外国人へのプレゼント、三つの心がけたいこと

上流のたしなみ

 訪日外国人が増えている現在、国際交流やビジネスなどで、海外の方に贈り物をする機会があることでしょう。贈答とは、目的に応じて、友好の気持ちを形に表すことです。心がけておきたいマナーとエレガンスの観点から、日本のレディーとしてふさわしい贈り物の選び方、渡し方をお伝えします。

(1)相手の慣習や立場を考慮する

 日本ではデパートや店舗の包装のまま渡しても構いませんが、海外では贈り手自らが包む場合も多いのです。来日したVIPに店舗の包装のまま記念品を贈ったところ、その店舗の社長あてにお礼の電話がいってしまい、関係者全員が驚いた……という逸話もあります。相手の方の慣習や立場を、細やかに考えて贈る重要性がわかるエピソードですね。
 さて、贈り物として様々な機会に使うものの一つが、花でしょう。相手の方の好みの花を贈るのはもちろん。国花や国旗の色のアレンジメントは敬意表現であり喜ばれます。ただ、国によって花言葉が異なりますので注意してください。真っ白の花は弔意になる国も多いので、事前に調べる必要があります。

 相手の方の好みや宗教、文化などを調べず、自分の好みや個性を最優先してしまうと、無礼になることがありますので気を付けましょう。

(2)日本ならではの品物で真心を伝える

 私は海外の方とお会いする際には、日本の精神文化をお伝えするという立場から、日本の伝統のものをお贈りしています。とりわけ、喜んでいただいているものは、和紙の巻き紙に毛筆でしたためた自筆の手紙です。これに英文などを添えてお渡しします。

 また、皇室の御慶事の引き出物としても有名な「ボンボニエール」は、砂糖菓子を入れる菓子器で、永遠の幸せを願う心が込められています。首脳陣らが外交の際に贈ることがある「江戸切子」も、対にすれば、「共にさかずきを交わしましょう」というような、未来に続く友好のメッセージにもなります。

 海外の方に日本の伝統的な品を贈るときには、われや使い方を相手の国の言葉で書いて渡すとさらに心が伝わります。

 海外へ赴いた際の贈り物といえば、「懐紙」やお茶席のときの「干菓子」などがあります。日本の四季をかたどる美しい品々は、アフタヌーンティーでも喜ばれますし、「今、日本は秋の紅葉で……」という具合に話題を提供できます。

 このように、贈答には目的とメッセージがあり、そのうえで、喜んでいただける品を選ぶ楽しみがあります。

(3)メッセージカードは必ず添える

 贈り物を郵送する場合もあるでしょう。正式には持参するものを他者に託すという意味から、日本では“自分の分身”として事前に「挨拶あいさつ状」を送ります。欧米諸国ではメッセージカードを同封します。手紙やカードのない贈り物は失礼ですので、お忘れなく。メッセージは一字一字、丁寧に書きましょう。雑に扱っては、せっかくの真心も台無しになってしまいます。

 そのほかには、贈るタイミングを外さないように。お祝い事や記念日に遅れるのはよくありません。また、相手の方が驚いてしまうような高価な品はかえって負担になってしまいます。

 贈り物は、友好の証しであり、ビジネスなどでは成功のポイントになります。だからこそ、綿密なリサーチが重要です。誕生日や嗜好しこう、アレルギーがあるかどうかなどを書き留めたゲストカード作りもおすすめします。贈り物は、日本の豊かな伝統や文化を伝えるチャンスでもあります。「準備こそ友好の礎」という認識を持ちましょう。

(取材/高谷治美)

上月マリア
上月マリア(こうづき・まりあ)
紳士淑女教育家

 一般社団法人日本プロトコール&マナーズ協会理事長/ノブレス・オブリージュアカデミー校長。1992年、日本の真の国際化を目的として紳士・淑女教育サロンを開設。受講生は述べ30000名を超える。2003年、日本文化振興会「社会文化功労賞」受賞。同年、協会とアカデミーを設立。06年、ローマ法皇より福音書簡拝受。2012年、中国中央政府より招聘され企業家ら308名に国際マナーの講演を行う。【著書】『日本人の礼儀』(あさ出版)『皇室に学ぶプリンセス・マナー』(大和書房)他多数。【主な講義】11年~17年(公財)日本オリンピック委員会主催「JOC国際人養成アカデミー」、17年「第49回ミス日本コンテストファイナリスト勉強会」ほか多数。

ノブレス・オブリージュアカデミー