花月雪星宙の5組が並ぶ 組織に序列はあるか

タカラヅカが教えてくれたこと(11・・・

 タカラヅカには花組、月組、雪組、星組、宙(そら)組の5つの組があり、それぞれ70人ほどの生徒を擁して、トップスターを中心に舞台活動を繰り広げています。

 タカラヅカ初心者の方によく聞かれることがあります。「組の並び順に意味はあるんですか?」「花組がやはり一番なの?」。うーん。皆さん、組織には常に序列がある、と考えたいようですね。

組の並び順の意味は?

 歌劇団のホームページなどをもとに歴史を紐解きますと、1913年の設立時、翌14年の初公演時には組分けはなかったのですが、21年に2部にして花組、月組と名付けたそうです。人数や公演数が増え、24年に雪組、33年に星組を設置しました。戦時中にいったん廃止された星組が戦後の48年に復活し、長らく4組体制だったのですが、98年に5番目の宙組ができて今に至ります。花月雪星宙という並びは、つまり発足した順番ということになります。

 長年見てきた者として、組に序列はない、と思っています。その時々の複数のトップスターのうち、キャリア、実力、人気に秀でた人を、トップオブトップと呼ぶことがあり、「トップオブトップはやはり花組」と言う人もいないではありませんが、名トップは今も昔も、まんべんなく各組から輩出しています。

 一方、花はダンス、月は芝居、雪は日本物に強い、というように各組には伝統的な特色があるという見方もあります。スターではなく組に付くファンもいますし、長年一つの組を応援し続けるのもまた楽しいもの。でも、組の個性もまた、その時のトップスターのタイプや上演作との兼ね合いで、変わってくるように感じられます。

 外からはよくわかりませんが、たぶんその時々で各組の人気は若干変動するのだと思います。退団者が重なれば固定ファンは一時的に減るでしょうし、逆に、話題作の上演は新しい観客の掘り起こしにつながります。タカラヅカのこのところの作品の当て方、組替え(人事異動)の様子などを見ていると、人気=集客=売上のバラつきを無くし、各組の質的な平準化を図ろうとしているかのようです。

階層型の組織はツライ

 日本の多くのカイシャは、組織を階層型にし、あからさまでなくても「暗黙の序列」を作ることで動いてきた気がします。企業ドラマなどで、「営業以外は人にあらず」とか「支店にも格の違いはあるからな」といったセリフを耳にしますよね。常に「上」を目指そうという動機づけが、良い面では人材と組織の活性化につながったのでしょうが、一方で、無用な競争、働き過ぎ、ある種の差別や徒労感を生んできたとも思うのです。

 タカラヅカでももちろん、組同士の競争意識はあるでしょうし、内部では各組の収支管理などもシビアに行われているのかもしれません。しかし、序列や階層のない並列型の組織間だと、わりと健全な競争が行われるような気がするのです。

 もしかしたら組織の名称が良いのかもしれませんね。「営業1部」「営業2部」というようにナンバー付けされた組織だと、かりに序列はまったくないとしても、何となく「順番」を想起させる。「営業花組」「営業月組」にしてみたら、活力ある組織に生まれ変わるかもしれませんよ。

連載「タカラヅカが教えてくれたこと」一覧

太田姫いのり(おおたひめ・いのり)
タカラヅカ愛好家

 東京都出身。タカラヅカの初見は、(たぶん)1968年新宿コマ劇場雪組公演。その後、今はない松竹歌劇団のレビューにもはまり、伝統芸能から小劇場までさまざまな舞台を見てきた。情報通信業のそこそこ大手で働き続け、現在は上位幹部職員。