「自分の考えを論理的に伝えられるか」 大和証券 重岡絵美里さん

活躍する女性CMA(2)

大和証券株式会社 エクイティ調査部 重岡絵美里(しげおか・えみり)さん

 CMA(日本証券アナリスト協会認定アナリスト)と聞いて、どんなイメージを思い浮かべるでしょうか。CMA資格を持ち、各業界の第一線で活躍する女性に、現在のお仕事や資格を通して得たこと、勉強方法などについてお聞きします。

 企業からの開示情報や取材での情報を駆使しながら、独自の視点で、企業業績の先行きを予想する株式アナリストとして活躍するのが、大和証券の重岡絵美里さん。お客様は主にプロの機関投資家ですが、自分の分析が高く評価されることが大きなエネルギーにつながるといいます。

担当は鉄鋼・非鉄金属業界

 重岡さんはエクイティ調査部で、日本株の「鉄鋼・非鉄金属」業界を担当しています(「エクイティ」とは株式のこと)。担当企業を訪問し、IR(投資家向け広報)の担当者や役員から情報収集を行って、業績は好転しそうか悪化しそうか、それに伴い株価は将来どんな動きをしそうか、どのタイミングで買うべきかそれとも売るべきかの判断を、報告書にまとめる仕事をしています。機関投資家らプロの投資家は重岡さんのようなアナリストのレポートを参考に株式を売買するので、その責任は重いと言えます。

「会社の経営に関係のある仕事をしたい」

 重岡さんは、学生の頃から「会社の経営に直接関係のある仕事がしたい」と考え、現在の職を志望。「一般の事業会社では、経営の中枢にたどりつくまで数十年かかることもありますが、アナリストであれば年齢に関係なく客観的な分析を通して、企業経営をみることができるからです」。パソコンに向かってのデータ分析ばかりでなく、業界への理解を深めるために「工場見学や周辺取材などで外出することも多い」とのことです。大和証券には40人近い株式アナリストがいます。

「社内では資格取得支援制度が充実している」

 同業他社には百戦錬磨のアナリスト達が腕を競っており、投資家からは常に結果を求められる仕事のため、当然、より正確な分析が求められます。こうした要請もあり、CMA(日本証券アナリスト協会認定アナリスト)資格を取得したのは、入社して3年が過ぎた2017年のことでした。平日は仕事が忙しくまとまった勉強時間はとりにくいため、土日にメリハリをつけて勉強をしたり、通勤時間を活用したりして、コツコツと勉強を続けました。試験に頻出するような過去問題を解くことよりも、「テキストを読み込んで、根本的な考えを理解して応用していくという勉強方法でした。じっくりと取り組むので時間はかかりますが、会社の資格取得支援制度による専門学校の動画も活用しつつ、準備を進めた」そうです。社内では、CMA資格取得のための支援制度が充実しており、グループ会社全体では1,000人以上が取得しているそうです。

「学習してきた内容が仕事に直接生かされていった」

 経済、財務、証券分析などのCMAの勉強をする傍ら、日々の業務の中で、企業分析や業績予想を続けていきました。「企業価値をどう評価するか、将来性をどう評価するか。試験勉強の中で蓄積された手法が直接活かされました」。そして資格を取得したことで、「名刺にもCMA資格取得者であることを明記できるようになり、『金融のプロフェッショナルです』というアピールができるようになりました」と笑顔がこぼれます。重岡さんは「アナリストでなくても、事業会社の広報・IR部や経理部、経営企画部でも役立つ知識が多いのではないでしょうか」と、資格がカバーする領域は幅広く、多くのビジネスパーソンに役立つと言います。

地味な作業をコツコツと

 一つの企業を理解するために、競合他社のほか海外企業の状況も分析します。「英語もそうですが中国語や韓国語などの資料を分析することも」あるそうです。また場合によっては、担当企業が示す見通しとは違う結論にたどりつくこともあります。「でもそれがアナリストの仕事なのです」ときっぱり。自信の裏付けには、地味で膨大な調査・分析の積み重ねがあります。「担当企業については誰よりも詳しくなければ」と、国内外の細かい資料に一つひとつ分析を加えていきます。「時間をかければかけるほど分析は深まります。経験と知識が非常に大事」と、心に刻んでいるようでした。

機関投資家から評価されることが原動力に

 平日の忙しさを断ち切って、週末は友人と食事に出かけたり、時には小旅行も楽しんだり「ゴールデンウィークには京都に弾丸旅行をしてきました」とにっこり。緑に囲まれた神社を巡り、心を和ませることが好きだそうです。しかし仕事のエネルギーとなるのは、やはりお客様から得られる仕事上の評価です。機関投資家から「良い分析ですね」と評価されることが、一番うれしいとか。現在の担当業界は公開情報が多く分析がしやすい一方で、どの情報が必要かを見極め、独自の仮説の中でどう組み立てるかがポイントですが、正解があるわけではありません。分析の成否を分けるのは「他の人にはない自分の深い分析」で、「自分の考えを論理的にどうやって伝えられるかが、難しくもあり面白いところです」と仕事の意義を強調してくださいました。
 将来の目標は「機関投資家からも事業会社からも頼られる存在になりたい」と話します。そして多くの技術やノウハウを有している日本企業が経営基盤を固め、競争力をつけて国内外で活躍できるよう、アナリストの立場から支えていけるよう目指しているそうです。

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 企業価値の評価と将来価値の予測を行うために必要な知識を体系的に学べる資格で、いわば「企業の“未来予想図”」を論理的に導き出せるスキルが身に付きます。こうしたスキルは経営や投資を考える上での土台となるので、活躍の場がさらに広がります。CMAについてはこちら

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