もううんざり…でも転職へ逃げ込むのは「伸び悩むダメ女」?

ゆるキャリ女子の未来予想図5

 「今日はどんなことが起きるかしら」とワクワクしながら毎日を過ごしている人はどれくらいいるでしょうか? 現実は、通勤の満員電車に疲れ、イヤな上司の顔色をうかがいながら仕事をしているけれど、自分の思い通りにコトが運ばない……。そんな不満を抱えて、単純で平凡な日常にため息をついている人のほうが多いのではないでしょうか。

色あせていく彩りある風景

 仕事を覚えて一人前になり、同じ業務を数年続けていくと、誰だってマンネリ化に陥ります。新鮮に映っていた彩りある風景が、時間の経過とともに色あせていき、刺激のない日々にうんざり……という状態は、何も仕事に限ったことではありません。

 大学でビジネスコミュニケーションを教えて9年になります。卒業生らと女子会の機会があると、お年ごろの女性たちは仕事や恋愛の話で花を咲かせます。

 ところが、緊張がほどけてくるころになると、仕事の話は人間関係の愚痴ばかりに。「気の合わない直属の上司」「つっけんどんな態度のベテランパートタイマー」「時間にルーズな学生アルバイト」「言われたことしかしない新入社員」……。入社2、3年の彼女たちにとっては、職場の「イラッ」とくる人たちとどう接したらいいのかが目下の課題のようです。

画像はイメージです

なんとなく「転職」に逃げてしまう

 一方、入社5、6年の女性たちは、現状打破の手段として「転職」を視野に入れる人も多くなります。

 美容業界で働く入社6年目のA子さん(29歳)は昨年、念願だった店長に抜てきされました。責任ある立場に自信がついてきたのか、以前より彼女の目はキラキラ輝いて見えます。今までの我慢や苦労のかいあって、ようやく自分の力を発揮できるポジションを手に入れたのです。

 仕事にやりがいを感じ、ハッピーかと思いきや、A子さんはなんと、「転職」を考えているというのですから驚きました。理由は四つあります。

 ・大学時代の同級生が転職に成功し、年収も上がったと聞いて気持ちがざわつく

 ・本社の管理部門(広報・人事)に異動希望を出しているのにかなえられそうにない

 ・トラブルの火消し役ばかりで、会社に都合よく使われているだけと考えてしまう

 ・職場に女性ばかりで男性との出会いがない。転職すれば結婚相手が見つかるかも

 「30歳を目前にし、このままじゃいけないのではないかと漠然と不安になるんです。はっきりと『こんな会社に転職したい』と思っているのではなく、ただなんとなく現状を変えるには『転職』もありかなーと思っちゃうんです」とA子さん。

 社長の考え方や会社の方針に共感した、旺盛な愛社精神の持ち主です。能力を見込まれて店長に昇進しても、なぜか転職に逃げようとしてしまいます。そして、そんな時、自分を「伸び悩むダメな女」と思い、気分が落ち込むのだとか。

画像はイメージです

「モヤッ」とした気分は「伸びる女」の証し

 会社勤めをしていれば、周囲の転職や異動・昇進などを機に、A子さんのように「モヤッ」とした気分になり、自分の“未来予想図”がぼやけてしまうこともあります。でも、視点をちょっとずらすだけで、A子さんは「伸びる女」そのものであることに気づくことができます。

 それには、「モヤッ」とした気分の原因を別の角度から見てみることです。A子さんの場合はこんなふうに考えてみたらどうでしょう。

 ・友達の転職成功が気になる 彼女のサクセスストーリーに耳を傾け、参考にしましょう。転職サイトの情報など耳寄りな話を集めるチャンスです。うらやましい年収アップの裏には、何か大変なことが隠れているかもしれません。単純に収入だけ比較しても意味はありません。

 ・本社の管理部門に移りたい 本当に異動を強く願っているなら、その本気度を直属の上司と、さらにその上の上司へはっきり伝えるべきです。管理部門とのパイプを確保するなど準備が必要です。

 ・トラブルの火消し役ばかり 問題解決能力を認められた証しです。これはA子さんのキャリアにとって強みです。その長所をさらに磨き、その道のスペシャリストになるのも、「伸びる女」の生き方です。

 ・人生のパートナーを探したい そのことを周りに伝えましょう。友達や同僚が紹介してくれるチャンスが生まれるかもしれません。

画像はイメージです

行動しなければ物語は始まらない

 「自分の好きな仕事」や「人生のパートナー」を望むなら、ただ待っているだけでは何も起きません。“白馬の王子様”は自分で探しに出かけましょう! 

 グリム童話「シンデレラ」で、ガラスの靴が脱げ落ちてしまう有名な場面があります。このシーンは、王子様の気をひくために、「わざとガラスの靴を残していった」という解釈もあります。残されたガラスの靴の真相は分かりませんが、何か行動をしなければ物語が始まらないことは間違いありません。

 「転職」の文字が頭をよぎったら、それは、閉塞感のある現状を抜け出し、新たな未来を描こうとする意欲の証しです。

 日々の仕事に「うんざりしている人」こそ「伸びる女」!

関下昌代
関下昌代(せきした・まさよ)
キャリアカウンセラー

亜細亜大学非常勤講師。熊本市生まれ。高校卒業後、住友信託銀行に就職。以後、派遣、臨時職員でテレビ熊本、熊本県庁などで勤務した。1989年シティバンク銀行に転職。いくつかの業務部を経て、2001年人事本部人材開発課に異動。社員研修プログラムの企画、社内講師役を務める。2009年3月、立教大学大学院異文化コミュニケーション学修士号取得。同11月末シティバンク銀行を退職。2011年4月より大学でビジネスマナーやコミュニケーションの科目を担当。著書に「先輩に可愛がられ、同僚に疎まれず、後輩に慕われる女子になる 職場で幸せになる45のコツ」(中央公論新社)「ダメ上司のトリセツ ―働く女子必読! 会社で地雷を踏まないために」(さくら舎)「伸びる女の社内政治力」(同)「伸びる女(ひと)と伸び悩む女の習慣」(明日香出版社)などがある。

「伸びる女!」になる秘密