「資格が仕事の幅を広げてくれた」 フリーアナウンサー 叶内文子さん

活躍する女性CMA(4)

フリーアナウンサー 叶内 文子(かのうち あやこ)さん

 CMA(日本証券アナリスト協会認定アナリスト)と聞いて、どんなイメージを思い浮かべるでしょうか。CMA資格を持ち、各業界の第一線で活躍する女性に、現在のお仕事や資格を通して得たこと、勉強方法などについてお聞きします。

経済や金融は人間の“ど真ん中”であることを実感

 叶内文子さんはフリーアナウンサー。ラジオNIKKEIの「マーケットプレス」といった経済情報番組の出演をはじめ、マネー誌の連載など主に経済や金融の専門知識を必要とする仕事を担当しています。東京株式市場の実況中継などでは「生放送は緊張の連続。特に株価が急落した時などは声がうろたえないように気を付けています」と笑顔で語ります。CMA資格が「経済や金融について自分の言葉で発信できる力を与えてくれています」といいます。

 アナウンサーとしての叶内さんのキャリアは1996年、ラジオNIKKEIにおける経済情報番組から始まりました。その後、解説者と2人で進行する番組を担当することになり、「自分が的確な質問をしなければ、番組は進んでいかない」という状況に、経済や金融知識の必要性を痛感させられたといいます。大学では国文学を専攻し、「経済や金融には関心がなく、どちらかと言えばマイナスのイメージを持っていました」と当時を振り返ります。

 そんな叶内さんの意識を変えたのは、ある専門家の言葉です。「日本はちょっと頭が良くて手先は器用だけれども、心臓が悪く血液がめぐっていない」。96年当時の日本経済は、バブル崩壊のあおりを受け金融機関の経営が悪化していました。「経済や金融は多くの人の生活に関係し、ものすごく人間味のあるものだと感じました」と叶内さん。それ以降、市場のさまざまな変化とそれに対する投資家や金融機関の反応にも、共感できるようになったといいます。「ノーベル賞受賞者が作った会社でも破綻してしまいます。まさに経済や金融は、人間のど真ん中にあるもの」と語ります。

他のアナウンサーにはない「武器」を持つ

左:7/24開催 PRESIDENT WOMAN 企業分析ワークショップにて 右上:ラジオ番組にて 右下:仕事道具のストップウォッチ

 ラジオでの契約が終了した99年から、叶内さんはフリーアナウンサーに転身しました。しかしアナウンサーの専門学校を卒業したわけではないため、「自分の武器がほしい」と考え、それまでの経験を踏まえて、経済や金融知識を体系的に学ぶことができるCMA資格に照準を定めました。

 まずは2004年に証券アナリスト基礎講座を受講し、翌年からは第1次レベルを受講、試験は2回に分けて全科目に合格しました。そこでいったんは勉強を中止したものの、せっかくならと勉強を再開、専門学校にも通いながら第2次レベルもクリアし2009年、CMA資格者となりました。

 「ポートフォリオ理論の存在を初めて知りました。債券や金利は馴染みがなく全くわからなくて、取材先の方にも教わったりしました」といいます。日本証券アナリスト協会が実施している対面方式「スクーリング」講座にも参加し、参加者の学ぶ意欲に刺激を受けたといいます。なお資格取得の勉強時間は主に朝と夜。自宅では午前4時に起きて午前5時まで勉強、仕事が終わってからは「この1時間は勉強しよう」と決めてカフェに立ち寄りました。家族に負担の及ばない時間をと、自分で環境を作って勉強時間を確保しました。

CMA資格が自分の仕事の幅を広げてくれた

 叶内さん、CMA資格の勉強を始めた当初は「金融機関に勤務しているわけでもないのに、この資格を取得することに意味があるのだろうか」と迷ったといいますが、実際に取得してみて「自分の仕事の幅を広げることができました」と語ります。

 最近は先物取引をはじめ、「売る権利」や「買う権利」を売買するオプション取引といったデリバティブ取引が個人投資家の間にも広がっているそうですが、CMA資格者であることでそうした個人投資家を交えた番組への出演機会も増えてきたそうです。

難しいと思われがちな金融の話を、わかりやすく伝えたい

 番組での自身の発言にも変化が訪れました。「アナウンサーの役目は主な語り手の補佐ですが、『自分が話していいな』というタイミングがあると、CMAとして自信を持ってコメントできるようになりました」と叶内さん。また、アナウンサーは仕事の性格上キャリアアップの形が見えにくく、自分でモチベーションを維持して目標を見つけることが難しいそうですが「CMA資格は『私はきちんと専門知識を勉強したよね』と、自分を支えてくれています」と語ります。

 叶内さんはアナウンサーの仕事を始めて以来、経済や金融、株式市場に関わる世界のニュースを毎日ノートに書きとめ、アメリカやヨーロッパ、アジアと国や地域ごとに色分けして、一目で分かるようにしています。実際、日々のニュースについても、資格取得後は「この事象とこの事象はつながっている」と体系立てて考える習慣がついたそうです。また現在は、「『年金は不安だよね』『これからどうしよう』という人たちに向けて、その人たちの脳裏に具体的なイメージが浮かぶような、お金や投資の話をしていけたら」と思いを語ります。

 「わかりやすく説明することがすごく難しい分野ですが、私自身がお金の話を難しいと思っていたからこそ、お伝えできることがあると思います」。

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