「私、転職するんです」
思い通りに転職が決まったら、うれしい気持ちを人に話したくなります。転職を実現するためには勇気と決断、かなりのエネルギーを使ったはず。だからこそ、思いがかなうと自分の未来のことしか考えられず、今まで一緒に働いてきた人たちへの配慮をつい忘れてしまいがち。ここは、冷静になりましょう。
「新しい職場でも元気で頑張ってね!」と円満に送り出され、職場を去った後も昔の仲間から飲み会に誘われる人は、情報網が途絶えず、人脈は広がっていきます。
一方、「いなくなって清々した。もう顔も見たくないわね~」と囁かれる人は、人脈も広がらず、孤立していくリスクがあります。
今の会社を去っても、いつ誰とまた一緒に仕事をすることになるかわかりません。ともに仕事をした仲間に敬意を払うことはもちろん、自分がやってきた仕事にも感謝しましょう。
転職が決まったら、まず誰に報告するのか。どのタイミングで同僚たちに転職のことを伝えるのか。職場を去る前に何をやっておけばいいのか。TPOをわきまえた行動が必要です。転職の際に守りたい「ビジネスマナー」と言えます。
できるだけ迅速に、落ち着いた場所で上司に話す
かつていっしょに働いた、37歳のA子さん。同業他社に転職が決まったとき、彼女は上司に言いそびれていました。上司に切り出したのは、帰宅途中の電車の中。吊り革につかまりながらの報告でした。しかも、退職希望日の3週間前というタイミング。社内規則(例えば1か月前に報告するなど)も守られていません。上司は激怒し、職場も混乱。結局、送別会も開かれず、彼女は一人寂しく職場を去っていきました。
会社はあなたの後任を探さねばなりません。見つかるまで、上司や同僚が仕事の穴埋めをするのです。早く報告するほど、迷惑をかけずに済むはずです。「気まずい」とか「言いにくい」というのは、あなたの自分勝手な事情です。できるだけ早く、直属の上司に伝えましょう。メールや電話はもってのほかですよ。きちんと口頭で伝えましょう。今までお世話になった上司に、大事なことを話すのにふさわしい場所かどうかを考えましょう。例えば、会議室など、二人で静かに話せる場所が適しています。
上司に伝えたら、同僚にも報告しましょう。退職日が決定したら、他部署や取引先の方々へごあいさつしましょう。立つ鳥跡を濁さず。大人のビジネスルールです。
仕事をきちんと引き継ぐ
会社への事務処理や内容確認も必須ですが、何よりも仕事の引き継ぎが重要です。職場によっては、引き継ぎを書面で残す場合もあるでしょう。職場の仲間が、あなたがいなくなって混乱しないように準備します。
誰が見てもわかりやすいマニュアルを作り、抱えている案件ごとの担当者、連絡先、今までの取引経過などを正確に後任に引き継ぎをします。これは、お客様を大事にすることにもつながります。「担当が代わったら、仕事がやりづらくなった」とお客様から不満を持たれないように。今まで働かせてくれた会社への感謝の気持ちを忘れないようにしましょう。
「立つ鳥跡を濁さず」の気持ちを忘れない!