あなたの企画が通らない理由と三つの秘策

楽しく働くための社内政治力

 考えに考えて上司に提案した企画なのに、全く評価されず、企画書にバツ印がついて戻されたときのショック! いまでも鮮明に覚えています。「じゃあ、こんな切り口でどうでしょう?」と次々に企画書を書き続けても空振りばかり。私って、つくづく能力ないんだなーと、30代の頃の私はよく落ち込んでいました。

 そんな時、企画会議のキーパーソンとひょんなことから知り合いになり、世間話のついでに、最初に没になった企画書について話しました。「なかなかいいんじゃないの?」という言葉に、私は有頂天。やる気を取り戻してキーパーソンのアドバイスに従って書き直した企画が通ったことがあります。没になった企画書と内容的には同じなのに、まるで初めて見た企画書のように扱われたのには驚きました。

 このとき学んだのは……。たとえアイデアはいい線にいっていたとしても、人との信頼関係がなく、企画書の提案の方法がダメだと、内容さえちゃんと見てはもらえない――ということです。

 あなたが、せっかく温めてきた大切なアイデアです。ここぞというタイミングで的確にアピールして、チャンスを逃さないように!

(1)決めるのは誰? メンバーと目標を把握する

 会議の趣旨を知らずに企画の内容だけで勝負しようとするのは無謀というもの。企画会議に出席するメンバーが「どの部署のどんなポジションの誰なのか?」という情報を知っておくことが大事です。顔と名前も一致させておきます。

 そのうえでメンバーそれぞれの考え方、現在の部署ごとの目標や、何を優先しようとしているのかなど、ホットなテーマをリサーチしておきます。自分の企画と会社の目標とを関連させておくことがポイントです。

(2)「あの人だったら任せられる」存在になる

 会議メンバーの協力を得られるかどうか? これは自分がメンバーからどう思われているかによって変わってきます。日頃から「この人には安心して仕事が任せられる」と思われていないと話さえ聞いてはもらえません。

 信頼を勝ち取る一つの方法は、普段から自分の仕事に優先順位をつけ、他部署が絡む仕事を先に片付けること。自分の部署内で完結する仕事は、後でもフォローがききます。接する機会が少ない他部署の仕事だからこそ、締め切りのある仕事は2日前に仕上げ、ミスのない仕事を心がけること。その積み重ねが信頼を築きます。

(3)アドバイスを素直に聞き、即実践する

 最初から、ベストな企画書なんて書けません。上司や企画会議のキーパーソンからアドバイスをもらうことはとてもありがたいことです。「でも、これは……」なんて反論せず、素直に耳を傾け、まずは言われたことをすぐ実践して書き直し、さらにアドバイスをもらいに行く。あるいは、企画が通る人の企画書を見せてもらうのもよいでしょう。ストーリーの作り方、まとめ方、何のソフトを使っているか、文字の大きさ・フォントに至るまで参考にします。

 自分のアドバイスを受け入れ、その通りに実践し、「ほう(報告)・れん(連絡)・そう(相談)」をしてくる相手には、手を差し伸べたくなるものです。やる気のある社員の顔と名前は、よい評判となって社内に広がっていくことでしょう。

 誰からでも学ぶ姿勢が「あなただから任せたい」と、人に言わせる

関下昌代
関下昌代(せきした・まさよ)
著作家・キャリアカウンセラー

 亜細亜大学非常勤講師。熊本市生まれ。高校卒業後、住友信託銀行に就職。以後、派遣、臨時職員でテレビ熊本、熊本県庁などで勤務した。1989年シティバンク銀行に転職。いくつかの業務部を経て、2001年人事本部人材開発課に異動。社員研修プログラムの企画、社内講師役を務める。2009年3月、立教大学大学院異文化コミュニケーション学修士号取得。同11月末シティバンク銀行を退職。2011年4月より大学でビジネスマナーやコミュニケーションの科目を担当。著書に「伸びる女の社内政治力」(さくら舎)、「伸びる女(ひと)と伸び悩む女の習慣」(明日香出版社)「伸びている女性がやっている感情整理の新ルール」(KADOKAWA)、「シティバンク人事部で私が学んだ一生使える「気づかいの基本」が身につく本」(大和出版)「仕事も人間関係もうまくいく!マナードリル」(総合法令出版)「反学歴の成功法則」(経済界)などがある。

伸び悩む女の独りごと~異文化の交差点