部屋探しをしていると、“フリーレント物件”を見つけることがあります。一定期間の家賃が無料になる物件のことで、「1か月フリーレント」なら1か月分の家賃不要、という意味。お得だと感じがちですが、本当に有利なのでしょうか。
全体で帳尻が合うようになっている
フリーレント物件を見つけた時に注意したいのは、長期間住んだ時の合計で支払う金額です。周辺の類似物件よりも家賃が数千円高く、合計で考えると総額は同程度ということもあります。
例えば、周辺の類似物件Aが家賃6万円で、フリーレントが2か月ついた物件Bの家賃が6万3000円の場合、4年間での合計金額はAでは288万円(6万円×48か月)ですが、Bでは289万8000円(6万3000円×46か月)となります。
家賃はフリーレントや礼金、管理費・共益費、更新料などの組み合わせで、オーナーが得る収入全体の帳尻を合わせている側面があります。
フリーレント物件は、家計として初期費を抑えたいという時にはうれしい選択肢になりますが、長期的にみると、必ずしもお得ではないケースもあることを知っておきましょう。一定期間以上退去ができない契約になっている場合もあります。
4年の支払い総額で考える“めやす賃料”
賃貸住宅市場の整備を目指す公益財団法人「日本賃貸住宅管理協会」では、4年間借りた場合の1か月あたりの金額を“めやす賃料”と定義しています。賃料の比較をしやすいように、4年間でかかる総額を48か月で割り、1か月あたりの費用で比べてみようという考え方です。不動産会社や賃貸検索サイトにも表記されていることがあります。
めやす賃料には、賃料、共益費・管理費、敷引金(主に西日本)、礼金、更新料を含めて計算します。逆に仲介手数料、鍵交換費用、保証委託料、家財保険料などは含めません。
めやす賃料を参考にするのも良いですし、同様の考え方で、実際に住む予定の期間で、仲介手数料や鍵交換費用も含めて計算してみるのも良いかもしれません。
複雑に感じる家賃も、総額での比較であれば、判断しやすくなりそうですね。
![]() 図解でわかる! 投資信託 / 風呂内亜矢
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