新型コロナウイルスの感染拡大を機に、テレワークの導入が進んでいます。そのため、ビジネスチャットを初めて経験するという人も多いのではないでしょうか。慣れないビジネスチャットのやりとりで、相手とうまく意思疎通ができなかったり、不快感や誤解を与えてしまったりすることがあるかもしれません。企業の業務プロセスの見直しなどをサポートしている「あまねキャリア工房」代表・沢渡あまねさんに、ビジネスチャットのマナーについて五つのポイントを教えてもらいました。
長い文章を送るのは御法度
【ポイント1】短く、テンポ良く
ビジネスチャットの基本は、「短く」「テンポ良く」「スピーディーに」。伝える文章は1~3行程度でまとめると良いでしょう。
「○○の件で2点相談があります。一つ目は……。二つ目は……」と一気に書き連ねるのではなく、「○○の件で2点相談があります」でいったん送信します。そして、「一つ目は……」「二つ目は……」のように、短く区切って書きます。こうすることで、相手は「いま会議中だから後で読みます」などと自分の状況を回答したり、質問を挟んだりすることができます。
メールや手紙と異なり、会話のように双方向でリアルタイムにやりとりできるツールです。一方的に長文を連ねるのではなく、相手とキャッチボールがしやすい分量とテンポを心がけましょう。ただし、相手の反応がなく、取り急ぎ用件を伝えておきたい場合(「書き置き」をしたい場合)は例外で、まとまった分量の文章を送っても構いません。
【ポイント2】相手に無駄なスクロールをさせない
ビジネスマナーでは必要とされる「おつかれさま」「僭越ながら」「大変恐縮ですが」といったクッション言葉は不要です。
このようなクッション言葉は、画面上でのテンポの良いコミュニケーションを阻害しかねません。クッション言葉や過度な謙譲表現を連ねて、パソコンやモバイルデバイスの画面を埋め尽くすのは褒められたものではありません。
相手に「無駄に画面をスクロールさせない」「無駄に考えさせない」コミュニケーションを心がけてください。クッション言葉よりも、結論や発言の種類(質問、相談、周知、参考情報、雑談など)を最初に伝えておくと対話がスムーズに進みます。
スタンプを活用しすばやく反応
【ポイント3】絵文字やスタンプも大事な意思表示
絵文字やスタンプ、「いいねマーク」などは使用しても問題ありません。むしろ積極的に使いこなしましょう。前述の通り、ビジネスチャットのコミュニケーションは、「短く」「テンポ良く」「スピーディーに」が基本。離れている相手同士だからこそ、スピーディーな意思表示が求められます。まわりくどい丁寧な返事を書くよりも、すぐに絵文字やスタンプで反応を示したほうが相手も安心します。
【ポイント4】チャットから外れるのは上司の後?
ツイッターなどのSNSで、「上司より先にチャットから外れてはいけない」とする情報がありますが、先に外れてもまったく問題ありません。部下にも仕事がありますし、スピード重視の時代、だらだらとチャットに居続ける必要はありません。
ただし、業務時間中である以上、どこにいるのかは明確にしておきたいものです。ビジネスチャットの機能で「在席中」「離席中」などのステータスを示したり、チームで使用しているスケジューラー(予定を共有するITツール)に予定を入れたりするなど、メンバーへの配慮は大切です。
ビジネスマナーもアップデートを

【ポイント5】アナログの当たり前は通用しない
ビジネスチャットのやりとりでは、書面や対面でのやりとりを想定したような前時代的なマナーを強要することは、かえってマナー違反となり得ます。次のような発言や行為は改めたいものです。
・職位順にメンション(読んでもらいたい特定の相手を指定すること)をつけないと怒る
・誤字脱字、「てにをは」の使い方に目くじらを立てる
・絵文字やスタンプのレスポンスに対して「失礼だ」と腹を立てる
・本筋とは離れた話を長々と展開する(相手が合意しているのであればOK)
アナログの世界では「常識」とされている「ビジネスマナー」でも、ビジネスチャットでは「デジタル失礼」に当たることもあります。これを機に意識もアップデートしましょう。
(メディア局編集部 鈴木幸大)
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