「ぎぼむす」の元キャリアウーマン・亜希子から学ぶ働き方

楽しく働くための社内政治力

 話題のドラマ「義母と娘のブルース」(TBS系)、略して「ぎぼむす」が、ついに最終回。大企業の部長でバリバリのキャリアウーマンだった亜希子(綾瀬はるか)が、小学生の娘を持つサラリーマン・良一(竹野内豊)と結婚して専業主婦に。余命宣告された良一は、小学生の娘の行く末を亜希子に託します。1年後、2人になった義母と娘のコミカルで心温まるストーリーが展開されてきました。

 物語の後半では、娘に働く姿を見せようと、亜希子がパン屋さんでパートとして再び働き始めます。この物語から、私は自分の仕事への姿勢を振り返り、背筋がシャキッと伸びる思いがしました。

 亜希子は元キャリアウーマンであることを少しも鼻にかけず、目の前の仕事にただ真っすぐに没頭し、家事をこなしながら傾きかけたパン屋さんを人気のお店にしていきます。

亜希子の働き方から学ぶポイントとは

<それぞれの環境に応じて自分を変える力>

 私たちが企業社会でしぶとく生き残っていくためには、どのような力が必要でしょう? それは、求められる役割に応じて、自分をアメーバのように変化させていける「適応力」だと思います。世間体や見栄みえ、必要以上に高いプライド、価値観の物差しなどが邪魔をして、なかなか自分を変えられない人がいます。その結果、うまくいかない理由を相手のせいにし、イライラをためていきます。

 亜希子は年下の元ヤンキーの店長に仕えます。自分に経験豊富なキャリアと実績があっても、部下として礼儀正しく上司に接し、慣れない仕事を地道にこなします。人から信頼を勝ち取るには、まずは自分を変える潔い「勇気」です。
 
<とことんのめり込む力(探求心)>

 パン屋さんで働き始めた彼女は、まずパンの値段を完璧に覚え、食パンの幅も原材料も頭に入れ、さらに各種のパンの歴史や由来まで調べ上げて、店長を驚かせます。「言われたことしかできないのでは社会人失格ですので!」と言い放つ亜希子。

 仕事を表面的にとらえず、「なぜ?」「どうして?」と疑問を持つ。これが仕事を面白くするコツです。

 私が外資系銀行に勤めていた頃の話です。後輩のA子は、顧客の依頼書通りに送金(システムに入力)する仕事をしていました。仕事に慣れてくると、「毎日、こんな仕事をするために大学に行ったんじゃない」などと愚痴る人がいる中で、A子は探求心旺盛。お金がどのような仕組みで銀行の窓口から日本銀行に流れ、運用されていくかを調べ上げ、「送金」という仕事を「鳥の目」で見ることで、自分のやっている業務の意義を見いだしていました。やる気が増したA子は、送金にまつわるリスク管理まで学び、後に現場の問題点を上司にプレゼンするまでになりました。

 新しいことを吸収できるのは初心者の特権。吸収したことは血となり肉となって、後に仕事で応用できるチャンスが巡ってきます。
 
<上司の良いところを見つける力>

 亜希子は、楽天的すぎる店長の経営で改善すべき点を分析。店長の長所として「パンに対する情熱は本物」とリポートにします。それを見た店長は、弱点ばかりと思っていた自分に自信を持ちます。

 銀行員時代の私の上司は、リーダーシップ研修に参加した後、急に人が変わったように部下に話しかけるようになり、個人面接まで行いました。どうやらコーチングを実践したいようでしたが、部下の話を最後まで聞くことができず、結局、自分の考えを押し付け、不評を買っていました。それでも、「上司らしいことをしよう!」として空回りする姿が、部下を和ませたのは事実です。例え、空回りしていても、やる気のある上司に部下が応えれば、結果、職場の雰囲気も変わっていきます。

 「ダメ上司」というレッテルを貼りたくなる上司もいます。でも、そんな上司を否定するばかりでは部下の力も伸びません。部下だって経験は浅いし、能力は未知数なのです。「ダメ上司」を上手に持ち上げて、自分の仕事力を高めていけばいいのです。

 “ぎぼむす”にならって、「上司と部下のブルース」で行こう♪

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関下昌代
関下昌代(せきした・まさよ)
著作家・キャリアカウンセラー

 亜細亜大学非常勤講師。熊本市生まれ。高校卒業後、住友信託銀行に就職。以後、派遣、臨時職員でテレビ熊本、熊本県庁などで勤務した。1989年シティバンク銀行に転職。いくつかの業務部を経て、2001年人事本部人材開発課に異動。社員研修プログラムの企画、社内講師役を務める。2009年3月、立教大学大学院異文化コミュニケーション学修士号取得。同11月末シティバンク銀行を退職。2011年4月より大学でビジネスマナーやコミュニケーションの科目を担当。著書に「伸びる女の社内政治力」(さくら舎)、「伸びる女(ひと)と伸び悩む女の習慣」(明日香出版社)「伸びている女性がやっている感情整理の新ルール」(KADOKAWA)、「シティバンク人事部で私が学んだ一生使える「気づかいの基本」が身につく本」(大和出版)「仕事も人間関係もうまくいく!マナードリル」(総合法令出版)「反学歴の成功法則」(経済界)などがある。

伸び悩む女の独りごと~異文化の交差点