ビジネスにも役立つ、「プロトコール」は国際人のたしなみ

上流のたしなみ

 みなさまは「プロトコール」という言葉をご存じでしょうか。国家間の儀礼上における公式ルールで、日本語では「国際儀礼」と訳されています。宮中晩餐会ばんさんかいやサミットなどの国際会議、公的行事は、プロトコールにのっとっておこなわれています。

 「国際会議や晩餐会に出ることはないので、私には関係ないわ」と思われるかもしれません。ですが、プロトコールはみなさまの身近でも活用されています。例えば、「ホテルやレストラン、ブランドショップ、海外旅行などでも同様」と聞いたらいかがですか? 

 プロトコールを身に付けることで、外国の方との異文化コミュニケーションがスムーズになり、お互いを知り合うきっかけにもなります。また、プロトコールを心得ていれば、国際ビジネスにおいて可能性を広げることにもなります。2020年の東京オリンピック・パラリンピック開催に向け、これからますます注目されることでしょう。

 みなさまにとって、プロトコールがどのように役立つのか、女性のエレガンスの観点も含めて、お伝えしていきたいと思います。

プロトコールとマナー、同じようで実は違います

 プロトコールとマナーを混同される方が多いようですが、両者の役割は異なります。マナーとは一般の社会での、人と人との間で求められるコミュニケーション・ルール。各国のマナーには違いがあり、日本の中でも地域によって違います。さらに家庭内でもそれぞれのルールはあるでしょう。

 プロトコールはそうした習慣の違いから生まれるトラブルを未然に防ぎ、国際社会の平和を目的として国同士が円滑に交流し、言葉や文化が異なる人々が心地よく過ごすための決まり事なのです。

プロトコールには国と国を繋ぐ役割があり、様々な国の人たちが仲良く、心地よく過ごせるようにと願った、思いやりの心が込められている

 16~17世紀頃、各国の王族にそれぞれの公式礼儀がありました。しかし、国交が盛んになるにつれ、宗教や習慣の違いからトラブルが多発するようになりました。そこで、19世紀に入り、イギリスとフランスの王族や外交関係者が中心となって作ったのが「プロトコール」です。やがて、東洋と西洋の国々との交流が深まり、様々な宗教に配慮されたルールが加わって、現在の形になったのです。

 プロトコールの語源はギリシャ語の「にかわ」に由来すると言われています。膠とはのりのようなもので、離れたものをつける役目をします。様々な国の人たちが仲良く、心地よく過ごせるようにと願った、思いやりの心が込められているのです。

 さて、次回からは、国際社会に生きる女性たちに役立つ、実践的なプロトコールについてご紹介しましょう。

(取材/高谷治美)

上月マリア
上月マリア(こうづき・まりあ)
紳士淑女教育家

 一般社団法人日本プロトコール&マナーズ協会理事長/ノブレス・オブリージュアカデミー校長。1992年、日本の真の国際化を目的として紳士・淑女教育サロンを開設。受講生は述べ30000名を超える。2003年、日本文化振興会「社会文化功労賞」受賞。同年、協会とアカデミーを設立。06年、ローマ法皇より福音書簡拝受。2012年、中国中央政府より招聘され企業家ら308名に国際マナーの講演を行う。【著書】『日本人の礼儀』(あさ出版)『皇室に学ぶプリンセス・マナー』(大和書房)他多数。【主な講義】11年~17年(公財)日本オリンピック委員会主催「JOC国際人養成アカデミー」、17年「第49回ミス日本コンテストファイナリスト勉強会」ほか多数。

ノブレス・オブリージュアカデミー