「今朝、ちょっと具合が悪そうだったけど、大丈夫かしら……」。わが子の泣き声を背中で聞きながら、後ろ髪をひかれる思いで出勤する“ワーママ(ワーキングマザー)”たち。子どもの預け先から、「熱を出したので迎えに来て」と連絡があるかもしれない。そんな不安を抱えながら仕事をしている女性も多いことでしょう。
先日ニュースになった「熊本市議の子連れ会議」に賛否両論がありますが、子育て中の女性が仕事を続けるためのサポートについて、考えるきっかけにもなったと思います。
仕事と育児の両立の大変さについて、育休を2回取り、職場の銀行に復帰した“先輩ママ”A子さん(40代)の声を聞いてみました。
同じ経験をしたはずの先輩女性の冷たい視線
A子さんにとって、育休から復帰して一番つらかったのは、職場を離れていた間に進化した情報技術(IT)への対応でも、出世した同期への羨望でも、元の職場がなくなったことでもありませんでした。同じ立場を経験した先輩女性の“冷たい視線”だったそうです。
「いいわね。あなたたちは時短で早く帰れて。私の時代に、そんな制度はなかったわ」と言っているような気がしたそうです。
女性活躍推進法が施行され、現在では、出産後も働き続ける女性は珍しくありません。しかし、今ほど働く女性に理解ある社会(職場)環境ではなかった時代、子どもを育てながら仕事を続けるには大変な苦労があったことでしょう。そんな苦労を経験した先輩から見ると、今の女性たちは恵まれているように思えるのかもしれません。
女性の働く環境が少しずつ改善されているのは、先輩たちの苦労や頑張りのお陰でもあります。「夫は手伝ってくれないし、親も遠方で頼れない。先輩だけが頼りです。アドバイスをください」と、相談してみてはどうでしょう。先輩たちへの敬意と感謝の心を表しながら意見を聞くことで、先輩の見る目も変わってくるはずです。多少きついことを言われても、そこは「気にしない」図太さ、鈍感さでスルーすればいいのです。
では、育休明けで職場復帰した女性は、具体的にどんな働き方をすればよいのでしょうか。
同僚にリアルな子育ての大変さをわかってもらう
子どもは急に体調を崩すことがあります。連絡があれば、仕事を中断して、あるいは休みを取って、子どもを迎えに行くことになります。この場合、優先すべきは仕事より子どもです。育休や時短は会社の制度ですが、急なトラブルはその時々で対処する必要があります。そのことを同僚に理解してもらわなくてはなりません。
「育児をしていても、わたしは人と同じように働ける!」などと、意地になって一人で頑張らないこと。みんなに頼った方がいい場合があるのです。チーム全体で子育てを応援する雰囲気作りが、いずれは他の女性たちのためにもなるのです。
まずは、上司を味方につけて、同僚への理解を得ましょう。チームミーティングなどで「○歳の子どもがいて、家事・育児と仕事を両立している」という、自分の置かれている状況を具体的に、上司から話してもらいましょう。同じ情報を職場の皆が理解することが初めの一歩です。将来、子どもを持つ可能性のある人にとって、あなたの行動はロールモデルになるはずです。
仕事の進捗状況をオープンにし、マニュアルを整備する
急に休みをもらう場合に備えて、自分の仕事の進捗状況をチーム内で共有し、誰でもバックアップできるように、仕事のマニュアルを整備しておくことが大事です。
子どもの体調が不安定な時は、早めに上司・同僚に報告しておくことも必要。急に休んでも大丈夫なように仕事を整えておきましょう。あなたの地道な準備(努力)が、相手を思いやる温かい職場作りに一役買うことになるかもしれません。良好なチームワークを持続させることにつながれば、育休復帰後のあなたの影響力が効果的に発揮されたことになります。
前例は私が作る! 育休後、復帰して働く女性は切込み隊長になれ。
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