役に立たないと思った勉強…「人生のギフト」に変えるには?

ゆるキャリ女子の未来予想図2

 読売新聞の掲示板サイト「発言小町」に、「あんなに勉強した時間は無駄だった…」というトピがありました。内容は次の通りです。

3人の子持ちのアラフォー有職主婦です。学生時代の教科書や問題集などを整理していてむなしくなりました。医学部を目指して猛勉強するもかなわず、看護学校中退後に私大文系学部に入り直し、卒業、就職、結婚。転職をくり返し、天職にようやくたどり着きました。ただ、学生時代に勉強した内容は忘れてしまったか、覚えていても役に立っていないと思います。(「くいっくぁ」さん)

 私自身は学生時代、勉強から逃げていましたので、猛勉強したというトピ主さんに尊敬の念を持ちました。そして、転職をくり返し、天職にたどり着いたトピ主さんをうらやましいと思いました。

勉強した経験は宝物

画像はイメージです

 確かに、勉強した分野の専門的な知識が、今の仕事や暮らしに直接役に立っていないという人も少なくないかもしれません。けれど、その時、集中力を発揮して試験にパスしたことの達成感、やればできるという自信、あるいは、チャレンジした結果、うまくいかなくて別の道を選択したことで得られた出会いや発見、ともに学んだ友人や先生とのつながりなど、これらは全て宝物なのです。

 猛勉強してもしなくても、「その時」を生きた私たちには、それが喜びじゃなく、たとえ悲しくつらいことだったとしても、人生のギフトとして、それぞれの体の年輪の一部に刻まれているはずです。

 学生時代に猛勉強したという人も、私のように遊んでいたという人も、これからの未来が大事。「私はこれくらいしかできないから」と、勝手に自己規制しないで、興味のおもむくままに行動を起こせば、天職に出会う確率は高まるのではないかと思います。

新しい世界に一歩踏み出す

 「新卒で入社以来、仕事を必死で覚える一方で、上司や同僚との人間関係の悩みを乗り越えるのが結構大変でした。大好きと思えた仕事より、人間関係の悩みのほうが上回り、落ち込む日が多かった」

 大学で指導したことのあるサービス業で働くA子さん(28歳)は、入社してからの6年間をこのように振り返りました。

 「ようやく、新店舗のリーダーを任されました。大学(経営学部)で学んだことは、プレゼンの仕方やメールの書き方しか役に立っていない気がします。働き方改革で残業が減ったので、最近、ヨガに通い始めました。心と体が健康になったせいか、仕事が面白くなってきました」

 職場と自宅の往復だけでは、思考が行き詰まってしまいます。お稽古事、趣味、ちょっと寄り道(コンサート・スポーツ観戦・映画・観劇……)など、新しい世界に一歩踏み出してみることです。1人でも、友達と一緒でもかまいません。視界がグッと広がるチャンスを自分で作るのです。

 日々の業務では「何の役にも立たなかった」と思っていた学生時代の勉強が、「ああ、そういうことだったのか!」とピピッとつながる瞬間に出会えるかもしれません。

きっかけは興味のおもむくまま

画像はイメージです

 私が外資系銀行の人事部人材開発部門に勤めていたころ、職場に届いた郵便物の中から、M大学の社会人向けカリキュラムのパンフレットを手にしました。当時、社員研修でリーダーシッププログラムの運営を担当していたので、カリキュラムにあったリーダーシップに不可欠とされる「コーチング」の資格を目指す授業に興味を持ちました。

 憧れの大学キャンパスを闊歩かっぽする自分を想像するだけで胸が躍りました。迷わず申し込み、さっそく通い始めました。クラスには様々な業種で働く幅広い年代の社会人がいました。

 休憩時間に30代の女性が「私、自分のお道具箱にコーチングの資格を入れに来たの。いつか役に立つかもしれないから」。かわいらしい模様の千代紙を貼った箱を連想し、楽しい気分になりました。資格を取らないとお金が無駄になってしまうと前のめりになっていた私は、柔らかい笑顔で話す彼女のおかげで、肩の力を抜くことができたのです。

 そして、コーチングの資格を取った私に「メンター」プログラムの運営という新しい仕事が舞い降りてきました。コーチングを勉強していなかったら、尻込みして「私にはできません」と断っていたと思います。

 きっかけは、直感でも、ミーハー魂でも、なんでもいいのです。興味のおもむくまま、「それ面白そう!」と誰かに話してみます。そうすれば、新しいドアが少し開いて、光が差し込むことがあります。「これは自分に合わない」と思ったら、軸足はそのまま会社に置きながら、また別な何かを探せばいいのです。

 自分で自分の限界をつくらない。あなたの可能性は無限大!

【紹介したトピ】
あんなに勉強した時間は無駄だった…

関下昌代
関下昌代(せきした・まさよ)
キャリアカウンセラー

亜細亜大学非常勤講師。熊本市生まれ。高校卒業後、住友信託銀行に就職。以後、派遣、臨時職員でテレビ熊本、熊本県庁などで勤務した。1989年シティバンク銀行に転職。いくつかの業務部を経て、2001年人事本部人材開発課に異動。社員研修プログラムの企画、社内講師役を務める。2009年3月、立教大学大学院異文化コミュニケーション学修士号取得。同11月末シティバンク銀行を退職。2011年4月より大学でビジネスマナーやコミュニケーションの科目を担当。著書に「伸びる女の社内政治力」(さくら舎)、「伸びる女(ひと)と伸び悩む女の習慣」(明日香出版社)「伸びている女性がやっている感情整理の新ルール」(KADOKAWA)、「シティバンク人事部で私が学んだ一生使える「気づかいの基本」が身につく本」(大和出版)「仕事も人間関係もうまくいく!マナードリル」(総合法令出版)「反学歴の成功法則」(経済界)などがある。

伸び悩む女の独りごと~異文化の交差点