通勤中、子どもを保育園に送った直後に事故…労災はおりる?

弁護士ドットコムニュース

 東京都内に住む会社員の女性、恵里さん(35)の朝は忙しい。電動アシスト付自転車で自宅から15分くらいのところにある保育園に3歳の長男を送り、また自転車で最寄駅まで向かいます。自宅から徒歩数分の保育園を希望しましたが、人気園で入れなかったため、自転車で少し離れた場所の保育園に通う日々です。

 その日も、いつものように保育園へ長男を送り、最寄駅に向かう途中、交差点の車道で赤信号のために停まっていたところを、後ろから来た原付バイクに衝突されてしまいました。恵里さんは転倒、頭や腕、足などに全治2週間のケガを負いました。

 恵里さんが追突された事故現場は毎日利用している道とはいえ、会社が認めている自宅から最寄駅までの道とは異なります。「仕事のために保育園に子どもを預けているのだから、労災保険の対象になるのでは?」と恵里さんは話します。本当に労災保険はおりるのでしょうか。 前島憲司弁護士に聞きました。

「合理的な経路」の範囲なら労災保険の対象

 認められていない通勤経路でのケガは通常、労災に認定されるのでしょうか。

 「労働者災害補償保険法では、通勤の途中であっても、住居から勤務先までの『合理的な経路及び方法』の範囲内であれば労災保険の補償の対象となるとされております」

 では、毎日使用している保育園送迎の経路でのケガは、通勤経路でなくても労災保険の対象になる?

 「厚生労働省の通達上、共働きの夫婦など他に子供を監護する者がいないような場合は保育園への送迎の途中であっても『合理的な経路』にあたるとされています。

 したがって、自宅から最寄駅からの通勤経路から逸脱していたとしても、保育園の送迎の経路で事故にあったとのであれば、労災保険の補償の対象になります。

 そして、『会社が認めている通勤経路及び方法』と労災保険の対象となる『合理的な経路及び方法』は必ずしも一致しません。

 会社によっては、会社が認めていないから労災保険の対象にならないという扱いをするところもありますが、会社が認めている経路とは異なるものであっても労災保険の対象となることもありますので、会社から労災保険の申請はできないといわれてもあきらめる必要はありません」

 保育園送迎で事故が起きてしまう前にとるべき対策は?

 「認定について議論になったり担当者の勘違いを誘発する恐れもあります。懸念材料をあらかじめ消しておくという意味で、あらかじめ通勤途中に保育園への送迎をする場合があることや、道順を届けておくことが対策になると思います」

【あわせて読みたい】
「断ったら取引停止かも」お得意様からのセクハラ、どう対応?
上司のパワハラ発言を録音したらバレた! 懲戒処分を受ける?
転職先で希望の業務やらせてもらえない! 会社の法的責任問える?