文具女子、売り場をココロ躍るスペースに…コクヨ・中村友美

働く女のランチ図鑑vol.29

ポケットにさしたボールペン、かばんにしのばせたキャンパスノート、そして、お気に入りの手帳……。パソコンやスマートフォンがビジネスツールの主流となっても、文具のニーズは衰えません。文具最大手のコクヨ(本社:大阪市)で文具の店頭販促企画を担当する中村友美さん(32)に、売り場作りの工夫やランチの過ごし方を聞きました。

「本当にいい子たち」伝える使命

コクヨは今年10月、色や素材にこだわった文房具の新ブランド「KOKUYO ME」を発売しました。中村さんは、この新ブランドの販売企画に携わりました。シェルピンク、ゴールデングリーン、トーフホワイトなどスタイリッシュな色合いが特徴で、ノートやペンケース、ボールペン、マスキングテープカッターなどのアイテムがあります。アクセサリー感覚で、その日の洋服やバッグなどとコーディネートができます。

商品の陳列場所はもちろん、ペンを試し書きするスペース、テーマ性のある装飾など、店頭をどのようにレイアウトすれば、新商品の良さを伝えられるか、中村さんは考えました。「大切なのは、商品を購入した先にある、具体的なシーンを想像できるかどうかです」

陳列の工夫一つで、ユーザーと文具との出会いが広がり、「試験に向けて勉強をがんばろう」と意欲を燃やしたり、「これなら仕事がはかどりそうだ」と前向きに考えたりできて、生活の活力につながります。文具を「本当にいい子」と表現する中村さん。その魅力を伝えることが使命だと感じています。

実際に陳列方法のアイデアを練るのは、自社のオフィスに限りません。壁全体に釘を打ち込んだホームセンターのディスプレー、子どもの目線に合わせたスーパーの菓子売り場の商品レイアウト、わずかなスペースを活用した駅のキオスクの陳列など、日常のあちこちにヒントがあります。「百貨店の化粧品売り場できらびやかな装飾を見ると、つい資材のコスト計算をしてしまいます」と中村さんはほほ笑みます。

2度の転職、働くことが楽しい

千葉大学でデザイン工学を学んだ中村さんは、大学卒業後、展示会のブース作りや装飾を手がける会社に就職しました。図面を引いたり、立体パース(遠近図)を描いたりするなど、大学で身につけた空間デザインの知識をフルに生かせる仕事に携わりました。

ただ、依頼された展示ブースを作るだけで、展示する商品の魅力は何かといった商品そのものの特性を十分に知ることはほとんどなく、不完全燃焼と感じることも少なくありませんでした。そのうち、「もっとユーザーに近い商品を扱いたい」と考えるようになり、2011年に輸入文具の代理店に転職。子どもの頃から好きだった文具に携わるようになりました。

ところが今度は、自社製品ではないものを扱う難しさに気づきます。「この製品はもっとこうだったらいいのに」「パッケージはこうすればいいのに」――。製品へのアイデアや疑問があっても、それを誰かにストレートに伝えることができないのです。

ものづくりにより近い仕事を求め、14年にコクヨに入社。現在、東京都内にあるオフィスで商品の陳列などの企画に携わっています。「自分に合った、やりたかった仕事をしているので、今は働くことが楽しい」と中村さんは満足そうに語ります。

ランチタイムはパワーチャージ

コクヨに入社して間もなく、大学時代から交際していた男性と入籍。16年に長女を出産しました。入社前から結婚の予定はあったので、転職の際には、育児をしながら働けるような環境を重視していました。勤務はフレックスタイム制ですが、必ず会社にいなければいけないコアタイムはありません。

3歳になった娘が「どうしてもママじゃなきゃイヤ」などとぐずるようなことがあったら、出社時間を少し遅らせることができます。遅刻してだれかに迷惑をかけてしまったり、そのたびに同僚に謝ったりするストレスもありません。それでも、娘が体調を崩した時などは、仕事と育児を両立させる難しさに悩むこともあるそうです。

平日は仕事が終わると、保育園へのお迎え、炊事、洗濯、風呂、寝かしつけが待っています。自宅での慌ただしい時間を控え、昼食はパワーチャージを心がけています。会社の近くで弁当を買い、上司や同僚の女性グループでランチを囲みます。自宅では、子どもにあわせて、オムライスやパスタなどの柔らかくてマイルドな味付けの食事になりがち。だからランチタイムは、から揚げ弁当、海鮮丼、ステーキ弁当など“がっつり系”を楽しみます。


ランチタイムには育児の悩みを相談することも。「娘がシャンプーを嫌がって、どうしたらいいでしょう」などと話を持ちかけると、先輩ママにアドバイスをもらえます。仕事と育児の両立で煮詰まってしまいそうになっても、「それ、育児あるあるだよ」などと仲間と気持ちを共有することで、笑い飛ばすことができるそう。

息抜き、気分転換の場に

文具は数百円程度のプチプライスにもかかわらず、使いやすい工夫やデザインが詰め込まれた商品です。気に入った付箋やマスキングテープなど見つけただけで、気持ちが前向きになれます。

文具コーナーは、心いやすスペースでもあり、モチベーションを上げる場にもなると、中村さんは考えています。「仕事で行き詰まったときに、ちょっとした息抜きや気分転換になるような売り場づくりを目指します」

(取材・文/鈴木幸大、写真/金井尭子)

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生き生きと働く女性をクローズアップする「働く女のランチ図鑑」。職場での仕事ぶりや気になるランチの様子をお届けします。

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金井 尭子(かない・たかこ)
フォトグラファー

ニューヨーク市立大学ハンターカレッジ舞台芸術学部卒業。 帰国後は都内の撮影スタジオに勤務し、2011年独立。得意分野は人物ポートレイト。 バンコク発のファッションブランドに夢中で年2回は必ず訪泰。 現在はフリーランスフォトグラファーとして東京をベースに活動している。ホームページ