Q.夫が長時間のサービス残業、改善策を取らない会社は「ブラック企業」?

小町の法律相談

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 夫が課長になってから「拘束時間は増えたのに、年収は下がりました」。ブラック企業のような勤務先に対して、妻として何かできないのかーー。そんな相談が「発言小町」の法律相談コーナーに寄せられました。

 残業時間も長くなり、残業代も支払ってもらえない夫。上司も勤務状況を把握していますが、夫は「会社側に残業を強いられてるわけではない」「売り上げが上がっていないから、仕方ない」と妻に説明しているそうです。トピ主は「いつか、倒れたり、うつになったりするんじゃないかと、心配です」と、気持ちを吐露します。

 この相談には「課長クラスは経営者側です。労働者側だったらブラック批判もあるかもしれませんが、残念ながらブラック批判は筋違いです」との厳しいレスも書き込まれました。

 その一方で、「統括部長」の立場で前職を退職し、現在は残業代の未払いで裁判の準備を進めている会社員からは、「会社を辞める覚悟があれば残業代の請求はできると思います」として、「タイムカードのコピーがあるといい」との実践的なアドバイスも寄せられています。

 「課長は経営者側であるから残業代がないのは当たり前」は、本当なのでしょうか? 経営者ならともかく、課長に、そこまで売り上げに対する責任はあるのでしょうか?

トピはこちら⇒「主人のサービス残業について。」

A.残業代が支払われる可能性が高い

 具体的な事情にもよりますが、このケースの場合、夫は「管理監督者」に該当せず、残業代が支払われる可能性が高いと思われます。
「管理監督者」には、時間外割増賃金をはじめとする労働基準法の労働時間等に関する規定が適用されません。

 そのため、夫が「管理監督者」に該当すれば、残業代は支払われません。
 「管理監督者」の職務内容には、経営方針の決定への参画、労務管理上の指揮権限があるため、時間管理になじまないと考えられています。また、賃金や勤務態様での優遇措置により、法律で労働時間等の規制をしなくても保護に欠けないとも考えられるため、残業代を支払われないことは問題ありません(日本マクドナルド事件判決など)。
 つまり、「管理監督者」かどうかは役職名ではなく(1)職務内容、(2)責任と権限、(3)出退勤等について管理状況、(4)待遇などから実態に即して判断されます。
 本件の場合、経営方針決定への参画の程度や出退勤の裁量権などにもよりますが、管理職になり年収が下がっており、課長であっても「管理監督者」にあたらないと判断される可能性が高いと思います。

 なお、管理監督者に対しても深夜割増賃金の支払いは必要ですし、有給休暇も付与されます。

 そして、加重な労働等で心身の健康を害することがないよう安全に配慮する義務が会社にあることにかわりはありません。

靱純也(うつぼ・じゅんや)弁護士

 大手銀行、製薬会社勤務を経て2004年弁護士登録。交通事故、労働事件、債務整理、企業法務などに幅広く対応。気軽に相談できる弁護士を目指し無料法律相談に力をいれている。

事務所名:あゆみ法律事務所