転職やキャリアアップに「資格取得」は効果がある?

森本千賀子の人生を変える仕事術

 「今すぐというわけではないけれど、いずれ転職したい。そのために何か資格を取ろうかな」……そんなふうに考えている方もいらっしゃると思います。
 ところが、資格の取得が、お金と時間の「ムダ使い」になるケースは多数あります。私は転職エージェントとして多くの方の履歴書を拝見してきましたが、「意味のない資格」が採用選考で有利になるどころかマイナスに働くことも数多くありました。

意味なし資格が招くマイナス評価

 意味のない資格とは、現職(前職)にも、応募先の業務にもつながらない資格です。
 例えば、不動産業界でもないのに「宅建士」、人事職でもないのに「社会保険労務士」、金融の仕事でもないのに「FP(ファイナンシャル・プランナー)」など。「取得目的が不明」な資格は、履歴書に書いても評価されません。目的に納得感のあるものでないと「この人は何がやりたいの?」と疑問を抱かれるポイントになりかねません。

 さらに「ヒマだったのか?これまでの本業に真面目に真剣に取り組んでいなかったのでは?」なんて勘ぐられることも。ですから、安易に資格取得に走るのはお勧めできません

 それに、専門資格は、法改正や制度変更が頻繁にあるため、「いつか転職にいかせれば」と思って取得しても、何年も使わず、知識を更新せずにいると価値が失われてしまいます。 

業種・職種を問わず使える資格って?

 資格を取るのであれば、今の仕事、あるいは目指す仕事に何かしらつながる資格や知識が活かせる資格を選ぶようにしましょう。

 ちなみに私は20代の頃、「中小企業診断士」の勉強をしました。試験日と友人の結婚式が重なり、結婚式を選んだので、資格取得には至りませんでしたが、経営にまつわる幅広い知識を身に付けることができたので、法人営業職として経営者と話す場面でいかすことができました。

 時間を取って勉強するのであれば、業種・職種を問わずいかせるビジネススキルや、どの業界・どの職種にも応用できるポータブルスキルに目を向けてみてください。ビジネススクールやセミナーなどでは、「ロジカルシンキング」「プレゼンテーション」「コミュニケーション」「マネジメント」などの講座が開かれていますので、実務に役立てられるはずです。

勉強するなら資格よりも「英語」

 自分のキャリアを発展させるために時間を費やすなら、資格取得よりも期待できるものがあります。それは「英語力アップ」です。

 人口減少に伴い日本のマーケットは縮小していくため、今、あらゆる業種が海外展開を図っています。訪日外国人が急増する中、インバウンドビジネスに乗り出す企業も多数。また、外国人採用や、M&Aによる海外企業との合併・提携も増えており、社内コミュニケーションに英語が必要となるケースも増えています。ある日、突然、「社内公用語が英語」なんて日も遠くないかもしれません。

 人材採用を行う企業とは、成長している企業。成長企業ほどグローバル展開を視野に入れているものです。今後伸びていく企業に転職しようと思うなら、英語ができればチャンスは倍増します。現状でも、同じ職種経験で英語力があるのとないのとでは、求人の選択肢に倍の差があることも多いのです。

 なお、履歴書に書いて評価されるTOEICスコアは「750点以上」が目安。これから英語を学ぶなら、まずはこのレベルを目標としてください。
 今の職場で働き続けるにしても、いずれ海外がからむプロジェクトが持ち上がった際、英語力があれば重要な仕事を担うチャンスを得られる可能性があります。

実務経験を磨くことを優先させて

 いかせるかどうかよくわからない資格のために勉強時間を費やすなら、そのパワーを「実務経験のグレードアップ」に振り向けることをお勧めします。
 例えば、今の職場で新たなプロジェクトに手を挙げて参加する、社内横断型の検討会(「働き方改革委員会」など)や新規事業部署のメンバーに立候補する、今の業務の改善・効率化に自主的に取り組む、未経験の業務を積極的に引き受ける……など。
 転職においては、「資格」より「実務経験」がはるかに重視されますので、実務経験をより深めたり、幅を広げたりするほうにパワーを使いましょう。

森本千賀子
森本千賀子(もりもと・ちかこ)
転職エージェント

 1970年生まれ。獨協大学外国語学部英語学科卒。93年リクルート人材センター(現リクルートキャリア)に入社。転職エージェントとして約3万人超の転職希望者と接点を持ち、約2000人超の転職に携わる。入社1年目にして営業成績1位、全社MVPを受賞。2017年に独立してmorich設立。著書に「トップコンサルタントが教える本気の転職パーフェクトガイド」「メンターBOOKS女性管理職のFAQ」「1000人の経営者に信頼される人の仕事の習慣」など多数。

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