許せない「妊活パワハラ」 上司に忙しい業務を担当させられる

弁護士ドットコムニュース

 「妊活を希望しているにも関わらず、忙しい業務を担当させられるなどのパワハラを受け、流産してしまいました」。妊活にまつわるこんな相談が弁護士ドットコムに寄せられました。

 相談を寄せたこの女性は、結婚後「業務が落ち着けば妊活できる」と予定していましたが、異動になり妊活が先のばしとなっていました。

 その後、ようやく妊活を始められたものの妊娠は叶わず、体外受精をすることに。通院日も増え、ストレスも大敵です。そこで、忙しい仕事は無理であることや、休みが欲しいことなど上司に配慮をお願いしましたが、担当業務を変更され、さらに忙しくなったといいます。

 体外受精で妊娠はできましたが、最終的に流産してしまいました。女性は上司の配慮のなさは「パワハラ」だと考えているそうです。具体的にはどのような証拠があれば「妊活パワハラ」と認められるのでしょうか。高木由美子弁護士に聞きました。

「妊活中である女性の保護は十分でない」

――妊婦に対する嫌がらせは「マタニティハラスメント」とも言われますが、今回は、妊活にまつわる相談です。

 男女雇用機会均等法9条では、「婚姻、妊娠、出産等を理由とする不利益取扱いの禁止」が規定されています。しかしながら、妊娠前の妊活中は、同法律の適用はなく、妊活中である女性の保護は十分でないのが実際です。

 妊活中の女性が上司などから妊活に絡みパワーハラスメント行為を受けた場合は、上司のパワーハラスメントとして、訴えることができます。

 パワーハラスメントとは、「同じ職場で働く者に対して、職務上の地位や人間関係などの職場内の優位性を背景に業務の適正な範囲を超えて、精神的・身体的苦痛を与える、又は職場環境を悪化させる行為」といいます。

――相談者の女性は、業務多忙で、妊活が先延ばしとなっていました。

 女性は、上司に妊活中であること、休みが必要なことや妊活に精神的ストレスは大敵であることを伝えているにもかかわらず、その上司は、この女性により忙しい業務を命じるなどして、精神的、身体的苦痛を与えています。

 上司のこの行動は、パワーハラスメントに該当し、慰謝料などの損害賠償請求が出来る可能性があります。

録音やメール記録などが証拠に

――どのようなものが証拠になりますか。

 例えば、上司に「妊活中であることを配慮して欲しい」と伝えた後の勤務時間や業務内容を示す資料、タイムカードや業務連絡のメールなどは、妊活中であることが配慮されずより多忙な業務を命じられたという証拠になります。

 忙しい業務を命じる場合の他に、妊活について過度に立ち入った発言をしたり、配慮のない暴言「いつできるの」「早くしてよ」などもパワーハラスメント行為といえます。これらの言動については、録音やメール記録などが証拠になります。

――女性は流産をしたそうです。この慰謝料も請求できるのでしょうか。

 流産についての損害(慰謝料)も請求できるかどうかですが、上司のパワーハラスメント的言動によって流産になってしまった、という因果関係を証明する必要があります。

 一般的に流産、特に初期流産の原因は多くは胎児の染色体などの異常であるので、パワハラが流産の原因であることを証明することは、困難なことが多いです。そのため、上司のパワハラ行為が証明できた場合でも、慰謝料の額はあまり高額にはならない可能性が高いです。

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