が上限ですから、新型コロナにかかっても医療費の心配はそれほど要らないと思ってよいでしょう。

ホテルや自宅療養でも医療保険から給付金支給

既に民間の医療保険に加入している場合、新型コロナに感染したら給付金は支給されるのでしょうか?

多くの保険会社では、新型コロナに感染し、医師の指示のもと入院した場合は、通常の病気による入院同様、医療保険から入院給付金を支払うとのこと。また、新型コロナの疑いで医師から入院を指示され、検査の結果、陰性であった場合でも入院給付金は支払われます。

ただし、基本的に入院給付金の支払いは、病院への入院が条件となります。新型コロナ感染者の数が増加していた頃、軽症者は、ホテルもしくは自宅での療養となったケースが相次ぎました。今後も感染が拡大し、医療崩壊が懸念されるようになったら、軽症者はホテルや自宅での療養となる可能性が高いでしょう。

では、ホテルや自宅で療養した場合には、給付金は支給されないのでしょうか? 実は特例で、ホテルや自宅での療養でも、医師の診断書があれば、通常の入院同様、給付金を支払うとしている保険会社が多いようです。

また、最近は、感染防止対策として、電話診療やオンライン診療が普及してきました。入院給付金に加えて、通院給付金が支給されるタイプの医療保険に加入している場合、電話診療やオンライン診療を受けた場合でも、一般的な通院をしたとみなされて、通院給付金が支給されるケースもあるようです。

各保険会社により対応は違いますので、詳細については自分が加入している保険会社に問い合わせましょう。

民間の保険に加入する前に「公的保険」について知っておこう

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新型コロナに感染しても、医療費はそれほど心配しなくてもよさそうなことがわかったと思います。そもそも日本は、「公的保険」の保障が手厚いのです。新型コロナを機に、民間の医療保険への加入を検討した人も多いと思いますが、医療保険に加入する前に、私たちが加入している健康保険で、どれくらいの保障がカバーされるのかを知っておくことが大切です。

現在、私たちが病院で治療を受けたり、薬をもらったりしても、基本的に自己負担は3割で済みます。そのほかに、1か月間の医療費には自己負担限度額が決められていて、申請すると超過分の還付が受けられる「高額療養費制度」もあります。この制度を使えば、健康保険が適用される診療については、1か月で多くても9万円程度に抑えることが可能です。

例えば、病院から医療費を自己負担分で30万円請求されたとしても、後日請求すれば、高額療養費制度によって約21万円が戻ってくるというわけです。高額療養費の対象となる医療費は入院だけではなく、通院であってもOK。また、高額な医療費がかかりそうだとあらかじめ分かっている場合には、事前に「限度額適用認定証」を病院に提出しておくと、自己負担限度額を超える医療費を立て替えることなく、9万円を払うだけで済みます(全国健康保険協会の公式サイト)。

では、民間の保険に入る必要がないかというと、そうとは言い切れないケースも。貯蓄がない場合には、いざという時に保険金が給付されれば心強いでしょう。また、差額ベッド代や先進医療の費用など、健康保険が使えない費用については全額自己負担になります。民間の保険は、こうした公的保険ではカバーされない部分について考え、それに備えるイメージで入るとよいでしょう。

もっとも医療技術の進展や国民医療費の増大などで、入院日数の短期化が進んでおり、入院保障中心の医療保険はあまり役に立たない傾向にあります。医療保険に加入する場合には、最新の医療技術や通院治療を保障している保険かどうかを調べた上で、加入するようにしましょう。

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高山一恵
高山一恵(たかやま・かずえ)
ファイナンシャルプランナー

 慶應義塾大学卒業。2005年に女性による女性のためのファイナンシャルプランニングオフィス、株式会社エフピーウーマンの設立に参画。2015年から株式会社Money&Youの取締役。結婚、出産、夫の転勤など人生に多くの転機が訪れる女性にこそお金の知識が必要と考え、講演、個人マネー相談のほか、雑誌の記事執筆やテレビ番組出演など精力的に活動している。著書に「やってみたらこんなにおトク! 税制優遇のおいしいいただき方」(きんざい)など。