上司が毎日ランチのお誘い…部下は苦痛、パワハラでは?

弁護士ドットコムニュース

 オフィス街で、ある日の昼下がり、アラサーの女性2人組がこんな会話をしていました。

 「ギリギリのところで、田中さんから逃げてきたよ」「毎日、部下たちとランチして、他に誰か行ってくれる人いないのかな」「ほんとだよね。おごってくれるわけでもないし、まさか部下は喜んで行っていると思っているのかな」「その可能性あるよね。ってか、50歳近くなって一人ランチできないのかな」「さびしん坊なんだよね。いい迷惑だよ」

 職場によっては、連れ立ってランチに繰り出す習慣があるかもしれません。

 でも、部下が内心では嫌がっているのに、連れ出す行為は「パワハラ」に該当しないのでしょうか。今回、この女性の上司である田中さんは、上司として、どのような配慮をする必要があったのでしょうか。森田梨沙弁護士に聞きました。

ランチに誘っただけで「パワハラ」とはいえない

 「上司の田中さんは、あくまで部下をランチに誘っているだけですし、実際に部下の女性は逃げることが出来ているようです。ご質問の程度の態様であれば、パワハラとまでは評価できないでしょう」

――この日は逃げられたようですが、断り続けるのは難しい可能性もあります。どのような誘い方だと「パワハラ」になるのでしょうか。

 「職場でのパワハラとは、同じ職場で働く人に対して、職務上の地位や人間関係などの職場内の優位性を背景に、業務の適正な範囲を超えて、精神的・肉体的苦痛を与える又は職場環境を悪化させる行為を言います。

 休憩時間は、労働者が権利として労働から離れることを保障される時間です。もし休憩時間に上司がランチへの同席を命じたりすれば、私的な領域への過度の侵害として、パワハラと評価されかねません。

 場合によってはそもそも休憩を付与されたことにならないのではないか、という問題まで生じてしまいます」

――田中さんのような「寂しんぼ上司」は、部下をランチに誘うにあたってどのような注意をすればよいのでしょうか

 「休憩時間は労働者が自由に使えるのが原則ですので、部下は上司のランチの誘いを断ることも当然に出来ます。

 ただ実際には、部下にとって上司からの誘いは断りにくい、という側面があることも否定できませんので、上司はそういった部下の気持ちにも十分配慮し、ランチに誘う場合でも、誘う頻度や誘い方には十分注意をされた方が良いでしょう」

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