テニスの全豪オープンで優勝し、昨年9月の全米オープンに続く四大大会連覇を果たした大坂なおみ選手(日清食品)は、女子の世界ランキング1位の座も射止めました。プレーもインタビューでの語りも、その佇まいも個性的な魅力を放ち、今や世界で最も目が離せない女性の一人です。
試合後のあいさつの中に、彼女を支えたチームへの感謝の言葉がありました。
「選手の後ろには、いつもチームがある。チームの皆さんがいなければ、ここまで達成できなかった。みんなありがとう」
彼女の活躍と進化を支えているのは、ドイツ人コーチのサーシャ・バイン氏をはじめ、フィットネスや練習方法、データ分析、トレーニングなど各方面の専門家たちです。
一人の力には限界があります。ほかの人が持っている知識や情報を受け入れ、自分の血肉にすることで、一人では成し得なかった仕事の結果を残していく。
これは、わたしたち働く女性にも通用することです。
「チーム・私」を作ろう
「チーム・ナオミ」のように「チーム・私」を意識し、社内に強力なサポート陣を持ちませんか?
「そう簡単に私をサポートしてくれないわ」「ハードルの高い話……」と思う人もいるかもしれません。しかし、そんなに難しく考える必要はないのです。
要は、自分にとってプラスになる情報を持つ人から、必要な情報を教えてもらえる関係性をコツコツと作っていくのです。
「派閥」というと大げさなので、ある共通項のある「グループ」を複数持つというイメージです。仕事がらみの人間関係も大切にキープしつつ、仕事以外のネットワークの中に、「この件はこの人に相談しよう」といったように、各分野の専門家や情報通に気軽に相談・アクセスができる相手を社内に持つ。これは、組織で生き延び、キャリアを自分の思う方向に切り開くために欠かせない、誰もが持ったほうがよい「社内政治力」です。
外資系銀行勤務時代、私は社内に複数のネットワークを持っていました。
・以前の部署の同僚
・熊本県人会
・野球ファンの会
・お花クラブ
・長男の嫁の会
今、振り返れば、ランチや飲み会の会話の中から、社内外の旬な情報(キーパーソンの人の好き嫌い、ゴシップなど)を知る機会がありました。そんなリアルな情報が、地雷を踏まず仕事を前に進める上で、非常に役立ったのは事実です。

自己開示で自分をさらけ出すことから始めよう
ネットワークを作るには、きっかけとなるボールを投げなければ始まりません。ボールは、ただ投げるのではなく、相手が受け取りやすいボールを投げるのがコツ。ちょっと勇気が要りますが、自分をさらけ出すことは相手との垣根を下げる効果があります。
「私は九州出身なので、いまだに標準語がしゃべれなくて。よく訛ってるって言われるんですよー」と言えば、「え!? 九州のどこ?」「私、長崎なのよ♪」とか「うちの上司も九州なのよ」といったように、会話の糸口が生まれ、発展していきます。
銀行員時代、他部署に仕事ができて後輩にも慕われる憧れの先輩Aさんがいました。「彼女とランチに行けたらいいなー」とAさんと同じ部署の同期に話したところ、「Aさんはね、東北出身で、九州の人が苦手なんだって。戊辰戦争のことをいまだに引きずっているらしいよ」
私には貴重な情報でした。後日、Aさんとのランチが実現したとき、出身地の話を避けました。彼女の苦手意識を刺激して、最初の印象を悪くしたくなかったのです。
「ギブ・アンド・テイク」のメンテナンスを怠らない
必要な情報をもらうだけでは、強力なチーム陣は成り立ちません。チームメンバーへも自分の情報を渡す「ギブ・アンド・テイク」の精神がないと、良好な関係性は長続きしません。それには「○○といえば私」という武器を持つこと。例えば、私は介護休暇を取得した経験から学んだことを、実家の親が倒れて仕事に集中できずにいる人に助言することができました。
物理的、あるいは精神的な距離が遠くなったと感じる相手には、メールやSNSという便利なコミュニケーション手段があります。時候のあいさつだけでもいいので、たまには連絡を取り合うのも、関係性の「メンテナンス」には重要なアクションです。
充実した情報網は、あなたをピンチから救い、チャンスを広げる
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