パソコンを廃棄する時、「データ消去」ってどうするの?

幸田フミのスマートデジタル

 ITコンサルタントの幸田フミさんが、SNS時代をスマートに生き抜く女性ためのデジタルマナーを指南します。

 「パソコンをひと晩水に浸しておいたから、中のデータは消えてるよね?」

 パソコンを廃棄しようとしている友人に、こう尋ねられました。なるほど。パソコンも電化製品なので、確かに水には弱そうです。けれども専門業者にしてみれば、浸水したパソコンのデータを復旧させることはいともたやすいのです。実際、東日本大震災で津波の被害を受けたパソコンからも、かなりのデータが復旧されています。

 さて、みなさんはパソコンを廃棄する時、どのようにデータを消去していますか? 今回は専門家にアドバイスをいただいて、パソコンの正しいデータ消去方法をわかりやすくまとめてみました。

データを消去せずにパソコンを廃棄した場合に起こり得るリスク

 データをパソコンの「ゴミ箱」に入れて全て消去しても、デスクトップから見えない内部にデータが保管された状態になっているため、専門業者でなくてもデータを復活させることができてしまいます。

 もしも廃棄したパソコンから個人情報が流出してしまったら、一体どんな被害に遭う危険性があるのでしょうか? 以下のようなトラブルが考えられます。

 ――SNSアカウントの乗っ取り、なりすまし被害

 ――ネットショッピングやオンラインバンキングの悪用による金銭面での被害

 ――写真やドキュメントの流出

 ――家族や友人の連絡先、メールの内容などの流出

 そして最大のリスクは、一度データが漏えいしてしまうと「二度と消去できない」ということです。情報流出の被害を避けるために、パソコンを廃棄する前には必ずデータを消去しておきましょう。

個人がパソコンを廃棄する方法とデータ消去方法

 まずは個人がパソコンを手放す際の一般的な選択肢を挙げてみます。

 ――中古品買い取り業者に販売する

 ――パソコンメーカーに回収してもらう

 ――家電量販店に持ち込む

 ――廃品回収に出す

 いずれの方法もいったん他人の手に渡るため、データが流出してしまう可能性をはらんでいます。中のデータはしっかり消去しておきたいところですが、いったいどのような方法で消去できるのでしょうか?

 専門家によると、個人ユーザーにお勧めするデータ消去方法は、「ソフトウェアによる上書き消去」「物理破壊」と「磁気消去」だそうです。

 最低限やっておきたいのは、家電量販店などで5000円前後で販売されているソフトウェアでデータを上書き消去することです。パソコンが使える状態であれば、ソフトを起動するだけで簡単にデータを消去できます。パソコンによっては最初からソフトがインストールされているものもあるので確認してみてください。

 それでもまだデータが残っているかもしれない……と不安であれば、ハードディスクを物理的に破壊する方法、またはハードディスクデータの保存や読み込みをする記憶演算子を強力な磁気で破壊する方法を依頼しましょう。パソコンが壊れて電源が入らない場合も同様です。多少コストがかかったとしても、後々抱える大きなリスクのことを考えると、業者に依頼して完全にデータを消去するのが賢明です。

 データ消去サービスを提供している会社は様々ですが、プライバシーマークやISMS(※1)認証を取得しており、作業完了後に「データ消去証明書」を発行してくれる業者だと安心です。

 今回お話をうかがった「データ消去コンシェルジュ」は、主に公的機関や企業向けに「磁気消去」によるデータ消去サービスを提供していますが、個人向けパソコンのデータ消去も請け負っている専門業者です。送料を入れても1台2000円〜3000円程度のコストなので、自分で作業するのが面倒な場合は、パソコンごと郵送してデータを消去してもらってもいいですね。

  1:情報セキュリティマネジメントシステム(Information Security Management System)。組織における情報資産のセキュリティを管理するための枠組み。

企業がパソコンを廃棄する方法とデータ消去方法

 企業の場合、パソコンを廃棄する際には個人よりもかなり慎重にならなければなりません。特にマイナンバーを入力したパソコンを廃棄する場合、データ消去とともに必ず実施しなければならないのが「データ消去証明書」の取得と保管です。

 マイナンバー導入後、法人による個人データの管理に対する行政のガイドラインはさらに厳しくなりました。改正個人情報保護法への対応は必須で、特定個人情報の漏洩は重い罰則が科されるため、企業の担当者は、使わなくなったパソコンを廃棄する際には十分注意しなければなりません。

 企業がパソコンを廃棄する方法には、(1)中古品買い取り業者に販売(2)産業廃棄物処理業者に委託(3)リース契約の場合はリース会社に返却――がありますが、いずれも第三者にデータを悪用される危険があるので、確実にデータを消去しておきましょう。

 データ消去方法は個人同様、「ソフトウェア上書き消去」「物理破壊」「磁気消去」ですが、マイナンバーを入力したパソコンについては、「データ消去証明書」を確認・保存する必要があり、専門業者に依頼した方が安心です。

 データ消去証明書には、メディア種別、メーカー名、機種名、消去完了日時、シリアルナンバー付きのハードディスクの場合はそのシリアルナンバーも記載されています。

 専門業者にデータ消去を依頼する際にはパソコン本体を郵送する方法もありますが、台数が多い場合はデータ消去装置自体を購入したり、1週間で2万円程度から装置をレンタルしたりすることもできるようです。

 うまくサービスを活用して、情報漏えいによるリスクを回避しましょう。

幸田フミ
幸田フミ(こうだ・ふみ)
ITコンサルタント

 米パーソンズ大学卒業。ニューヨークのファッションマーケティング会社にウェブデザイナーとして勤務し、大手ブランドのウェブサイト制作やファッション系ポータルサイトの運営などを手がけた。帰国後2003年にウェブコンサルティング会社、株式会社ブープランを創業。IT活用のアドバイスや講演、執筆を行う。著書「大人のSNS入門 ITオンチ脱出大作戦」(かんき出版)、「はじめてのIoTプロジェクトの教科書」(クロスメディア・パブリッシング)等。2016年に株式会社FUMIKODAを設立。エシカルなスマートバッグブランド「FUMIKODA」を立ち上げ、クリエイティブ・ディレクターに就任。