会社を辞めたいのに辞めさせてくれない…どう対処する?

小町のリーガ~ル道場

 剣道女子の西山温子弁護士が剣道の試合になぞらえて3本勝負で法律の知識を伝授。今回は、退職したいのに会社が辞めさせてくれない場合の対処法などについて解説します。

 中小企業などの人手不足が深刻化しています。掲示板サイト「発言小町」に、人手不足とみられる「ワンマン経営で、ごく小さな会社」に勤める女性が「退職を希望しているのに、会社が退職届を受理してくれない」と訴える投稿を寄せました。会社側が投稿主の退職を渋る理由として、大きな仕事が入ってくる予定があることや、現在育児休業中の従業員がいて、これ以上、人員を減らせないことなどを挙げているといいます。「辞めるなら、後任を探してからにしてくれ」と突き放す会社に、投稿主はどう対処すればいいのでしょうか。

壱本目! 労働者には法律上「退職の自由」が認められている!

 退職とは法律的にいえば、労働者が一方的に使用者(会社側)に対して労働契約の解約を申し入れ、職を退くということです。反対に、会社側が一方的に労働契約を解約するのが解雇です。労働者は法律上、「退職の自由」が認められています。

 民法は、「当事者が雇用の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申入れをすることができる。この場合において、雇用は、解約の申入れの日から二週間を経過することによって終了する」(民法627条1項)と定めています。

 この条文を簡単に説明すると、雇用の期間の定めがない労働者、いわゆる「正社員」は、2週間前までに予告しておけば、いつでも(「どんな理由でも」ということも含むと考えられています)労働契約を解約できる、つまり退職できるということになります。

弐本目! 退職までの予告期間は雇用契約によって異なる!

 ただし、退職までの予告期間は、締結している雇用契約の内容によって異なります。「月給制」を採用している企業のうち、遅刻や欠勤をしても賃金が差し引かれない「純然たる月給制」の雇用契約を結んでいる場合には、月の前半に退職を予告する必要があり、退職が認められるのは翌月以降ということになります(民法627条2項)。例えば、12月31日付で退職したければ、11月15日までに会社側に伝える必要があるのです。

 さらに、賃金の額を1年単位で決める「年俸制」の雇用契約を結んでいる場合には、3か月以上前に退職を予告しなければならないとされています。

参本目! 退職の自由があることをアピール!弁護士や労働基準監督署への相談も検討

 会社が「辞めたら損害賠償を請求する」などと脅してくることもあるかもしれませんが、労働者が民法の定める予告期間などを守っている限り、使用者(会社側)は労働者の退職を認めなければならず、損害賠償請求は認められません。

 冒頭の投稿者は、このことを会社側に強くアピールすべきでしょう。それでも会社側が退職届の受け取りを拒否するのなら、弁護士や管轄の労働基準監督署に行き、具体的な対応を相談するのが良いでしょう。また、並行して退職届を内容証明郵便で会社に送り、明確な退職の意思表示として証拠に残すようにしておくと安心です。

 労働者には退職の自由があるのだという原則を理解した上で、めげずに前に進んでください。

※発言小町のトピはこちら↓
退職希望を受理してもらえません。

◇リーガ~ルポイント◇
 労働者には「退職の自由」が法律で認められている。ただし、事前に会社側に退職を予告する必要があり、予告期間は雇用契約の内容によって異なる。会社側が退職届を受け取らないなら、法律違反を強くアピールしよう!

西山温子(にしやま・あつこ)
弁護士。

 第一東京弁護士会、インテグラル法律事務所所属。アラサーとアラフォーのハザマ世代の働き女子。剣道四段。取扱業務は、離婚、相続、労働をはじめとした一般民事事件ほか。一期一会を大切にクライアントの立場に寄り添った弁護活動がモットー。