「ZAi」初の女性編集長・辻葉子さん「まずはお金をためよ!」

インタビュー

 ダイヤモンド社(本社・東京)発行の月刊マネー誌「ダイヤモンド ZAi(ザイ)」で今春、初の女性編集長に就いたのが、辻葉子さん(45)です。「誰もが気軽にお金の話ができる時代を目指して雑誌作りに取り組んでいる」という辻さん。忙しい中でお金や仕事とむきあうコツを聞きました。

――編集長に就任して1か月余り。感想は?

 やはりすごく忙しいですね。以前、ある企業の管理職の方に取材でお会いした時に、「部下が100人もいると、2日のうち1日は(部下の)話を聞いて終わる」と聞いたことがあるのですが、まさにそんな感じです。部下が十数人いて、企画の説明や相談をしにやってくる。「10分だけ説明したい」という時はだいたい30分を超えるし、「30分くらい」という時はだいたい1時間(笑)。結局、それでほぼ1日の仕事が終わる感じですね。

――1997年にチケット販売会社の「ぴあ」に入社して、2001年にダイヤモンド社に移ったそうですね。

 ぴあでは、チケットぴあのデータベースのメンテナンスや、ホームページの編集などをしていました。ある時、ZAiの創刊号を目にして、「あっ、これは面白い雑誌だな」と思ったんです。表紙に四コマ漫画が載っていて「お金の話がこんなに面白く書かれた雑誌は今までなかったな」と。その頃はネット証券の黎明れいめい期で、これからは個人の株式投資がもっと身近になると思っていました。そんな私の興味とZAiがマッチしていたんです。すると、ちょうどダイヤモンド社が人員募集をすることになり、応募して転職を決めました。ダイヤモンド社では最初、広告局に配属され、2年後にZAiの編集部に移りました。

「時短できる雑誌」を目指す

――「ダイヤモンド ZAi」とはどんな雑誌ですか?

 「株の雑誌」と思われがちなのですが、株に限らず、お金に関するありとあらゆる情報が載っています。投資歴何十年というベテランから、初めての資産運用に挑戦する新入社員まで、ありとあらゆるレベルの人に役に立つ情報を1冊に盛り込むようにしています。

――新編集長として、どんな雑誌作りを目指していますか?

 「読者が時短できる雑誌」です。普通なら自分で時間をかけて調べなければ分からないことを、ZAiが代わりに全部調べて、その答えを一目で分かるように提示しますよ、ということです。例えば、ATM(現金自動預け払い機)や振り込みの手数料が一番安い銀行はどこか。知りたくても面倒なので自分で調べる人はそういないと思います。でも、ZAiは、日本全国にある銀行のすべてを調べて、手数料の安い銀行のリストを掲載しました。また最新号(2018年7月号)では、3月期決算の上場企業約1000社に電話取材して、株主総会に出席した株主へのお土産リストを掲載しています。

 今は誰でもインターネットで簡単に情報を調べられますが、ネット上の情報は羅列されているだけなので、自分で取捨選択しなければなりません。ZAiは、読者に代わって情報を調べ、取捨選択もします。だから、読んでもらえば、読者はすぐに最適な答えが見つかり、時短ができるというわけです。そうでもしなければ、ネットの時代に雑誌は勝ち残れないと思うので、これからも丁寧に愚直にやり続けていきたいです。

――創刊19年目で初の女性編集長ですが、女性であることを意識しますか?

 自分のことを「働く女性」だと思ったこともなければ、「女性編集長」を意識することもありません。出版社って、男だとか女だとかを意識しないで働ける場所だし、マネー誌もビジネス誌も性別は関係ないと思うんです。弊社も含め過去、女性向けのビジネス誌が発刊されたことがあるけれど、うまくいかなかったものが多い気がします。働く女性がビジネスに役立ち、自分の人生に役立つ情報を得ようと思ったら、わざわざ女性向けの雑誌は手に取らないと思うんです。男性に交じって日々闘っているわけだから、一般のビジネス誌を選ぶはずです。そもそも、お金に性別はありませんし(笑)。

「ためるお金」「遊ぶお金」半々に

―― 日々忙しい中で、お金とどう向き合ったらいいのでしょうか。

 将来のための資金計画を立てる場合、計画のブレ幅が大きくて大変な思いをしがちなのは、男性より女性です。例えば、ずっと独身の場合と結婚した場合、結婚して子供をもうけた場合ともうけなかった場合で、女性は男性以上にライフプランが大きく変わってしまいます。ある程度、先行きが見えている女性は資金計画が立てやすいのですが、まだ見えていない人は、とりあえずお金をためることが大切だと思います。

 お金には色は付いていませんから、ためておけば、結婚してマイホームを買う時には住宅ローンの頭金になるし、子供ができたら教育資金になります。もしも海外留学するなら、そのための資金になり、転職するなら、次の仕事が決まるまでの生活費に充てられます。何らかの形で自分を助けることになるので、女性こそお金をためておくべきです。

 お金をためるためには、預貯金だけでなく、投資信託なども利用した方がいいです。少額から積み立てられ、運用益が非課税になることなどから「iDeCo(イデコ、個人型確定拠出年金)」や「つみたてNISA(ニーサ、少額投資非課税制度)」が人気を集めています。でも、iDeCoの場合には60歳になるまで、たまったお金を引き出すことができません。ライフプランの変更に備えて、自由度の高い運用方法も取った方がいいでしょう。

 私自身は、若いころから金の積み立て投資だけはずっとやっています。これは資産運用というより、万一の時の最後のとりで、的なイメージでした。投信の積み立てを始めるつもりですが、急に多忙になったので、まだ商品を選びきれていません。落ち着いたらここ半年くらいのZAiの投信特集を見比べる予定です(笑)。また、2年ほど前からiDeCoを始めています。

 もっとも、好きなショッピングや旅行などの趣味をやめてストイックにお金をため込んでも、ストレスがたまってしまいます。「ためるお金」と「遊ぶお金」をほぼ半々にするのがいいと思います。

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辻 葉子(つじ・ようこ)

1972年生まれ。京都府出身。神戸大学、同大学大学院卒。97年、ぴあ入社。2001年、ダイヤモンド社入社。広告局、「ダイヤモンド ZAi」編集部を経て、18年4月から現職。