「基本給20万円」実際は手当込み20万円…給与ごまかされている?

弁護士ドットコムニュース

 事前に取り決めた基本給と、実際の給与明細の基本給が違った――。こんな相談が弁護士ドットコムに複数寄せられています。

 ある相談者は、労働条件通知書に基本給20万5000円と書かれていました。しかし、給与明細を見ると、基本給が13万8000円で、その他諸手当を足して合計で20万5000円の支給がされていたそうです。

 基本給が20万円で雇用契約書を交わしたという女性は、給与明細と口座への振り込みを見てみると、家族手当、住宅手当それぞれ1万円を足して20万円だったそうです。

 こうした基本給のごまかしは、問題ないのでしょうか。金井英人弁護士に聞きました。

基本給、住宅手当や通勤手当は入らない

 「使用者(雇い主)と労働者との間で取り決められた給与の額や労働時間などは『労働条件』と呼ばれ、使用者と労働者がともに守らなければなりません。このため、労働条件の内容については不当なものにならないよう、法律で厳しく規制がされています」

 では、基本給も労働条件の内容の一つになりますか。

 「基本給の額というのも労働条件の重要な内容です。使用者は、労働契約の締結にあたり、労働者に対して賃金の決定、計算方法、支払方法などを労働条件として明示しなければならないこととされています(労働基準法15条、同施行規則5条1項3号)。

 使用者は、そうして提示した労働条件の内容を労働者が理解を深めることができるようにし(労働契約法4条1項)、合意に至ればその内容が労働契約となります」

 どこまでが基本給にあたるのでしょうか。

 「基本給の内容に関して、厚生労働省は『住宅手当、通勤手当など、労働者本人の属性又は職務に伴う要素によって算定されるとはいえない手当や、一部の労働者が一時的に従事する特殊な作業に対して支給される手当は基本給としない』と定めています」

給与計算方法が違っていたら「労働契約違反」

 いずれの相談者も、手当を足して基本給とされていたようです。

 「相談内容にある『労働条件通知書』や『雇用契約書』は、まさに使用者が労働条件を労働者に説明するもので、労働者が合意すればここに明示された内容がそのまま労働条件、労働契約の内容となるといえます。

 そこに給与の計算方法として『基本給20万5000円』と書かれていたのであれば、通常の理解として基本給を20万5000円とし、その他の手当は別途加算する計算方法で給与の額を決めるという理解になります。 

 とすれば、そうした給与の計算方法が労働契約の内容になっているのですから、勤務を開始した後に給与の計算方法が違っていた場合、労働契約違反となります。さらに、実際に支払われた基本給の額が少ない場合、最低賃金法違反になる可能性もあります」

差額請求も可能

 労働者は使用者に対して差額を請求できるのでしょうか。

 「労働者は使用者に対し、労働契約で取り決められた基本給と実際に支払われた基本給との差額のほか、時間外労働手当についても、基本給20万5000円を前提として計算した額を請求できることになります。

 さらに、労働者は、労働契約違反を理由に労働契約を解除することもできます」

 過去の分も請求できますか。

 「基本給や時間外労働の差額分は、未払賃金として時効にかかっていない過去2年分に遡って請求することができます。

 民法改正にともない、賃金請求権の時効を5年に延長する議論もされており、基本給のごまかしは、経営者にとっても突然莫大な金額を請求されるという重大なリスクにつながりかねませんので、注意が必要です」

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