社員のSNSが炎上して、会社にクレームが来た! 誰の責任?

弁護士ドットコムニュース

 社員がSNS上でトラブルを起こし、会社にクレームが来た――。こんな相談が弁護士ドットコムに寄せられました。

 投稿者によれば、ある社員が個人アカウント上で書き込んだ内容がトラブルになり、会社の側にクレームが来たといいます。問題になったアカウントは個人アカウントのため、業務に直接関係はありません。クレームをつけた人は、過去の投稿内容を調べて会社名を割り出したようです。

 会社の対応としては、ひとまず回答できないとの旨を返したそうですが、このように、社員個人がSNS上などでトラブルを起こし、そのクレームが会社に来た場合、懲戒処分やSNSの使用を禁止することは可能なのでしょうか。大山弘通弁護士に話を聞きました。

「企業秩序に違反する行為」か否か

――今回のような事例で、降格などの懲戒処分することは可能でしょうか。

 「今回の事例で懲戒処分をするのは難しいです。

 まず、労働者は会社と労働契約を締結することにより、企業秩序遵守義務を負うところ、労働者がこの義務に違反したら、会社は『企業秩序の維持』のために、就業規則に定めがある場合に限り、懲戒処分をおこなうことができます(最高裁1977年12月13日判決や1979年10月30日など)。

 もし、SNSの利用が、会社の『企業秩序に違反する行為』にあたる場合は、問題の社員を懲戒処分できるでしょう。会社がSNSの利用ルールを特に明記していなくても、一般的な懲戒規定から処分は可能です。

 しかし、今回の事例は、社員がSNSに書き込んだ内容にもよりますが、私生活上の出来事の投稿であれば、トラブルの相手は当該社員に対してクレームを言えばいいことであり、会社にクレームを言うのは筋違いというものです。

 つまり、企業秩序の維持と関係のない事柄と考えられるので、会社が社員を懲戒処分にするのは困難です。

 会社として社員から信頼を得るためには、むしろこのようなクレームを不当要求として拒否するのが筋ともいえます」

――社員のツイッター利用は「企業秩序の維持」という点から、どの程度まで許されるのでしょうか。

 「会社は、労働者の私生活などを一般的に支配できるものではありません。企業秩序の維持の観点から許されない場合とは、会社の業務と直接関連を有するものや会社の評判を傷つける場合に限られます。

 たとえば、会社を名指しして、事実と異なることをつぶやくような場合が考えられます。

 企業秩序の違反がないのに懲戒処分をおこなった場合はもちろん、懲戒処分が客観的に合理的な理由に基づかない場合や、社会通念上相当でない場合、その処分は無効となります(労働契約法15条)。

 したがって、社員のツイッター利用は、本来自由にできるものですが、許されない場合があるというのにとどまります」

――そもそも、企業が社員に対して、匿名であってもSNSの使用を禁止することはできるのでしょうか。

 「上記のとおり、会社が労働者の私生活まで拘束することはできないので、SNSの使用を禁止することはできません。SNSの利用について制限するとしても、会社の情報をもらさないなどの内容に限られるでしょう。

 企業がSNS利用に関してルールを設けるにあたっては、労働者の私生活への不当な干渉とならない程度にとどめるべきことに注意が必要です」

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