住民税は所得を得た時と納税のタイミングがずれるだけでなく、納付方法も2種類に分かれます。会社勤めで給料からの天引きになっていて意識しない人が多いのですが、キャリアアップや起業などで仕事が変わると、納付方法の違いで出費を覚悟しなければならない時があります。
「特別徴収」と「普通徴収」の2種類
給料から住民税を支払う場合、6月から1年間、毎月同じ金額が源泉徴収されています。これは「特別徴収」と呼び、1回あたりの金額も12か月で分割した金額となります。
もう一つは「普通徴収」と呼ばれ、フリーランスなど、給与の支払いを受けていない人が、市町村からの通知書に基づき、自分で納税することです。
普通徴収の納期は6、8、10月末と翌年1月末の4回に分かれています。特別徴収の12分割に比べて4分割のため、1回あたりの納税額が大きくなります。ちなみに一括払いもできますが、その際の納付期限は6月末まで。一括払いで安くはなりません。
会社をやめる際は住民税の清算が必要
転職や退職をすると、給与から天引きできなくなるので、残りの住民税は普通徴収で清算することになります。
例えば9月末に退職した場合、翌年5月までの8か月分の住民税をまとめて支払うことになるケースもあります。毎月1万5000円の住民税を支払っている人は12万円(1万5000円×8か月)となります。
自治体からの納付書を使い自分で支払うこともありますし、10月末と翌年1月末に6万円ずつ納めるケースや、最後の給与から12万円全額清算するケースなどがあります。
転職してすぐに次の会社に勤める場合は、前の会社で天引きの形で納付していた住民税を、新しい会社に引き継ぐことができるケースもあります(退職月や自治体、新旧の勤務先の対応などで対処が違うことがあります)。
会社で天引きされる場合は12分割なので、それほど負担に感じないかもしれませんが、普通徴収に代わると4分割もしくは一括払いになるため、大きな負担と感じる可能性が否めません。次の仕事が決まっていなくても、清算はしなければなりません。そのため、納付が遅れたり、忘れたりという恐れがありますね。
住民税の支払いが、転職時や退職時に意外な出費をもたらすことがあります。人生の節目で慌てずに済むように、手元資金にゆとりを持たせて次のステージに進めると心強いでしょう。