もう仕事に戻れない…離職の空白期間は復職の壁?

キャリア小町その8

新型コロナウイルスへの対応で、テレワークやオンラインの業務を続けている企業は多いでしょう。就職や転職についても、採用活動でオンライン面接が広がっています。転職活動を支援するカウンセリングサロン「キャリア小町」にも、オンラインでの相談が相次いでいます。

復職を考えるも、働く自信がない

今日の相談者は、夫と一人息子の3人で北陸地方に暮らす主婦の恵美さん(33)。首都圏の国立大学経済学部を卒業後、メガバンクの総合職でキャリアを積みました。大学時代から付き合っていた男性と結婚。夫の転勤をきっかけに、恵美さんは仕事をやめ、出産し、専業主婦として3年間、子育てに励みました。

7月に夫が都内の本社へ異動となるのを機に、恵美さんは復職を考えるようになりました。「もう一度、仕事をしてみたいという気持ちはあるのですが、3年間も社会や仕事から離れているため、何から手をつければいいのか戸惑っています」。地方でのんびりと過ごし、仕事から離れていたことで自信を失っています。

写真はイメージです

こんにちは、キャリア小町オーナーの土屋です。結婚、出産、育児など、さまざまなライフイベントを迎える女性は、一定期間、仕事から離れざるを得ないことがあります。一度仕事から離れてしまうと、キャリアにとって成長も経験の上積みもない期間として捉えてしまいがちです。しかし、その期間を、人生にとって意味のある必要な時間と捉えることが大切です。

「ブランク」ではなく「ブレイク」

ネガティブに見られがちな離職期間ですが、ポジティブに捉える「キャリアブレイク」という新しい考え方が日本でも提唱されるようになりました。仕事から離れることをブランク(=空白)ではなく、むしろ多様なものの見方や価値観を身につけるために必要なブレイク(=休暇)にするというものです。

結婚や出産、育児、その他のライフイベントなどによって生じる離職期間は決してブランク、つまり空白の期間ではなく、自分が成長するための有効な期間、見方を変えれば強みにもなるとされます。

人生100年時代と呼ばれる今、男女ともに会社に所属している時間だけでキャリアを評価することは難しくなります。欧米では、キャリアブレイクの考え方がかなり浸透しており、ベルギーでは「キャリアブレイク制度」が導入されているほどです。長期間の休暇を利用して、育児、ボランティア、技能取得などに励んだ経験やチャレンジを評価しようというものです。

キャリアは「ジャングルジム」

日本ではまだ珍しい制度ですが、一人ひとりがこのキャリアブレイクの考え方を持つことは大切です。一つの会社に所属し、休みなく「はしご」を上り続けるような働き方だけがキャリア形成ではありません。

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キャリアを立体的な「ジャングルジム」として捉える考え方もあります。狭い一本道を我先にと競いながら駆け上がっていくイメージの「はしご」に対し、「ジャングルジム」に例えられるキャリアは、上り方や目的地などの選択肢は人それぞれです。一つ進むごとに、次に進む方向を自由に選ぶことができます。

真上だけではなく、横や斜め上でも、腕を伸ばして上っていけばいいのです。そして、そこから見える景色の変化を感じとり、ここではないと思えば、進む方向を変えることができます。一度ジャングルジムから下りて、別の場所のジャングルジムにトライしてもいいのです。

キャリアブレイクで人生がカラフルに

キャリアブレイクを経験することは、人生の選択肢を広げることにつながります。
「自分のスキルでは、もう仕事についていけない」
「仕事の感覚を取り戻せるか心配」
一度仕事を離れた女性からは、こんなふうに復職の不安を訴える相談が多く寄せられます。しかし、キャリアブレイクを経験したからこそ身につくスキルや考え方もあります。

結婚や出産、育児を通して、他人としっかり向き合う力や観察力、予測できないことへの対応力や柔軟性、理不尽なことへの忍耐力……。数え上げれば、仕事の場だけでは得られないような能力を数多く身につけているはずです。

キャリアブレイクという考え方は、すべての女性にとって心強いキャリアの捉え方です。「離職前は、人生という画用紙に1色の絵の具で、決められた絵を描いているような気持ちだった。離職期間を経験し、自分の人生をカラフルな絵の具で自由に描いていいんだと気付いた」という女性がいました。

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多様な働き方が当たり前になっていくこれからの時代に、女性は「どう生きたいか」「どう働きたいか」、そして「どんな自分になりたいか」を自らに問い、正直に発信することが大切です。仕事から離れているときにこそ、自分を見つめ直す絶好の機会になります。挑戦を恐れず、自分が信じる道を歩んでください。

※「キャリア小町」は架空のサロンですが、実際の相談をもとに事例を紹介しています。

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土屋美乃
土屋 美乃(つちや・よしの)
国家資格キャリアコンサルタント、エスキャリア代表取締役

1983年東京・八王子市生まれ。慶応義塾大学商学部卒業後、リクルートエージェント(現リクルートキャリア)入社。営業や自社の新卒採用担当として、転職や就職という人の人生の転機に関わる。リーマンショックを機に、転職のみをゴールとせず『自分らしく生きる』ことをテーマとするキャリアコンサルタントとして独立。2011年東日本大震災後に自らの天職を形にすべく、エスキャリアを設立。主にライフイベント期の女性のキャリア支援を行う。

◆エスキャリアは、オンラインで「Withコロナ時代のキャリア座談会」を7月12日午前10時~11時に開催します。詳細はこちらへ。

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