女性上司を悩ます年上の男性部下 接し方で仕事力がアップする!

楽しく働くための社内政治力

 先日、「68歳の新入社員」(フジテレビ系)というドラマを見ました。老舗の和菓子会社に勤める28歳の繭子(高畑充希)は、新規事業開発のリーダーを任されます。彼女の部下として配属されたのは、何と68歳の新入社員(草刈正雄)……というストーリーです。年の差40歳の上司と部下は、最初はギクシャクしてうまくいきません。でも、お互いを認め合い、歩み寄ったことで、パワフルなコンビが誕生! 仕事で成果を出していきます。

 現実の年上の男性部下は、草刈正雄のようにステキで、言葉や態度もスマートというわけにはいかないと思います。過去の成功体験を武勇伝として熱く語ったり、自分のやり方に固執していたり、あからさまに「年下で女の上司なんて……」という態度を見せたりするかもしれません。

 でも、相手をバカにするような態度を取ったり、キツイ言葉で対応したりしてはいけません。年上部下だって、頭では理解しているのです。心がついていかないだけ。

 「現実を受け入れないといけない」とわかっていても、そう簡単には変われないのが人間です。

 人生100年時代の到来といわれています。自分よりうんと年上の男性が再就職、再雇用などで部下になるケースは、これから増えてくると思われます。そんな時、自分の父親に近い年齢の部下とうまくコミュニケーションを取りながら、仕事を進めていく力が求められます。

「ステレオタイプ」な見方で判断しない

 先日、大学の授業で学生に「55歳の会社員にどんなイメージを持ちますか?」と聞いてみました。すると、「定年前でくたびれている」「ITに弱い」「頭が固い」「加齢臭」といったネガティブイメージの単語が出てきました。ある対象に持つ「固定的イメージ」を取り去るのはとても難しいことです。本当はどうなのか、一人一人に確かめることは不可能だからです。しかし、ステレオタイプな見方にネガティブな感情が入ると「偏見」となり、やがて「差別」につながれば、これは見過ごせない問題です。

年上部下の経験値がチームの要になることも(写真はイメージ)

 以前の職場でこんなことがありました。

 あるプロジェクトが立ち上がり、キックオフミーティングの時、定年が迫っている1人の男性がいました。「えー!? あの人、ITに弱いんじゃないの? このプロジェクトで仕事できるの?」という反発の声が上がりました。しかし、上司は彼をプロジェクトから外しませんでした。

 実際、彼はITに弱い人でした。だからこそ、ITに弱いお客の気持ちになって考える視点をもたらし、結果的にプロジェクトは成功しました。しかも、彼の経験豊富な知識から学ぶことがとても多かったのです。

相手の気持ちを理解する、心の余裕を持つ

 外銀時代、部下を持つ立場になってまだ日が浅かった30代の頃、10才年上の男性部下がいました。どのように接したらいいのか試行錯誤の日々の中、彼をキツイ言葉で叱ったことがありました。当時の私は、自分に上司としてのキャパシティーが不足していることへの劣等感があり、プレッシャーを抱え、イライラしていました。そんな時、ケアレスミスを繰り返していた彼に「いいかげんにしてください!」と怒鳴ってしまったのです。

 鬱憤うっぷんを晴らすような態度を部下に取ってしまったこと、それを周りの社員に見られていたことが気まずく、気持ちが沈んだまま数日がたった頃。たまたま手に取った雑誌の中にこんな言葉を見つけました。

 「人には誰でも守るべき大切なものがあり、いつも何かに傷ついている。そのことを思えば、人にきつく当たるべきではない」

 ハッとした私は、彼に言い過ぎたことを謝罪しました。その後、わだかまりの壁が取れたからか、自然に会話ができるようになりました。

 相手がどんな立場であれ、感情的な言葉でその人を傷つけることは、ハラスメントの芽を作ります。「相手の面目やプライドを傷つけていないか」という気遣いは、常に意識していたいものですね。

 年上の男性社員も、年下の女性上司にどう接していいのか、途方に暮れているかもしれません。やりにくいのはどちらも同じ。お互いに歩み寄って、相手の話を「聴く耳」を持つ姿勢がコミュニケーション・ギャップを埋めるコツです。

 否定ばかりしないで。相手の言葉に耳を傾け、理解し合うのが第一歩!

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関下昌代
関下昌代(せきした・まさよ)
著作家・キャリアカウンセラー

 亜細亜大学非常勤講師。熊本市生まれ。高校卒業後、住友信託銀行に就職。以後、派遣、臨時職員でテレビ熊本、熊本県庁などで勤務した。1989年シティバンク銀行に転職。いくつかの業務部を経て、2001年人事本部人材開発課に異動。社員研修プログラムの企画、社内講師役を務める。2009年3月、立教大学大学院異文化コミュニケーション学修士号取得。同11月末シティバンク銀行を退職。2011年4月より大学でビジネスマナーやコミュニケーションの科目を担当。著書に「伸びる女の社内政治力」(さくら舎)、「伸びる女(ひと)と伸び悩む女の習慣」(明日香出版社)「伸びている女性がやっている感情整理の新ルール」(KADOKAWA)、「シティバンク人事部で私が学んだ一生使える「気づかいの基本」が身につく本」(大和出版)「仕事も人間関係もうまくいく!マナードリル」(総合法令出版)「反学歴の成功法則」(経済界)などがある。

伸び悩む女の独りごと~異文化の交差点