新年度でいろいろな変化がみなさんに訪れていませんか? 上司・同僚・部下の顔ぶれが変わる、仕事内容が変わる、役割やポジションが変わる、通勤経路が変わるなど、春は新しい「何か」に出会う季節です。
慣れ親しんだ場所から離れると、誰もが最初は壁を感じるもの。でも、変化の時こそ、自分の立ち位置を調整する「チューニング」の機会です。
私が外資系銀行に転職したのは27才のとき。日本の銀行で叩き込まれた「あいさつ」をそのまま使ったら、「あなた、いちいちうるさいわよ」と、隣の生え抜き社員のお姉さまにぴしゃり!と言われました。ランチから戻って「戻りました。お世話になりました~」と周りに声をかけて席に着くと、「私、あなたのお世話なんかしていないから」という具合です。ショックでした。こんなドライな職場でやっていけるのかと不安になりました。出鼻をくじかれた私がその後、20年もその会社で働くとは、夢にも思いませんでした。
職場の一員として馴染んでいくには時間がかかるものです。トライ&エラーの繰り返しで働いてきた私の経験談を交えて、立ちはだかる「壁」をどう乗り越えていくかをお伝えします。
職場で浮いている気がする・・・どうしたらなじめるの?
◇ 周りを観察して情報を集める
新しい「何か」は誰もが警戒します。「もしかしたら、自分に危害を及ぼすかもしれない」という防衛本能が働くからです。だけど、五感を通して伝わる情報や、時間の経過とともにやがて信頼が芽生え、仕事の経験を積み重ねていくうちに自分の居場所ができていきます。その繰り返しで仕事のスキルが向上し、キャリアの新しいドアが開いていきます。
それでも、1日でも早くなじみたい……と思うあなたにアドバイス。コミュニケーションは身近なところから始めましょう。
まず、仲間や同僚に少しだけ興味を持ってください。隣の机の上にはどんなものが置いてありますか? カレンダーやメモ用紙、愛用の筆記具やコーヒーカップ。いろいろな情報があふれています。その人が大切にしているものが見えてきて、共通の話題が見つかるかもしれません。机の上からコミュニケーションが生まれることもあるのです。
◇職場の空気をやわらげる
服装、身のこなし、言葉遣い、やさしい気遣い……。これらが職場の空気をやわらかくするのも事実です。一方で公私の区別をつけようと強がって泣きたいのを我慢したり隠したりする健気さがいじらしく見えたりもします。生身の人間なので感情の波があって当たり前です。むしろ、そこをアピールしてはどうでしょう。
そんな「感情」や「いじらしさ」をアピールするなんて……と反感を持つ方もいるかもしれません。でも、チャーミングな笑顔や愛想のいい対応を嫌う人はいないはず。ネイル、服装やメイクも職場環境や状況に合わせて変えていける柔軟性を持つことです。
◇ 自分のキャラを武器にする
意外と盲点なのが自分のキャラクターです。自分は気が付かないのに相手は気が付いている自分らしさ。控えめで目立たなかったり、ミーハーでおしゃべりだったり、生真面目で取っつきにくかったり。それぞれの個性を、コミュニケーションに生かしていきましょう。
例えば、私は人前で話すことが苦手で、会議など他部門の人との集まりの中では無口になりがちでした。外資系で積極的なキャラが多い中、かえって目立ったのでしょう。「あの日本的な人誰?」と名前をすぐ覚えられていました。おとなしいという個性は日本的な奥ゆかしさと思われ、敵を作ることが少ないというメリットもありました。
「わたしなんて……」と自分を否定しないでください。あえて演じる必要もありません。もし、何か足りないと思ったら、普段の自分に何かをプラスしていけばいいのです。
特別な能力が必要なわけではありません。コンプレックスに思うことが実はあなたの強みなのです。
出会いの宝庫「職場」を面白くするのは自分次第!