多方面で子会社支える「ママ取締役」 サイバーエージェント・木村麻衣子

働く女のランチ図鑑 vol.13

 インターネットサービス大手「サイバーエージェント」の子会社で、ネット動画に特化した広告代理店「CyberBull」(サイバーブル)。動画投稿サイトやSNSなどに掲出される動画広告の制作や、企業のマーケティングの支援などを手掛けています。サイバーエージェントと聞くと、先進的で華やかな企業イメージが頭に浮かびますが、そこで働く女性たちは実際のところ、どうなのでしょうか。同社出身でサイバーブルの取締役を務める木村麻衣子さん(34)に、仕事と家庭の両立やお気に入りのランチについて聞きました。

人事・経営管理部門の責任者に

 木村さんは現在、サイバーブルで人事と経営管理部門を統合した「カンパニーデザイン室」の責任者として、採用や社員の考課などを取り仕切っています。2007年にサイバーエージェントに新卒入社し、16年にサイバーブルに出向。バックオフィスをまとめた新組織を立ち上げたことなどが評価され、18年に取締役に抜てきされました。35歳までに経営陣に入ることを目指していただけに、うれしかったものの、「予想より早かったので、知識不足の穴を埋めなくては」と思ったそう。

 今年2月からは、新規事業を進める専門組織にもメンバーとして参加しています。これまでは、SNSや動画投稿サイト「ユーチューブ」が主要な市場でしたが、同社では今後、スーパーやコンビニエンスストアの店頭にあるデジタルサイネージ(電子看板)の市場も広げようと取り組んでいるのです。

 「広告営業の経験はあるが、小売業界は初めてなので、学ばなければならないことが多い」という木村さん。仕事の合間に小売業の展示会に足を運んだり、小売業専門サイトを見たりと、勉強も欠かしません。

キーマカレーでエネルギー補充

 そんな多忙な木村さんのエネルギー源となるのが、会社のすぐ近くにある「桜丘カフェ」の「渋谷キーマカレー」(1000円=税込み)です。忙しいときは、コンビニで弁当などを買い込み、社内で食事を済ませることも多いといいます。「外に行けるときは、食べたいものを食べるようにしています。ヘルシーランチよりは、元気を補充できるものを選ぶ感じですね」


 桜丘さくらがおかカフェ
東京都渋谷区桜丘町23-3篠田ビル1階
03-3568-2350

 また、このカフェには、テラスや6、7人が座れるテーブルもあって、使い勝手がいいため、朝のミーティングや社員との個人面談など、様々なシーンで利用しているそうです。

ママの顔も……時間をうまくやりくり

 バックオフィスと広告事業の両サイドから会社を支える木村さんは、小学生の娘を持つ「ママ取締役」でもあります。仕事が終わるのは午後6時半ごろ。遅くとも7時までには帰宅するようにしているそうです。送迎や夕食付きの民間学童施設を利用し、在宅勤務などができるサイバーエージェントの女性支援制度「macalon(マカロン)パッケージ」などを活用して、うまく時間をやりくりしています。「取捨選択して、『ここは要らないな』と思ったら、パーッと優先度を下げること。限られた時間の中で最大の成果を出すことを考えています」

出産後からキャリアアップ

 「子供を産んでからキャリアアップしたタイプ」と、自己分析する木村さんですが、妊娠・出産の時には、同期とのキャリアの差に悩んだそうです。

 社内結婚した木村さんは、入社4年目で出産を経験しました。当時、同期には出産した人はほとんどおらず、ロールモデルとなるような女性の先輩も身近にいませんでした。会社を辞めようかと悩みましたが、上司の勧めを受けて育児休暇を取る決断をしました。育休の間、同期は次々とマネジャーやリーダーに昇進していきます。「後れをとっているように感じ、焦りしかありませんでした。『復帰後、みんなはどうなっているんだろう』と、うらやましかった」と振り返ります。

 育休から復帰してからは時短勤務でしたが、「めちゃくちゃ仕事に燃えていました」。子育てについて夫と決めていたのは、「週に1回、夫が早く帰ること」「朝の子供の支度は手伝うこと」。自身は早朝に出社し、その時間を勉強に充てました。

 「どんなに小さな仕事も、期待値以上のものを返していかなければ信頼して任せてもらえないということを念頭に置いています」と木村さん。気づけば、入社して12年間で5件以上の新規立ち上げに携わるまでになっていました。

女性で会社を盛り上げる「CHEERBULL」

 現在、サイバーブルの社員約50人のうち女性社員は3割程度。「もっと女性の観点を生かして会社を盛り上げていきたい」と、木村さんは昨年、社内に女性活性プロジェクト「CHEERBULL(チアブル)」を立ち上げました。

 正社員や派遣社員などの雇用形態に関係なく、会社の女性全員が参加者。社内のクリーンアップをしたり、3か月に一度、レストランで少し豪華な朝食会を開いたりするなど、様々な活動を通して女性同士の親睦を深めるのが目的です。「仕事で忙しく、なかなか集まる機会が少ないので、活動を通して自然発生的にコミュニケーションが生まれたらいいな」と、木村さんは願います。

「世の中にインパクトを」貪欲に探したい

 取締役として奔走する木村さんですが、意外にも「任せてもらったことに対して、世の中にインパクトを与えるほどの成果を出せていない。自信を感じることはまだまだない」と言います。特定分野のスキルを高めていこうと、勉強会などに参加するための時間をどう捻出するかが今のテーマだそう。

 「世の中に対して『こういうことをしたい』って、心から思えることを貪欲に見つけていきたいです。そのときには、実現する能力を蓄えていることが必要。経営のノウハウを身につけ、スキルアップしていきたいですね」

(取材・文/安藤光里、写真/金井尭子)

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 生き生きと働く女性をクローズアップする「働く女のランチ図鑑」。職場での仕事ぶりや気になるランチの様子をお届けします。

金井 尭子(かない・たかこ)
フォトグラファー

 ニューヨーク市立大学ハンターカレッジ舞台芸術学部卒業。 帰国後は都内の撮影スタジオに勤務し、2011年独立。得意分野は人物ポートレイト。 バンコク発のファッションブランドに夢中で年2回は必ず訪泰。 現在はフリーランスフォトグラファーとして東京をベースに活動している。ホームページ