男性の皆さん、ぜひ劇場へ 実は知ってほしいことがある

タカラヅカが教えてくれたこと(2)

 最近驚いたことがありました。他社の男性と打ち合わせ中、たまたま話の流れで「私、タカラヅカが好きで」と言ったところ、「え、僕もなんですよ」。そんなことがなぜか続いて、今年に入って新たに計3人の男性ヅカ友ができたのです。

 皆さん50代。うち1人は3歳から見ていて、私よりヅカ歴が長い。恐れ入りました。あと2人は当初、「妻が好きで、一緒に行くだけなんですよ」と控えめにおっしゃっていたのですが、作品やスターについて話すうちに、かなりのこだわりや熱量が伝わってきて、ああ、ご自身がはまっているんだなとわかりました。

少数者であることの不安

 観客席での肌感覚に過ぎませんが、男性ファンは着実に増えているように見えます。東京の劇場だと男性客比率はおおむね1割ぐらいでしょうか。演目によっては2割近いのではと思うこともあります。

 ただ、まだ観劇歴の浅い男性からは、「あの客席の雰囲気にはなかなか慣れなくて」「圧倒的多数の女性の中に、ぽつんと座っているのは、落ち着かないです」という声をよく聞きます。そうでしょう。「少数者の不安」とはそういうものなのですよ。

 業種や部署にもよりますが、少し前まで日本の企業では、女性が圧倒的多数の男性の中で働くという風景は当たり前でした。私自身にも、そうした経験があります。少数者であることが、いかに心細く、不安であるか。何とか仲間に入れてもらおうと無理な努力をすることもあります。もしくは開き直って、目立つというメリットを享受する手もあるでしょう。「女は得だ」「逆差別だ」という声を気にしないで済めば、ですが。

 昨今、多様性=ダイバーシティーという考え方が広がり、女性に限らず、少数であった人たちの居心地の悪さが少しは軽減されてきたような気がします。そのためにも、ぜひ男性たちにタカラヅカを見ていただきたい。「私たちの不安を思い知れ」とまでは言いませんが、どんな場でも、風景が変わることは大切だと思うのです。

「目線をもらえる」かも

 ここで、観劇のアドバイスをひとつ。女性客の平均的な体格に合わせているのか、宝塚劇場の座席は、他の大型劇場に比べて前後の幅が狭い感じがします。背の高い方だと脚がつかえ、ちょっと窮屈でしょう。通路から奥の席に入るには、人の脚をまたぐようになります。同性同士でももちろんですが、声をかけたり脚を寄せたりというマナーを大切に。

 タカラヅカファンはよく、「目線をもらった」という言い方をします。舞台上のスターが目を合わせてくれた(ような気がする)ときのことです。男性客が舞台に近い良席で観劇していると、ちょっと目立つせいか目線をもらった(ような気がする)みたいで、「いやあ、目が合っちゃったよ。男は少ないからね」と、喜んでおられます。私はこういうとき、よしよし、と寛容な気持ちで受け止めることにしています。少数者であることには時にメリットもありますが、それは不安や葛藤の総量と比べるとほんのささやかなものだと、経験上知っているからです。「逆差別だ!」などといきり立つことはいたしません。

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太田姫いのり(おおたひめ・いのり)
タカラヅカ愛好家

 東京都出身。タカラヅカの初見は、(たぶん)1968年新宿コマ劇場雪組公演。その後、今はない松竹歌劇団のレビューにもはまり、伝統芸能から小劇場までさまざまな舞台を見てきた。情報通信業のそこそこ大手で働き続け、現在は上位幹部職員。